再発明ということ – 阿弥陀仏とiPhone

12月 8th, 2014 | Posted by admin in イノベーション | 経営 | 長橋のつぶやき - (再発明ということ – 阿弥陀仏とiPhone はコメントを受け付けていません)

五木寛之「親鸞」を読んで、なるほどなあ、と思ったこと。

親鸞の師匠の法然は、浄土宗の開祖で、元は当時のエリートが集う比叡山延暦寺でも、その学識はずば抜けており、将来の天台座主を期待されていたという。

その彼が、万巻の経典を通じて、これだ、と発見したのが、阿弥陀仏。阿弥陀仏は、「この世に生きるあわれな者たちを決して見捨てないと誓われた仏」であり、南無阿弥陀仏と唱えることで、救われると。彼は、たくさんの仏の中から、阿弥陀仏を見つけたこと、これを選択(せんちゃく)といい、これが彼の再発見であったと。

これはビジネスに通じるものはあるかもしれない。彼が生きた時代に比べて、今は、とてつもなく、選ぶものが増えている。そして、そのなかで、これだと思うものを選択して、わかりやすく伝える。そういう意味では、南無阿弥陀仏は電話を再発明したスティーブ・ジョブズのiPhoneにも通じることがあるかもしれない。

仏教というと堅苦しいイメージがあるけど、この南無阿弥陀仏でちょっと身近に感じました。

新卒と中途の力学

11月 25th, 2014 | Posted by admin in 経営 | 長橋のつぶやき - (新卒と中途の力学 はコメントを受け付けていません)

最近、おもうこと。

もう、だいぶ前の話だけど、新卒採用のセミナーである担当者の一言。

「ウチは、いままで中途採用だったけど、白いキャンバスを染めたい思いから新卒採用に踏み切りました。」

当時は、何も思わなかったけど、今思えば、なかなか大胆なこと言うなあ、と思う。

どんな企業にとっても、人は財産。だから、新卒、中途を問わず、許す限り人を採りたい。

で、新卒と中途、どちらがいいのかといえば、なかなか難しい。

たしかに、冒頭の担当者のように、新卒は”白いキャンバス”であり、それを企業カラーに染めることはできる。

まあ、大学生が勉強しなくて就職できるのも、”白いキャンバス”という点からは良いのかもしれない。

ただ、最近思うのは、企業カラーに染めることは、良いことでもあり、悪いこともある。

良いことは、やはり、企業のカルチャーをちゃんと理解できること、中途で入ったけど、カルチャーに馴染めず辞めるという例は多い。

一方、悪いことは、一つの会社しかいないので、やはり、視野が狭くなること。

やはり、一つの会社で、かつ、ジョブローテーションをしないまま何十年も同じことをやっていれば、外との接点も少なくなり、必然的に、井の中の蛙、ガラパゴスになってしまう。学業がすごく優秀な人が、こうした境遇に置かれて、ガラパゴス化しているケースをたくさん見ているので、それほどこれは間違っていない気がする。これはもったいない。むしろ、そういう人にこそ転職を薦めたい。

逆に、中途ばかりの集団もなかなか難しい。とくに、中途は専門分野に長けていることを買われて、採用されるケースが多いので、タコつぼ化するケースも結構ある。

という意味で、大事なのはバランスだと思う。新卒ばかりでは金太郎飴、すなわち、どこから切っても同じになってしまう、そんなときは、外の血を入れて、視野を広くする。一方、中途ばかりでは、傭兵集団になりがちなので、会社に対するロイヤリティがそれほど高くないケースがある、そんなときは、”白いキャンバス”の新卒を入れる。このバランスが大事なんだなあと思うのです。

道を究める

10月 14th, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 経営 - (道を究める はコメントを受け付けていません)

今日、家に戻って、夕刊を読んでいて、なるほど、と思ったのが、プリプリの奥井香の記事。

彼女は、小学校のときはピアノをやっていたけど、付属中学に入学するにあたって、音楽を辞めたという。

でも、入学した中学校の音楽室には、普通の中学校になりドラムがあったり、高校生はシンセサイザーを使えたとても恵まれた環境で、バンド活動をスタートする。

そして、バンド活動にのめりこんだあまりに、付属高校に進学できずじまいで、家族ががっくりする中、ただ一人叔父さんが「入学祝に好きなものを買ってやるぞ」と言って、買ってもらったベースがプリプリのデビューのきっかけになったと。

孟母三遷というように、やっぱ、環境は大事だなあと。

そして、さらに思うこと。

自分の周りには、元プロミュージシャン、元プロボクサーなど、全然、バックグラウンドが違う人がビジネスをやっている。そして、そういう一つの道を極めた人の方が、仕事の飲み込みも早いし、根性もあるし、真剣に働くので、仕事をしていて楽しい。

で、日本の場合は、大学をでて一人前的な風潮も昔に比べたら薄まったものの、やはり、まだあると思う。でも、自分が思うに、だらだら大学をでる人よりは、一つの道を極めた人、そして、極めながらも諸処の事情で残念ながらその道を諦めた人、こうした人を企業に引っ張ってくるのも大事じゃないかと、奥井香の話から思ったのでした。

”ふざけんな”と思った時には

9月 20th, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 経営 | 長橋のつぶやき - (”ふざけんな”と思った時には はコメントを受け付けていません)

Facebookにも投稿したけど、こちらにもシェアです。

D.カーネギーの「人を動かす」には、人を動かすためのエッセンスに限らず、日々の生活で何をどう行動すべきかの指針が満載でとても示唆に富んだ本です。ぜひ、一読をお勧めします。

その中で、なるほど、と思ったのが2つのエピソード。

リンカーンは、南北戦争のころ、ひるむ南軍を袋叩きできるチャンスを逸した将軍の非を詰り、罵倒の手紙を書いたという。でも、その手紙が見つかったのはリンカーンの執務室、つまり、手紙は届いていない。彼は若いころの失敗に懲りて、人を非難することを一切やめたという。

 マーク・トェインはひどい癇癪持ちでちょっと気に入らないことがあると、”おまえ死ね”みたいな相手を罵倒する手紙を書いて、気持ちをスッキリさせたという。でも、その手紙は奥さんが投函せずに保管したため、決して、相手に届いていないという。

 ま、人間誰だって、自分の思い通りにいかないことがあると、”ふざけんな”と思うときはある。でも、それを相手に向かって、ストレートに”ふざけんな”と伝えて、罵倒しても、罵倒される方にしてみたら、良い気分じゃない。むしろ、禍根を残して、罵倒→恨み→復讐、みたいなネガティブスパイラルに陥る可能性もある。明智光秀なんかはその典型的なパターンだよね。そう、だから、”ふざけんな”という思いをストレートに伝えてもロクなことはない。

 で、”ぶざけんな”と思った時は、まず、思いっきり相手を罵倒する手紙・メールを書く、でも、送らない。自分の気持ちはスッキリするし、相手にも迷惑がかからない、これぞ一石二鳥。ちなみに、Gmailの場合は、送信取り消し機能があるので、仮に送ってしまっても、数秒以内なら取り消せます。自分は何度もこれで救われました。

マルチタスクとシングルタスク

8月 30th, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 経営 | 長橋のつぶやき - (マルチタスクとシングルタスク はコメントを受け付けていません)

最近、思うこと。

先日、何かの雑誌で旅館星のやのスタッフは、受付、客室清掃、調理補助など一つの業務だけではなく、マルチタスクをこなしているという話を読んで、なるほど、と思いました。

アジャイル的な考え方もこれに近くて、システム開発だけではなく、テストもやったり、設計もしたりと、ひとりが複数こなすマルチタスクなので、星のやもアジャイル的な組織と言えるかもしれない。

で、こうした一人が複数の業務を担当してまわすのは、清掃係、調理係と”係”に人を張り付けないため、少ない人数でオペレーションが完結し、結果的にコストが減るケースが多い。

じゃあ、どの会社もこうすればいいじゃん、と思うけど、これが結構難しい。やっぱり、組織が大きくなればなるほど、経理は経理、開発は開発とお互い話している言葉も違うし、結果的に縦割りになって、無駄の多いシングルタスクになってしまう。

でも、大企業でもマルチタスクを実現できている会社もあって、それは、社長の”組織を官僚化させない”といったリーダーシップによるものだと思う。前にもどって、おそらく、星のやもそうした危機感があるのだと思う。企業はトップ次第というけど、まさに、この例はそうだなあ、と昨日の帰路の途中思ったことでした。

”待ち伏せ”というビジネスモデル

8月 28th, 2014 | Posted by admin in 経営 | 長橋のつぶやき - (”待ち伏せ”というビジネスモデル はコメントを受け付けていません)

自分が証券会社にいたころ、なるほど、と思ったことです。

機関投資家のビジネスは言うまでもなく、安い価格で株を買って、高い価格で売って、儲ける。

で、どうやって安い株を見つけるか? 

ある投資家いわく、それは”待ち伏せ”であると。

たとえば、東京証券取引所では3000以上の株式が上場されていて、日々、売買されている。

もちろん、トヨタとかソフトバンクといった東証一部で、時価総額が大きい企業は、一日に何百億円と売買されているので、こういったデカい銘柄でリターンを出すのは難しいという。

むしろ、投資家が注目していない会社を1年くらい前から目をつけておいて、ちょっとずつ買う、そして、何かのタイミングで注目されたときに売る。これが”待ち伏せ”です。

それで、この”待ち伏せ”先方、投資だけではなくて、ビジネスにも当てはまると思う。

ビジネスでも、流行を追うことは有効だけど、やはり、流行にはいろいろな会社がそれに飛びつく、だから、結局のところ、資本力がモノを言う世界で、大企業が優位になってしまう。

でも、モノになるかわからない、誰も注目しない分野を”待ち伏せ”する。そして、いつかその分野が注目されることで、果実を得ると。

ネタを仕込んだからといって、すぐヒットするとは限らない。だからこそ、”待ち伏せ”は有効な手段と思うのです。

新卒から一人前を育てるために必要と思う3つのこと

8月 12th, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 経営 | 長橋のつぶやき - (新卒から一人前を育てるために必要と思う3つのこと はコメントを受け付けていません)

たまに、人を育てて欲しいみたいなリクエストをいただくことがあります。

ワークショップみたいな形でディスカッションする、あるいは、一緒に営業するみたいなケースもあります。

ま、自分は、「オレが、オレが、オレが」的に自分が豬突猛進するのではなく、「この人とこれをやったら面白いだろうな」的な控えめな発想をするので、たぶん、この手の仕事はあってるのかもしれない。

最近思うこと、当たり前だけど、一人前を育てるのは難しい。どうしたら、新卒を一人前に育てられるのか? ノウハウというわけではありませんが、自分が日々感じていることを整理してみました。

あきらめない

やっぱり、あきらめない。どんな企業でも、新卒に”即戦力”を求めるけど、これはないモノねだりだと思う。たしかに、新卒だけど、十分な経験もしていて、どんな場所にいっても、一人でできる人は少なからずいる。(ちなみに、自分の経験からすると、こういう人は大学でフィルターするよりも、中高でフィルターしたほうが発見確率が高い気がする。たとえば、開成・麻布みたいな名門中高出身者は、大学はどこであれ、このイケてる確率は高い。おそらく、単なる英語や数学のテクニックを学ぶのではなくて、自分自身で考え方を学ぶみたいなことが徹底されているので、社会に出たときも即戦力に近い状態になるんだろうなあと、ケンブリッジもそんなかんじでした)。

で、そういう人は自分でビジネスやったり、就職偏差値の高いところに行っているケースがほとんど。だから、最初から、この新人できそう、という期待値を上げない方が良いと思う。

で、基本は”使えない”のだけど、でも、使えないからクビ、ではなくて、あきらないことが大事だと思う。あきらめたらそこで終わり。

いろいろやらせてみる

競馬の話で恐縮ですが、競馬には未勝利戦というのがあります。だいたい競走馬は2歳でデビューして、一度でも勝てば(1着入線)次のステージに進むことができる。ただ、1着になるのは、楽ではない。ポテンシャルの高い競走馬(この例でいえば、新卒でなんでもできる君)は、あっさり勝って、春のクラシック路線(皐月賞、桜花賞、ダービー、オークス)に行けるけど、ほとんどは勝てなくて苦労する。でも、タイムリミットがあり3歳の9月までに1勝もできないと、出場できるレースがない(=引退か、地方競馬転籍)。だから、オーナー、調教師、騎手は3歳未勝利馬に対して、距離を変えてみたり、調教を変えてみたり、いろいろ試してみる。

企業の場合は、このタイムリミットはないけど、いろいろやらせてみるのは重要だと思う。たとえば、しゃべるのが苦手だからといってエンジニアとして入っても、誠実な人柄から営業に向いていたり、この仕事しかないと決めるのは早いと思うので、いろいろやってみるのがよいと思う。 

きっちり原因を究明する

何をやるかについて、考えることはとても大事だけど、一度、決めたら、あれこれ口を出さない。自分が、おおらかな環境で育ってきたこともあり、箸の上げ下げまで指導されるのが苦手というのもあるけど、やっぱり、やることなすこと逐一ダメ出しされていては、結局、委縮してしまって何もできない。

むしろ、重要なのは、何が上手くいって、何が上手くいかなかったかをきちっと原因の究明をすること。

その中に本人の誤りがあれば、糺すべきだし、失注とかビジネスに影響を及ぼす場合は、監督者・上司が責任をとるべきだと思う。

旧日本海軍元帥山本五十六は、人を動かすコツについて、『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』と指摘しましたが、人を育てるのも、まさにこれなんだなあと思うのでした。

21世紀を拓く5つの新しいデザインキャリア

7月 27th, 2014 | Posted by admin in イノベーション | 経営 | 長橋のつぶやき - (21世紀を拓く5つの新しいデザインキャリア はコメントを受け付けていません)

Screenshot of www.linkedin.com

デザイン思考として有名なIDEOのCEO Tim BrownがLinkedIn上で、”5 New Design Careers for the 21st Century”(21世紀を拓く5つの新しいデザインキャリア)として、新しいデザインキャリアを提示していて、気付きがあったので、シェアします。

https://www.linkedin.com/today/post/article/20140722130342-10842349-5-new-design-careers-for-the-21st-century?published=t

まず、前提として、”デザイン”あるいは”デザイナー”は、いわゆる、ファッションデザイナー、工業デザイナーのように、モノのデザインをする人ではなくて、様々なアプローチで課題を解決する、もしくは、何か新しいものをつくるチームのこと。あくまでも、自分のイメージだけど、デザイン、開発、テストなど決まった仕事だけをこなすのではなく、あるときはデザイン、あるときは、開発、テストなど、バックグラウンドが異なりながら比較的小さなチームでマルチファンクションに仕事をこなす、いわゆる、アジャイル的な組織で仕事をすることがデザイン思考的な組織に近いと理解しています。(観察をすることがデザイン思考みたいな話もあるけど、観察は結局手段であって、目的は、様々なバックグラウンドを持つ人間が自由な発想でモノを作る、仕組みを作ることだと思っています)。

で、彼が挙げているのは次の5つ。

1.The Designer Coder – プロトタイムのためのコードを書くデザイナー

プロトタイプは、デザインのなかでも重要なパート。そして、最近のアプリの場合は、コードを書くことがデザインになりつつある。
したがって、コードをかけるデザイナーは、ジョブマーケットで高い価値を生み出す。

2.The Design Entrepreneur – デザイン起業家 

企業家(アントレプレナー)とデザインを融合させることが増えている。とくに、UberやAirbnbは、デザインをアピールポイントとして成功している会社が増えている。新しいプロダクトをデザインできる力があるのであれば、デザイン企業家として挑戦するには今が絶好のチャンス。

3.The Hybrid Design Researcher – ハイブリッドデザインリサーチャー 

いままで、デザインのリサーチャーは、人類学、民俗学、心理学のバックグランドが多かった。この手のリサーチはたくさんの分類をすることで、隠れたニーズを発見することであり、最近ではこうした手法とリアルタイムのデータとを組み合わせたハイブリッドな手法でユーザの行動を把握することが増えている。ユーザ、グループがある技術にハマることを把握することは、イノベーションの大事な一部であり、こうしたハイブリッドデザインリサーチャーの出番となる。

4.The Business Designer – ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーは、プロダクトからイノベーションを見出すのではなく、ビジネスの仕組み、ビジネスモデル、チャネル戦略、サプライチェーンなどからイノベーションを見出す役割。たとえば、Googleの検索技術は、ユーザにとってイノベーションであるものの、会社に富をもたらしたのは、その技術を広告に当てはめる仕組みを作ったこと。

5.Social Innovator – ソーシャルイノベーター

 貧困、きれいな水へのアクセス、環境汚染など、世界中で社会問題が発生している。こうした課題に対して、これまではアカデミックを含む小さな団体がその問題を解決しようと取り組んできた。そのなかで、最近ではビル・メリディア財団、ロックフェラー財団、ヒューレット財団といったデザイン思考を重視した財団がでてきたこと。そして、D-Rev, Design that Matters,IDEOといったデザイン思考で課題解決する団体を増えてきており、社会問題を解決するソーシャルイノベーターの素地が出来上がりつつある。

どちらかといえば、自分はビジネスデザイナーに近いなあと。あと、思ったのは、世の中の価値がシフトしていること。下の恐竜本でも書かせていただきましたが、ITの場合、最近ではクラウドとかフレームワークとかを使えば、結構簡単にアプリ、サービスができてしまう。だからこそ、重要なのは、さくっとプロトタイプを作って世に出すこと(上記のデザインキャリアでいえば、1.のデザインコーダー、2.デザイン企業家あたり)。

あるいは、世の中で起きているいろいろなことを分類・整理して付加価値をつける(3.ハイブリッドデザイナー、4.ビジネスデザイナーあたり)、もしくは、社会課題を解決すること(5.ソーシャルイノベーター)が重要になってきているんだと思う。

 

営業で仕事を受注できないときは?

7月 22nd, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 独立 | 経営 | 長橋のつぶやき - (営業で仕事を受注できないときは? はコメントを受け付けていません)

先日、某社のとある新卒3年目くらいの若手の営業から、

”いくら営業しても仕事が受注できないんです。やっぱ、自分は営業向いてないんですかね?”

という話をして、気づきがあったので、シェアします。

自分も口が上手い方でもないし、お客さん受けするようなコミュニケーション能力に秀でているわけではないけど、最近、自分で独立して営業をやるようになって(正確にはアナリストのときも営業っぽいことはしていた)、一つ言えることは、

”一回で受注できることは普通ない”

ということ。

B2Cならいざ知らず、自分がターゲットとしているB2Bのたとえばシステムを売るような場合、まず1回話して、”じゃあ、買いましょう”というケースはほとんどない。

欲を言えば、商談一回で決まったほうがいいけど、こればっかりは、やっぱり難しい。

結局のところ、ビジネスは信頼関係だと思う。やっぱり、同じものを買うにしても、ちゃんと信頼できる相手の方が良いに決まっている。

で、信頼関係は、一回会っただけでは、やっぱり、成立しない。

何度も何度も相手と向き合い、ときには摩擦をし、お互いを理解することで、信頼関係が生まれるんだと思う。

もちろん、出身地が同じ、高校・大学が同じというのは”信頼”を築くうえで重要な要素ではあるけど、それが必須というわけでもない。

やっぱり、信頼関係を築くには、何度も会うしかない。ほんの小さな理由でもアポをもらって、話をして、提案して、ダメでも、また次のネタを探す。

という意味で、ダメなのは、一回会ったから駄目だった、ということであきらめること。本当に受注したいのであれば、何度も何度も喰らいついていくべきだと思う。

相撲界には「三年先の稽古」という言葉があります。

力士としてのけがをしないカラダ、自分の相撲にあったカラダは1,2カ月の稽古では作れない。だからこそ、3年先を見越して、稽古をすることが重要だと。

営業もこれに似ているかもしれない。今日の受注に一喜一憂するのではなく、さすがに最近の会社は3年も待ってくれないけど、お客さんと時間をかけて信頼関係を築く。

だからこそ、はじめて会っても、仕事が取れないと嘆くのではなく、信頼関係を築く一歩とポジティブに考えようと。

Jリーグの経営学:「Jリーグ再建計画」を読む

7月 19th, 2014 | Posted by admin in Jリーグの経営学 | 経営 | 長橋のつぶやき - (Jリーグの経営学:「Jリーグ再建計画」を読む はコメントを受け付けていません)

Jリーグの経営学

このブログでは、「Jリーグの経営学」というカテゴリで、経営の視点からJリーグの抱える問題、その取り組みについて、不定期に取り上げています。

過去のエントリは、Jリーグの経営学 2015年からのJリーグはどうなる?横浜マリノスにみるJリーグの経営学あたりです。そうした問題意識のなかで、「Jリーグ再建計画」を読みました。Jリーグの現状、これからの取り組み、についてきちんと触れており、良い本だと思います。

Jリーグを取り巻く環境

やはり、誰もが共通認識として挙げるのは、現状のJリーグを取り巻く環境は厳しいこと。

Jリーグの収入構造は、1.Jリーグ事務局と2.各J1クラブに分けることができる。Jリーグ事務局での売上は、放映権料と協賛金である。Jリーグ事務局の全収入約120億円のうち、100億円近くをこの2つが占める構造だ。(p14)

という収益構造のなかで、1994年のJリーグバブルでは66回(全264試合)をピークとして現在は7回(全306試合)、しかも、民放はなく、NHKだけ。J1,J2全試合をカバーしているスカパー!のJリーグビジネスも赤字といわれており、放映権料は現在の50億円を維持することすら危ぶまれている状況。

協賛金についても同様で、博報堂が企業向けに広告枠を販売するものの、広告枠が完売することなく、毎年12枠のうち、4~5枠売れ残るという。もちろん、それは、博報堂の持ち出しになると指摘する(p19)。

いってみれば、現状のJリーグは、1.有力選手はヨーロッパにいってしまいJリーグを観なくなった → 2.人々のJリーグへの興味が薄れてきているので、広告主はあえてJリーグに協賛金を払わない、テレビ局もJリーグを放送しても視聴率が取れるとは限らない → 3.Jリーグ事務局、クラブの収益が減少する、というネガティブスパイラルに陥っている。

自分が知っている会社でも、こういうネガティブスパイラルに陥ると結構厳しい。そして、何もしないと、どんどんネガティブスパイラルが加速し、会社であれば事業清算、倒産、売却なんてことがよくある。

Jリーグの次の一手

では、どうやってこのネガティブスパイラルから脱するか?

企業にとって、キャッシュ(お金)がないと生きていけないように、Jリーグも同様。そして、現状のリーグ方式(1リーグ制)のまま行けば、2014年からJリーグ本体に最大13億円の減収予測となるという。そこで、導入したのが、ポストシーズン制の導入。

ポストシーズン制は、簡単にいえば、1年を2シーズンに分けて、それぞれのチャンピオンがポストシーズンに優勝争いをする制度、詳細はこちら

2015年、この制度の導入で10億円程度の増収を確保できるという。

このポストシーズン制でJリーグが復活できるか、といえば、結局のところ、試合数を増やして、増収を作っているので、本質的な解決策ではないと思う。むしろ、願い目で見て、どうJリーグを活性化する戦略をつくるか?

その一つが、やはり、アジア戦略。

たとえば、イギリスのプレミアリーグの場合、イギリス国内での放送権契約は2013-2014シーズンで30億1800万ポンド(1200億円)、国外では別の契約となるも、その全体の6割を占めるのはアジアからの売上。他の欧州リーグとの契約を加えると、アジアがヨーロッパサッカーに支払う放映権料は総額で600億円といわれる。(p86) プレミアリーグもアジアマネーを狙っていて、マレーシアやタイのゴールデンタイムに合わせてプレミアリーグのキックオフをしていると。

香川のように日本からプレミアリーグにいくと、プレミアリーグを観る日本人が増えるように、アジアからJリーグに選手を誘致すればその国でJリーグを観る人が増える。ただし、難しいのは、サッカーはチームプレーなので、ビジネスだけで考えてアジア選手を獲得しても、起用するかどうかは監督次第。無理にアジア選手を獲得しても、”ビジネス先行”になってしまう可能性も否定できないと(p96)

Jリーグ時代の運営もさることながら、今後厳しさを増すのはクラブライセンス制度。クラブライセンス制度については、こちらの通り。

で、どうするか?

自分も結構いろいろな会社の経営に携わったけど、結論から言うと、Jリーグ全体あるいは各クラブ、をきちんと利益がだせる成長路線に持って行くのはかなり難易度が高いと思う。たとえば、企業の場合は、売上が落ちる局面では、固定費(売上とは関係なく発生するコスト、オフィス、人件費、減価償却費など)を削減するのがセオリーだけど、Jリーグの場合、選手の報酬を大幅カットすると、チームとして成り立たないと思う。

となると、やっぱり、ファンを一人でも多く増やさないといけない。それはアジアもそうだし、日本も同様。ネットビジネスでいうところのユーザを増やすことと同じだと思う。そして、ネットビジネスにおいて、ユーザを増やす方法は、親、家族、親せきなど身近なところから使ってもらって、それを友達、友達の友達、友達の友達の友達と、そのサークルを増やすこと。Jリーグもやっぱりこうやってファンを徐々に増やすしかないのかもしれない。

今から20年ほど前のJリーグ開幕当時、自分は静岡市の中学に通っていて、いたるところに地元チーム清水エスパルスの匂いがした。GKの子供がとなりの小学校にひっこしてきたり、キャプテンが蕎麦屋で蕎麦をすすっていたり。今でいう、”誰でも会えるサッカー選手”といったところか。

いまは苦しいかもしれないけど、Jリーグの次の飛躍にむけてこれからも応援していこうと思いました。