人を雇う 独立ノウハウ

6月 24th, 2013 | Posted by admin in 独立 | 経営 - (人を雇う 独立ノウハウ はコメントを受け付けていません)

前の、合同会社と株式会社に続いて、人を雇うという話。

独立には、二つの方法があって、一つは個人事業のように一人ですべてこなす”個人事業型”、もう一つは、人を雇って事業を拡大する”雇用事業型”。

 当然ながら、いずれもメリット・デメリットがある。個人事業のメリットは、基本自分の食い扶持を稼げばいいので、それなりの仕事があれば、食べていくのはそれほど難しくない。一方、雇用事業型の場合は、人を雇うので、給料を支払わなければいけないし、”今月は収入がないから給料なし”、ではすまされない。だから、ある程度の売上が必要になる。

 では、個人事業と雇用事業どちらがいいか?ケースバイケースなので、何とも言えないけど、一つ言えるのは、どちらもパートナーの存在なしには事業はありえないこと。個人事業主は、一人でやっているようにみえるけど、そうでもない。たとえば、本・媒体に文章を書く仕事は、典型的な”一人でやる仕事”、のように見えるけど、意外とそうでもない。当然ながら、本であれば出版社があって、出版社の編集者と綿密にコミュニケーションを取りながら、書いて直して、買いて直して、という作業を繰り返して、出版にこぎつける。出版したら、書店や媒体宣伝のための営業活動、さらには、次の出版社へのアプローチなど、時間的には一人で書いている時間は長いかもしれないけど、パートナーとの協業なしではありえない。もしかしたら、電子書籍であれば、セルフサービスで全部一人でできちゃうかもしれないけど、それはそれで味気ない気がする。

 そう、人を雇うと雇わないと関係なく、一人でビジネスをやるということはありえない。そして、最近思うのは、ネットによってこうしたパートナー探しのチャンスが増えてきていると思う。スタートアップベンチャーの様子を描いた「Yコンビネーター」(ランダル・ストルス著、日経BP)では、スタートアップベンチャーで人を探す手段として、クレイグリスト(地元の不動産、求人などを掲載したコミュニティサイト)を挙げている。日本でも、クラウドソーシングみたいな形でネットを通じてイラスト、ロゴの発注をしたりと、ネットを通じたパートナー探しが結構増えている。とくに、日本の大企業の場合、何から何まですべて自社で完結する完全内製型で外部との仕事はお断りというのはまだそれなりにあるけど、海外に目を向けると外部パートナーとの協業は当たり前、みんなで知恵を集めてよりよいものを作るという会社が多いように思う。

 そういう意味で、雇用事業型の雇用とは、自社内にパートナーを増やすということかもしれない。これはこれで重要だと思う。いくら外部のパートナーに頼んだところで、一人で回せないこともある、だから、内部にパートナーを雇って、事業を大きくする。結局のところ、個人事業型と雇用拡大型の違い、それは、外にパートナーを求めるのか、あるいは、内でパートナーを求めるのか、どちらかなのだと思うのです。

”アマゾンのショールーム化”問題をどう解決するか

5月 29th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | テクノロジー | 経営 - (”アマゾンのショールーム化”問題をどう解決するか はコメントを受け付けていません)

ヤマダ電機、全役員を降格処分 「アマゾンのショールーム化」避けられない?、この記事を読んで、思ったこと。

各地で発生するアマゾンのショールーム化

ヤマダ電機に限らず、最近、この手の”アマゾンのショールーム化”の話をよく聞く。典型例は、書店だ。

まず、本屋にいって、立ち読みして、よさそうだったらアマゾンで注文する。条件を満たせば、送料も無料だし、家まで宅配してくれるし、クレジットカードで決済すれば、クレジットカードのポイントもたまる。なので、あえて、街の本屋で買わずに、アマゾンで買う。

自分の知っている会社でも、この”アマゾンのショールーム化”問題に手をやいているところもあって、この問題を抱えている企業・小売店は結構多いと思う。

ショールーム化をどう解決するか?

で、どうやってこの問題を解決するか?

最もわかりやすいのは、”価格勝負”、アマゾンより安く販売する、価格.comの価格ランキングは、だいたいアマゾンが一番安いけど、たまに、それを上回る価格でアピールする小売店もある。ただ、これはおそらく長続きしない。というのは、アマゾンは大量に仕入れる分だけ、それだけディスカウントが効いているわけだし、闇雲に価格勝負を挑むと、結局、消耗戦になり、勝てない。

もう一つ考えられるのは、”ショールームに徹する”。たとえば、本屋を全部立ち読みOKにして、そして、QRコードなりでタッチすると、アマゾンのアフィリエイト経由で、商品を購入できる仕組み。ただ、アフィリエイトの料率も年々下がっており(今年6月からは書籍一律3%)、店舗の賃料、従業員・パートの賃金、などのコストを回収するのは、よほど売り上げをあげるか、コストを下げるかをしないと難しく、これもそれほど現実的じゃないと思う。

となると、残るのは、店・定員に対する愛着心なんだと思う。たとえば、この店にいけば、カメラのことが詳しい店員がいる、あの店はディスプレイの仕方が工夫されている、あるいは、あの店で買うと壊れたとき修理してくれる、など、店・店員が”スペシャル”であると、アマゾンもすべては顧客のためにという経営理念を標榜しているけど、さすがに、物理的に店をもって、店員を抱えているわけではないので、これは”物理”店に分がある。これはコーヒーと同じで、150円でマックでコーヒーは買えるけど、あえて、倍の300円以上出してスタバに行くのは、店・店員が”スペシャル”だから。

コーヒーと家電量販店とは、仕入れ条件などがあるので、単純には比較できないけど、ただ、スペシャルな店・店員に惹かれて、それにお金を払うのは、世界中どこにでもあるのだと思う。

オペレーションと研究

2月 24th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (オペレーションと研究 はコメントを受け付けていません)

オペレーションと研究

最近、思うこと、オペレーションは重要であること。

その昔、大学にいたとき、右手にオペレーション(ネットワーク運用)、左手に研究(テーマをきめて論文を書く)が理想と教えられた。

これは言うのは簡単なんだけど、実行するのは難しい。”べつに、ネットワークなんて、ルータ・スイッチ入れれば、動くでしょ?”というのは現場を知らないコメントで、ベンダーが違うルータ・スイッチ間でトラブルがおきたり、DoSアタックがあったり、想定外のトラブルが結構発生する。で、そうした想定外のトラブルが発生した際に、うまく対処して、安定したネットワーク接続環境を提供する、そのためには、ある程度張り付いていなくてはいけない。ネットはつながって当たり前の中、まさに”縁の下の力持ち”的な役割だけど、このオペレーションなくして語ることはできない。

一方、研究はちょっと違う。研究者の場合、仕事のアウトプットは、業績、どれだけの論文を書いたかが、全部じゃないけど、ある程度の評価指標となる(こんなすごいシステムをつくりましたより、年に10本論文を書きました、の方がわかりやすい)。でも、”こんなことがおきました”だけど論文にしにくいので、何かしらの仕組み(新しいシステムを考えて、それを実装して、評価する)が必要になる。もちろん、ネットワークの現場でおきたトラブル等に対して、何かしらの仕組みを考えて、実装・評価する、これが理想だけど、簡単なことではない。

一般的にアカデミックの場合、後者(研究)の方が評価される傾向にあると思う、それは当然でネットワーク運用しました、より、1年に10本論文書きましたの方がわかりやすい。でも、ビジネスの場合、もちろん、研究も重要だけど、全社のオペレーションの方が重要だと思う。つまり、どんなに素晴らしいシステムを作ったとしても、オペレーションができていなければ、何も付加価値が生まれない。そして、オペレーションを極める(たとえば、どんな本でも翌日に配送するなど)と、それが会社の競争優位性となり、他社との差別化の重要な要素となる、いわゆる、オペレーションエクセレンスだ。

もちろん、オペレーションだけでも駄目だし、研究だけでも駄目。でも、企業という観点から、オペレーションの方が重要なのかもと思うのでした。