長州藩に学ぶ”粘る力”とビジネス

3月 24th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | 経営

大河ドラマ”八重の桜”を見ていて、思ったことがあった。

今回のシーンは、蛤御門の変、8月18日の政変で京を追われた長州藩が、何とかしてその勢力を巻き返そうと、御所に攻め入る。もちろん、このドラマは、会津藩からのドラマなので、長州藩は、敵以外の何でもない。でも、自分はあえて、敵たる長州藩の”粘る力”に深く感じるところがあった。

 蛤御門の変では、薩摩藩の力添えもあり、結局、長州藩は完敗、松下村塾の逸材である久坂玄瑞も自刃する。くわえて、追い打ちをかけるように、御所を攻撃した朝敵たる長州藩に対して幕府が全国の大名に命じて第1次長州征伐を実施する。軍力では勝負にならない長州藩は降伏し、高杉晋作を中心とした倒幕派は散り散りになる。歴史に”if(もし)”はありえないけど、これで長州の倒幕派が倒幕を諦めてしまったら、もしかしたら、今は違った世の中になったかもしれない。でも、高杉晋作をはじめ長州倒幕派は、決して諦めることなく、そして、遂には、薩長同盟という形で、一気に流れを変えた。

 これはビジネスでも同じだなと思う。ビジネスにおいて、”新しいことをやろう”と言っても、普通は反対されることが多い、むしろ、これは”素晴らしいから是非やるべし”、と最初から全面的に会社からバックアップされて進むパターンは自分が知っている限り稀だし、これで上手くいく例はあまり知らない。むしろ、”こんなの売れるわけがない、時間の無駄だ”と言われて、お蔵入りになるケースの方が多い。でも、長州藩のように、打たれて(8月18日の政変)、打たれて(蛤御門の変)、ノックアウトされて(第1次長州征伐)、でも、粘って信念を貫く。そして、粘った結果、製品の成功、新しいフロンティア、収益につながるんだと思う。まさに、never never never give upです。

では、何が長州藩の”粘る力”を生み出すか?司馬遼太郎は「世に棲む日々」でとても的確な指摘をしている。

分類すれば、革命は3代で成立するのかもしれない。初代は松陰のように思想家として登場し、自分の思想を結晶化しようとし、それに忠実であろうとあまり、自分の人生そのものを喪ってしまう。初代は、多くは刑死する。2代は、晋作のような乱世の雄であろう。刑死することはないにしても、多くは乱刃のなかで逃走し、結局は非業に斃れねばならない。3代目は、伊藤博文、山県有朋が、もっともその形を代表しているであろう。 (「世に棲む日々(4)p97)

吉田松陰が播いた種が、高杉晋作で実を結び、伊藤博文、山県有朋で収穫を迎えると。もちろん、収穫も重要だけど、やっぱり、一番重要なのは、”種をまくこと”だと思う。吉田松陰は、安政の大獄に座して、非業の死を遂げたけれども、その”種”=理念が後々になって結実した。言ってみれば、理念があるからこそ、”粘る力”が生まれたとも言える。自分もいろいろな会社を見ているけど、やはり、”これだけは絶対にやりとげる”という理念を持っている会社は強い。それは、まさに長州藩のように”粘る力”があるからだと思う。”粘る力”を育てる、これが成功の秘訣なのかもしれない。

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