エクストリームエコノミー

3月 21st, 2021 | Posted by admin in 長橋のつぶやき

 最近読んだ本 「エクストリームエコノミー」、いやー、面白かったです。500ページくらいあるのですが、あっという間でした。去年読んだ「ファクトフルネス」も面白かったですが、それ以上の面白さでした。


 この面白さは、やはり「エクストリーム(極限)」にあるのだと思います。この本では、9つの「エクストリーム」を上げています。 最初は、インドネシアのアチェの話。アチェは2004年12月のスマトラ島沖地震の津波で住民の55%が落命し、家などすべてが流されましたが、ノウハウは流されず1年あまりで驚異的なスピードで再生(レジリエンス)します。


 もう一つの「エクストリーム」は、未来の姿も見せてくれます。日本の秋田は、人口に占める高齢者の割合は世界屈指の高さで超高齢化社会です。ただ、これは秋田だけではなく、今後、韓国、ドイツ、イタリア、ポルトガルも同じ道を辿るという。そのなかで、増える空き家、学校や病院などの公共サービスの維持、縮小をバランスよくマネージするという未来です。

 あるいは、チリの首都サンティアゴは、1970年代、シカゴ大学で学んだチリの留学生シカゴボーイズは、できるだけ政府が介入せずに、選択の自由を与えるべしという経済政策を導入しました。一時はチリの奇跡として驚異的な経済発展を遂げたものの、貧富の差が拡大、むしろ最近ではこうした格差是正を標榜する政治家に人気が集まるといいます。


 これらはジャンル的には都市経済学とでも言うんでしょうかね。むしろ、自分は旅行記のように都市を旅しているように感じました。それは、ある都市で起きている事象を数字だけではなく、むしろ、数字に表れない人々の絆であったり、工夫であったりといった社会資本。その社会資本の蓄積が外部環境が変わっても対応(レジリエンス)する基礎力になっていると理解しました。


 で、この都市の基礎力は、持続可能な経済成長、いわゆる、SGDs・ESG的なものかもしれないと思いました。というのは、「エクストリームエコノミー」は、自由放任でもなく、計画経済でもなく、ちょうどいい塩梅に成立すると思います。それは、中庸、バランスだと思います。成長することが良いことだ、これはGDPの考え方ですが、成長するだけが良いことではない、この本から世界は変わりつつあると思いました。

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