ベトナムベンチャー企業訪問記1 ベトナム

1月 8th, 2014 | Posted by admin in 長橋のつぶやき

はじめに

 2013年12月16日~18日にかけて、ベトナム社会主義共和国ハノイ市に訪問し、ハノイ市のIT企業の経営者に会う機会を得ました。ここでは、ベトナムハノイIT企業訪問記として、実際に訪問させていただいた会社の状況、ひいては、ベトナムIT動向を記したものです。当社としては、こうした試みが、ベトナムベンチャー企業の活性化、日本からのベトナムへのアテンションの増加に繋がることができれば幸いです。なお、本文は当事者のヒアリングに基づいた内容に基づいており、一般統計と整合性が取れない可能性がある点、ご留意ください。

ベトナムのIT企業の状況

 ベトナムの都市構成としては、経済の中心はホーチミンであり、政治の中心はハノイ。同2都市が政治・経済の中心を担っています。都市部から離れると、田園風景が広がっており、ヒアリングによれば、“ベトナムのほとんどの層が農業で生計を立てている。ただし、最近ではハノイ、ホーチミンへの移住が急増している”とのこと。

 (独)労働政策研究・研修機構によれば、ベトナムにおける都市部人口が全人口に占める割合は1989年の20%から2024年にかけて35%まで拡大の見通し(*1)。実際、ハノイでもバイク・車が街中にあふれており、何度も渋滞に遭遇しました。ハノイ市でも、人口急増に対応するために都市部の拡張を計画しており、将来的には、道路敷設によってハノイとその衛星都市を繋げるとのこと(*2)。

 農村部からの人口が都市部に急速に流入するのは、1950~60年代の日本と似ているのかもしれませんが、ITという点では他のアジア諸国には引けを取らない印象を受けました。ハノイの街中、さらには、ヒアリングによれば、農村部においても、アンドロイド端末を保有し、電話・メッセージ・アプリを利用しており、総務省のデータによれば携帯電話の普及率は143.4%(*3)とプリペイドが中心ながらも広く普及しています。

 こうした誰もが使う携帯電話向けにビジネスを展開しようとする企業も多く、今回訪問したIT企業の多くも携帯電話向けのサービスを提供しており、新規にスタートアップする企業も増えています。

そのスタートアップを支えるベンチャーキャピタルも活発で、今回訪問したIT Hub(クラウドファンディング形式でスタートアップ企業をサポート)はその一例であり、それ以外の大手VCとしてIDGベンチャーズ(*4)、VI Group(*5)などがあります。

 なお、日本のVCの場合、IPO(新規株式公開)が一つのイクジットとして成立しますが、ベトナムの場合、ホーチミン証券取引所ならびにハノイ証券取引所ともに歴史が浅いこと、ならびに、上場企業の業種が銀行・製造業などが主でありIT企業はほとんどないことから、IPOによるイクジットは現実的ではなく、VCによる企業統合、他社もしくは他国(シンガポール、日本など)への売却が一般的となっています。

 ベンチャー企業が増える一方で、国有企業あるいは元国有企業の規模も大きく、たとえば、IT企業では、もともと科学技術省傘下で2002年株式会社化されたFPTベトナムは、モバイル、ソリューション、オフショア開発など総合的に手掛けており、高い市場占有率を持ちます。

(*1)http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2003_11/vietnam_01.htm
(*2) http://www.hotnam.com/news/100316020957.html
(*3) http://www.soumu.go.jp/g-ict/country/vietnam/detail.html
(*4) http://idgvv.com.vn/en/
(*5) http://www.vigroup.com/en/index.htm

ハノイの風景

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