ベトナムベンチャー企業訪問記4 Peacesoft

1月 16th, 2014 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (ベトナムベンチャー企業訪問記4 Peacesoft はコメントを受け付けていません。)

Peacesoftは、2001年、Nguyen Hoa Binh CEOが学生のときに立ち上げたクロスボーダーのEコマースを手掛ける企業です。同社の主要ビジネスは、1.ペイメントインフラ、2.国内Eコマース、および、3.クロスボーダーEコマースの3部門。

1.ペイメントインフラについては、オンラインペイメントシステムであるnganluong(https://www.nganluong.vn)を独自で開発、銀行などにライセンスしており、ベトナムでナンバーワンのオンラインペイメントプラットフォームとなっています。ペイメントインフラにくわえて、オンライン広告のAdnet(http://www.adnet.vn) の運営、シッピングシステムの開発とITに特化したECのインフラを提供しています。

2.国内Eコマースについては、上記のプラットフォームの国内展開にくわえて、最近、注力しているのが、モバイルペイメント・POS、同社では、SquareのようなモバイルPOS端末の国内展開を実施しています。とくに、ベトナムでは近年クレジットカードが普及しつつあり、“部下がクレジットカードをもっていてびっくりした”(日系企業の日本人の方のコメント)という指摘もあり、クレジットカード利用が高まっています。

くわえて、日本のように宅急便が“確実”に配達してくれるわけではなく、ECの普及率も低い(Binh CEOによればベトナム小売のなかにECが占める割合は0.5%)ため、モバイルペイメントの需要が高まっており、そのソリューションとして提供しています。

3.クロスボーダーECについては、最もわかりやすいのが、ebay.vnの運営。ebay.vnで商品を購入すると、Peacesoftが代理でebayにて購入し、それを購入者に届けるという仕組みです。そして、このドロップシッピングの仕組みを拡張し、ebay, TaoBao(中国最大のECモール)、ヤフー、楽天などから商品を仕入れ、それをASEAN諸国(現状の構想では、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア)へ展開を計画しています。

 同社には、ベトナムのVCであるIDGグループ、ならびに、ソフトバンク(アジア統括)が出資。ベトナム国内におけるペイメントインフラの実績、ならびに、ECというぶれない軸がPeacesoftの企業価値と個人的に感じました。

Nguyen Hoa Binh CEO

ベトナムベンチャー企業訪問記3 Hub IT & Shoppie

1月 16th, 2014 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (ベトナムベンチャー企業訪問記3 Hub IT & Shoppie はコメントを受け付けていません。)

Hub ITは、ベンチャー企業ではなく、ベンチャーを支援するインキュベーションセンターです。創業者のBobby Liu氏はもともとシンガポールにてベトナム投資をされていた方で、今年、ハノイでスタートアップ向けのインキュベーションプラットフォーム hub.ITをスタートさせました。

hub.ITの目的は、ハノイにスタートアップの“エコシステム”を作ることです。具体的には、定期的に“ピッチイベント”を実施し、スタートアップを志すハノイの学生・事業家が自身のアイデアをプレゼンします。

そして、その中から有望と思われるアイデアをサポートすべくhub.ITの施設を半年間無料で利用、経営アドバイス、場合によっては、マイノリティ出資を受けることができます。そうしたインキュベーションをへて、巣立った企業が成功し、hub.ITの新しいスタートアップを応援するというエコシステムです。

Liu氏によれば、ベトナムのスタートアップとしてアクティブなエリアは、1.ソーシャルメディア、2.Eコマース、3.モバイルといったコンシューマー向けサービスであり、B2Bについてはほとんどやっていないとのこと。

 前述のように、ベトナムにおいて経済の中心はホーチミンですが、なぜ、ハノイでスタートアップ支援を始めたのかという問いに対して、“ハノイは大学などの教育機関もあり、スタートアップを目指す良い人材がたくさんいる”と指摘します。

前述のhub.IT内で新しいスマホサービスを提供しようとしているのがShoppieです。Shoppieは、一言でいえば、“モバイルクーポン”で、 Shoppieの創業者Dao Thanh Tuyen氏は、2013年このサービスを立ち上げ、6月にはHanoi Startup Weekend Awardを獲得。現在は、iPhone版、Android版のアプリをリリースしました。現在は、10名程度の人員で、アプリの改良、マーケティング等を実施しています。

 Foursquareのように、Shoppieに対応している店でチェックインし、商品を購入すると、pie(ポイント)が付与される、いわゆる、ポイントサービスアプリです。現状では、GPSを利用して位置測定をしているものの、創業者のDao Thanh Tuyen氏によれば、BTLE(Blouetooth Low Energy、いわゆるiBeacon)を利用して、ユーザが店舗に入ったら、push配信を実現する仕組みをサポートする予定です。

 現状では、ハノイの一部の店舗 (AK Club, ALCADO, HICCUP, LOVE’S CREPE, BOO FASHION, X-FACTORY)でShoppieを利用することができますが、2年間のうちにベトナムのハノイ以外にも拡大、さらには、ASEAN地域への拡大する予定です。

shoppie: http://shoppie.com.vn/

hub.ITオフィス

ベトナムベンチャー企業訪問記2 AKBソフトウェア

1月 8th, 2014 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (ベトナムベンチャー企業訪問記2 AKBソフトウェア はコメントを受け付けていません。)

AKBソフトウェア
 AKBソフトウェアは、日本の久保工業株式会社、そのシステム子会社のKBソフトウェア、そして、ベトナムIT企業大手のAIC Groupの合弁で2008年に設立されたIT企業です。

 代表の末続宣彦社長は、金融系のシステムエンジニアを経て、2000年代からネットでのプロモーションを先駆けて展開、プロモーションビジネスを奥様に任せ、2012年からハノイに移住。ベトナムと日本との架け橋となるべく奮闘されておられます。

 同社のメインのビジネスは、KBソフトウェアからのオフショア開発。長崎に本拠を置くKBソフトウェアは、三菱重工からの受注の一部をオフショアとして同社に委託。日本語が話せるベトナム人がブリッジとなり、かつ、定期的に日本で研修を受けていることもあり、オフショア開発にありがちな、指示した要件とできあがったモノが全然違うという、ボタンの掛け違いは起きないと末続氏は指摘します。

 日本からの受託開発にくわえて、強化しているのは、ベトナム向けビジネス。ベトナムIT企業大手のAIC Groupとのアライアンスにより、ベトナム企業ならびに政府系からのシステム開発の受注を強化。受託にくわえて、自社サービスも強化。
家系図作成が盛んなベトナムのニーズを踏まえた家系図作成ソフト販売の実施、ならびに、検討段階ながらも懸賞サイトによるデータベースマーケティングを今後自社事業として展開予定です。

AKBソフトウェア http://akb.com.vn/jp/index.html

末続宣彦AKBソフトウェア代表

ベトナムベンチャー企業訪問記1 ベトナム

1月 8th, 2014 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (ベトナムベンチャー企業訪問記1 ベトナム はコメントを受け付けていません。)

はじめに

 2013年12月16日~18日にかけて、ベトナム社会主義共和国ハノイ市に訪問し、ハノイ市のIT企業の経営者に会う機会を得ました。ここでは、ベトナムハノイIT企業訪問記として、実際に訪問させていただいた会社の状況、ひいては、ベトナムIT動向を記したものです。当社としては、こうした試みが、ベトナムベンチャー企業の活性化、日本からのベトナムへのアテンションの増加に繋がることができれば幸いです。なお、本文は当事者のヒアリングに基づいた内容に基づいており、一般統計と整合性が取れない可能性がある点、ご留意ください。

ベトナムのIT企業の状況

 ベトナムの都市構成としては、経済の中心はホーチミンであり、政治の中心はハノイ。同2都市が政治・経済の中心を担っています。都市部から離れると、田園風景が広がっており、ヒアリングによれば、“ベトナムのほとんどの層が農業で生計を立てている。ただし、最近ではハノイ、ホーチミンへの移住が急増している”とのこと。

 (独)労働政策研究・研修機構によれば、ベトナムにおける都市部人口が全人口に占める割合は1989年の20%から2024年にかけて35%まで拡大の見通し(*1)。実際、ハノイでもバイク・車が街中にあふれており、何度も渋滞に遭遇しました。ハノイ市でも、人口急増に対応するために都市部の拡張を計画しており、将来的には、道路敷設によってハノイとその衛星都市を繋げるとのこと(*2)。

 農村部からの人口が都市部に急速に流入するのは、1950~60年代の日本と似ているのかもしれませんが、ITという点では他のアジア諸国には引けを取らない印象を受けました。ハノイの街中、さらには、ヒアリングによれば、農村部においても、アンドロイド端末を保有し、電話・メッセージ・アプリを利用しており、総務省のデータによれば携帯電話の普及率は143.4%(*3)とプリペイドが中心ながらも広く普及しています。

 こうした誰もが使う携帯電話向けにビジネスを展開しようとする企業も多く、今回訪問したIT企業の多くも携帯電話向けのサービスを提供しており、新規にスタートアップする企業も増えています。

そのスタートアップを支えるベンチャーキャピタルも活発で、今回訪問したIT Hub(クラウドファンディング形式でスタートアップ企業をサポート)はその一例であり、それ以外の大手VCとしてIDGベンチャーズ(*4)、VI Group(*5)などがあります。

 なお、日本のVCの場合、IPO(新規株式公開)が一つのイクジットとして成立しますが、ベトナムの場合、ホーチミン証券取引所ならびにハノイ証券取引所ともに歴史が浅いこと、ならびに、上場企業の業種が銀行・製造業などが主でありIT企業はほとんどないことから、IPOによるイクジットは現実的ではなく、VCによる企業統合、他社もしくは他国(シンガポール、日本など)への売却が一般的となっています。

 ベンチャー企業が増える一方で、国有企業あるいは元国有企業の規模も大きく、たとえば、IT企業では、もともと科学技術省傘下で2002年株式会社化されたFPTベトナムは、モバイル、ソリューション、オフショア開発など総合的に手掛けており、高い市場占有率を持ちます。

(*1)http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2003_11/vietnam_01.htm
(*2) http://www.hotnam.com/news/100316020957.html
(*3) http://www.soumu.go.jp/g-ict/country/vietnam/detail.html
(*4) http://idgvv.com.vn/en/
(*5) http://www.vigroup.com/en/index.htm

ハノイの風景