ベトナムベンチャー企業訪問記4 Peacesoft

1月 16th, 2014 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (ベトナムベンチャー企業訪問記4 Peacesoft はコメントを受け付けていません)

Peacesoftは、2001年、Nguyen Hoa Binh CEOが学生のときに立ち上げたクロスボーダーのEコマースを手掛ける企業です。同社の主要ビジネスは、1.ペイメントインフラ、2.国内Eコマース、および、3.クロスボーダーEコマースの3部門。

1.ペイメントインフラについては、オンラインペイメントシステムであるnganluong(https://www.nganluong.vn)を独自で開発、銀行などにライセンスしており、ベトナムでナンバーワンのオンラインペイメントプラットフォームとなっています。ペイメントインフラにくわえて、オンライン広告のAdnet(http://www.adnet.vn) の運営、シッピングシステムの開発とITに特化したECのインフラを提供しています。

2.国内Eコマースについては、上記のプラットフォームの国内展開にくわえて、最近、注力しているのが、モバイルペイメント・POS、同社では、SquareのようなモバイルPOS端末の国内展開を実施しています。とくに、ベトナムでは近年クレジットカードが普及しつつあり、“部下がクレジットカードをもっていてびっくりした”(日系企業の日本人の方のコメント)という指摘もあり、クレジットカード利用が高まっています。

くわえて、日本のように宅急便が“確実”に配達してくれるわけではなく、ECの普及率も低い(Binh CEOによればベトナム小売のなかにECが占める割合は0.5%)ため、モバイルペイメントの需要が高まっており、そのソリューションとして提供しています。

3.クロスボーダーECについては、最もわかりやすいのが、ebay.vnの運営。ebay.vnで商品を購入すると、Peacesoftが代理でebayにて購入し、それを購入者に届けるという仕組みです。そして、このドロップシッピングの仕組みを拡張し、ebay, TaoBao(中国最大のECモール)、ヤフー、楽天などから商品を仕入れ、それをASEAN諸国(現状の構想では、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア)へ展開を計画しています。

 同社には、ベトナムのVCであるIDGグループ、ならびに、ソフトバンク(アジア統括)が出資。ベトナム国内におけるペイメントインフラの実績、ならびに、ECというぶれない軸がPeacesoftの企業価値と個人的に感じました。

Nguyen Hoa Binh CEO

ベトナムベンチャー企業訪問記3 Hub IT & Shoppie

1月 16th, 2014 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (ベトナムベンチャー企業訪問記3 Hub IT & Shoppie はコメントを受け付けていません)

Hub ITは、ベンチャー企業ではなく、ベンチャーを支援するインキュベーションセンターです。創業者のBobby Liu氏はもともとシンガポールにてベトナム投資をされていた方で、今年、ハノイでスタートアップ向けのインキュベーションプラットフォーム hub.ITをスタートさせました。

hub.ITの目的は、ハノイにスタートアップの“エコシステム”を作ることです。具体的には、定期的に“ピッチイベント”を実施し、スタートアップを志すハノイの学生・事業家が自身のアイデアをプレゼンします。

そして、その中から有望と思われるアイデアをサポートすべくhub.ITの施設を半年間無料で利用、経営アドバイス、場合によっては、マイノリティ出資を受けることができます。そうしたインキュベーションをへて、巣立った企業が成功し、hub.ITの新しいスタートアップを応援するというエコシステムです。

Liu氏によれば、ベトナムのスタートアップとしてアクティブなエリアは、1.ソーシャルメディア、2.Eコマース、3.モバイルといったコンシューマー向けサービスであり、B2Bについてはほとんどやっていないとのこと。

 前述のように、ベトナムにおいて経済の中心はホーチミンですが、なぜ、ハノイでスタートアップ支援を始めたのかという問いに対して、“ハノイは大学などの教育機関もあり、スタートアップを目指す良い人材がたくさんいる”と指摘します。

前述のhub.IT内で新しいスマホサービスを提供しようとしているのがShoppieです。Shoppieは、一言でいえば、“モバイルクーポン”で、 Shoppieの創業者Dao Thanh Tuyen氏は、2013年このサービスを立ち上げ、6月にはHanoi Startup Weekend Awardを獲得。現在は、iPhone版、Android版のアプリをリリースしました。現在は、10名程度の人員で、アプリの改良、マーケティング等を実施しています。

 Foursquareのように、Shoppieに対応している店でチェックインし、商品を購入すると、pie(ポイント)が付与される、いわゆる、ポイントサービスアプリです。現状では、GPSを利用して位置測定をしているものの、創業者のDao Thanh Tuyen氏によれば、BTLE(Blouetooth Low Energy、いわゆるiBeacon)を利用して、ユーザが店舗に入ったら、push配信を実現する仕組みをサポートする予定です。

 現状では、ハノイの一部の店舗 (AK Club, ALCADO, HICCUP, LOVE’S CREPE, BOO FASHION, X-FACTORY)でShoppieを利用することができますが、2年間のうちにベトナムのハノイ以外にも拡大、さらには、ASEAN地域への拡大する予定です。

shoppie: http://shoppie.com.vn/

hub.ITオフィス

ビックデータとスモールデータのはざまで

1月 4th, 2014 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (ビックデータとスモールデータのはざまで はコメントを受け付けていません)

最近、スモールデータという言葉を聞くようになった。

いうまでもなく、ビックデータに対するアンチテーゼだ。

ビックデータとスモールデータ、何が違うのだろうか?

結局のところ、自分の理解では、誰が意思決定するか、という話だと思う。

ビックデータの場合の意思決定は、コンピュータ、膨大なデータの中から、人間によってプログラムされたアルゴリズムを基に、パターン(例:ワインの熟成度、ユーザの嗜好(この商品をかったユーザは、この別の商品も買う)、などなど)を発見する。この場合は、データが多ければ多いほど良いので、必然的に人間の出番は少なくなる。

一方、スモールデータの場合、 “小さい”データであるので、判断するのは人間だ。結局のところ、情報理論で重要なのは、S/N(Signal/Noise)比、ノイズばっかりで信号(Signal)が少なければ意味がない。だから、ノイズを減らして、S/N比を上げる、そうすれば、必然的にデータは少なくなり、”スモールデータ”となる。

では、この”ビックデータ”と”スモールデータ”、どちらがよいか?

単純に比較はできないけど、結局のところ、どうパターンを見つけるかという話だと思う。




ビックデータにしろ、スモールデータにしろ、重要なのは、データの中からあるパターンを(この購買履歴のあるユーザに、別の商品を提案すれば売れるなど)見つけることだと思う。そして、ビックデータはコンピュータによるアプローチ、スモールデータはどちらかといえば人間によるアプローチ、どちらが優れているとは一概に言えない。

たしかに、コンピュータの処理能力は上がってきているけど、回帰分析をする場合であれば、どれを説明変数にすればいいなど、結局のところ、やはり、人間の知見が必要だと思う。

コンピュータ頼みもダメだし、かといって、人間頼み一遍でもダメ、コンピュータと人間とのはざまでのバランス、これが大事なんだと思ったのでした。

ちなみに、パターンを見つけるという話は、拙著「ビックデータ戦略」で触れていますので、こちらもご参照ください。

顧客を獲得する 独立ノウハウ

7月 20th, 2013 | Posted by admin in 独立 | 経営 - (顧客を獲得する 独立ノウハウ はコメントを受け付けていません)

かのピーター・ドラッガーはこう言っている、”事業の目的は、顧客を創造すること”と。

独立しようが、企業にいようが、一番、難しいけど、知恵の絞りがいがあるもの、それは顧客を獲得することだと思う。

これがわかったら誰も苦労しないし、自分も教えてもらいたいくらいだ。とはいうものの、独立という観点では、いままで見てきた経験だと、顧客の獲得には、1.既存の顧客および2.新規顧客の2種類があると思う。

既存の顧客

蕎麦屋・ラーメン屋に”のれん分け”という風習がある。たとえば、ある若者がラーメン屋を開業することを目指すとする。その場合、有名店・繁盛店で修業するというのは一つの手段だ。やっぱり、繁盛店は、何かしらお客さんの琴線に触れるものがあるから、繁盛するわけであって、たとえ、皿洗いといった下っ端の仕事であっても、次第に様々な仕事をこなすことで、繁盛店のノウハウをある程度身につけることができる。そして、親方がみても一人前になったら、”のれん分け”という形で、自分の店をもつ。

 この場合は、新しくビジネスをはじめるわけだけど、リスクという点ではそれほど高くない。たとえば、美容室の場合、担当が決まっていて、”いつものカットでお願い”といえば、だいたい対応してくれる。だから、その担当者が自分で開業すれば、その担当が開業した店にいく。つまり、店に価値があるのではなくて、人に価値があり、最初の資金繰りは大変かもしれないけど、安定したお客さんがいれば、なんとかなる場合が多い。自分もどちらかといえば、このタイプに当てはまる。

 これは企業でも同じだと思う。たとえば、IT企業の場合、大企業であれば、ほとんど、自分でプログラミング・システム構築をすることはなく、むしろ、進捗管理などのプロジェクトマネージャー的な役割が多い。そして、実際のプログラミング・システム構築は、協力会社と呼ばれる会社に外注する。プロジェクトマネージャーにしてみれば、重要なのは、進捗通りプロジェクトが進行すること。だから、かつての協力会社でイケてる社員が自分の会社を立ち上げたとしても、きっちり仕事ができれば、その新会社に発注する価値はある。

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新規の顧客

 もう一つの顧客獲得は、新規。いってみれば、何もないところから、自分たちで新しいモノを生みだし、そして、全く面識のない顧客を獲得する。

 これは、既存の反対で、リスクが高い。たとえば、いまでこそ、クックパッドは、押しも押されぬ日本ナンバーワンのレシピサイトだけど、サイトをオープンしたのは、10年近く前の話。そして、10年前にクックパッドを知っていた人は、ごくわずかにすぎない。もちろん、素晴らしいサービスだから、今のクックパッドがあるわけだけど、たとえ、ネットであっても、口コミが口コミを誘って、国民的なサービスになるまでには、それなりに時間がかかる。5年間、やっても芽が出なかったということで、サービスをやめた自分の知り合いもいる。

 このようにゼロからサービスを立ち上げて、新しい顧客を生みだすのは、本当にうまくいくかどうかわからないので、リスクが高い。でも、リスクが高い分、国民的サービスとして、日本国民、ひいては、世界から認知されれば、そのリターンは計り知れない。

既存か新規か?

 既存の顧客を獲得するか、それとも、新規の顧客を獲得するか?これはどちらが良いかは、判断しにくい。

既存の場合、たしかに、ビジネスとしては”カタい”、ただし、たとえば、上述のIT系の場合であれば、お客さんから言われた仕事をこなす”受託屋”になりがち。受託屋自体は悪くはないけど、ずっと、受託一本だと、発注先の業績に依存してしまうところがある。お客さんの業績が悪くなると、まず、最初にカットするのが、外注費。外注を内製化に変えれば、その分コストカットできるので、最初にコスト削減で手をつけるところになる。

 そういう意味で、自分でサービス・製品をつくって、新規の顧客に提供する方が、”受託屋”特有のリスクはない。でも、その立ち上げが茨の道であることは触れたとおり。

 これって結局のところ、”リスク”なんだと思う。投資と同じで、人によって、とれるリスクは異なる。低いリスクしか取れないひともいるし、高いリスクを取りたい人もいる。というわけで、独立したから、ローリスクで既存のお客さんを活かせ、というのはナンセンスだし、逆もまたしかりと思うのです。

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横浜マリノスにみるJリーグの経営学

7月 18th, 2013 | Posted by admin in Jリーグの経営学 | 経営 - (横浜マリノスにみるJリーグの経営学 はコメントを受け付けていません)


先日、横浜マリノス 2012年度 決算をFacebookに投稿したら、とても有益なコメントをいただいたので、シェアさせていただきます。

マリノスの2012年度決算

Jリーグのクラブというフィルターなしに、1企業として横浜マリノス(株)の決算内容を見ると、危機的な内容。まず、貸借対照表(B/S)の純資産の部が、▲16.7億円と大幅マイナス。赤字が累積し、その累損赤字が資本金を上回る、いわゆる、債務超過状態。債務超過=倒産というわけではないものの、少なくとも、銀行に融資をお願いしても、銀行側は貸し倒れのリスクは高いと判断して、おカネを貸してもらえない可能性が高い。

 くわえて、損益計算書(P/L)では、営業収益(売上高)37.1億円に対して、営業費用が42.1億円、主に人件費の負担が重く、営業損失は▲5億円の赤字。キャッシュフロー計算書は、開示されていないけど、おそらく、営業キャッシュフロー(本業から得られる1年間の現金収入)も赤字、すなわち、ビジネスをすればするほど、キャッシュが流出し、赤字がかさみ、債務超過の状態に歯止めがかからない。

債務超過の背景

普通の企業として、横浜マリノスを見た場合、上記のような危機的な状況であるものの、”Jリーグのクラブ”という点からみれば、赤字になること自体はおかしいことではない。その理由は、やはり、収益機会が少ないこと。普通の企業の場合、土日を除く52週間(1年)x5日=260日間、生産・営業・販売活動をするチャンスはあるけど、Jリーグの場合は、リーグ戦34試合、カップ戦6試合、天皇杯1試合=41試合(*1)、プロ野球の場合、144試合なので、試合数にすればプロ野球の方がJリーグより3倍も多い、1試合あたりの入場料収入が同じであれば、当然、試合数の多いプロ野球の方が収入も多い。くわえて、横浜マリノスの入場者数は、自社努力によって、2012年度は増えているものの、Jリーグ全体の入場者数が減っている。というわけで、プロサッカー選手を維持するための人件費 > 入場料・広告収入、すなわち、赤字になると。

(*1)ただし、カップ戦6試合は予選リーグのみなので、決勝トーナメントで優勝すると+5試合、天皇賞についても優勝する場合は、2~7回戦までの6試合なので、最大は34 + 11 + 6 =51試合、ただし、アジア・チャンピオン・リーグに出場する場合を除く

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ただし、他クラブと横浜マリノスが違うところは、横浜マリノスの場合、経営の独立性を上げていること。横浜マリノス嘉悦朗社長へのインタビューによれば

親会社にクラブの赤字を補填してもらって、財務を表面的に穏やかに見せるようなことを僕はやりたくはない。そもそもマリノスの社長に就任したとき、日産から「赤字補填なしでやっていけるように改革してくれ」と言われていました。どこまで自力でやれるか、本気でチャレンジしたいんです。経営の透明性ですよね。

と経営の透明性を確保すべく、他のクラブが親会社からの赤字補填があるのにたいして、横浜マリノスの場合、親会社である日産からの赤字補填をしない経営方針のために、累損が膨らむ図式となっている(キャッシュフローでいえば、営業キャッシュフローは赤字だけど、財務キャッシュフローがプラスなので、フリーキャッシュフローがトントン)。

親会社への依存

 閑話休題。万年赤字のJリーグクラブが累積赤字を解消するために、親会社に頼る、この図式は、自分にはかなり見覚えがある風景。とくに、自分はIT子会社(親が大手企業で、その大手企業向け情報システムの開発・運用をする)と付き合うことがおおくて、その多くは、Jリーグクラブと同じ。すなわち、親会社の情報システムのメンテナンスが中心なので、当然、赤字が続く。親が体力があるうちは問題ないけど、いざ、体力が落ちると、外販(親以外の会社にシステム・ソリューションを販売)などの形で、”親離れ”が必要になる。でも、この”親離れ”ができない企業が結構多い。まさに、子会社にとっては、”親がなんとかしてくれる”と思っているからだ(もちろん、こういう会社だけではなくて、きちとん、親離れできているIT子会社もたくさんあります)。

クラブライセンス制という黒船

 やはり、累積赤字を親会社が補填するというのは、あまり健全でない。クラブも1企業である以上、フリーキャッシュフローをプラスにして、きちんと、税金を支払うのが企業の役割の一つだと思う。こうしたこともあり、2013年度から導入されるのが、「クラブライセンス制度」、もともと、ドイツにおいて各クラブのリーグ参加資格をチェックするために生まれた規格で、今年からJリーグクラブにも適用される。様々な規則があるけど、ここで関係するのは、財務基準。Wikiによれば、Jリーグのクラブとしてプレーするためには、以下の財務基準を満たす必要があり、満たせない場合は、下位リーグであるJFL等への降格になる可能性がある。

財務基準
・年次財務諸表(監査済み)を提出し、Jリーグの審査を受けること(A基準)。その際、3期連続の当期純損失(赤字)を計上していないこと(2012年度-2014年度の3年間以降で算定)および債務超過でないこと(2014年度から算定)が必須条件となる
・移籍金や給与の未払いが生じていないこと(A基準)

3期連続の当期純損失もあるけど、やはり、論点は、何度か指摘している債務超過でないことだろう。結論として、今回取り上げる横浜マリノスについては、親会社の補填なくして、債務超過の解消は不可能だろう。そして、親の援助なくして、黒字をキープできるクラブはかなり限られると思われる。

で、どうするか?

 こうした点を踏まえると、Jリーグクラブの経営はかなり難易度が高い。財務リストラとして、人件費をさらにカットすれば、選手のモチベーションが下がる→チームの成績が落ちる→入場料・広告収入が減る→赤字がさらに拡大、とネガティブスパイラルに陥る可能性が高い。だからといって、いつまでも親にたよれるかと言えば、IT子会社の例のように親会社がつねに体力があるとは限らない、まさに袋小路状態だ。

 で、どうするか。一つは、日本の製造業のように、海外に展開するのはあると思う。Jリーグはアジアを目指す ~生き残りをかけた600億円市場 獲得戦略~のように、アジアに進出して、広告収入を増やすのは一つの手だと思う。”アジアでサッカーは流行らない”といったら終わりで、やはり、やるしかないと思う。

おわりに

Jリーグの経営については、ずぶの素人であった自分に、有益なコメントを下さった皆様ありがとうございました、ここに御礼申し上げます。とくに、大学の研究室の先輩である土本 康生さんからは、一筋縄ではいかないJリーグの状況についてとても有益なコメントをいただきました、この場を借りて感謝の意を表します。

追記:サッカーの総試合数について、カップ戦、天皇杯、それぞれ優勝した場合のケース最大51試合を追記しました。
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週刊ダイヤモンド7月20日号

7月 17th, 2013 | Posted by admin in お知らせ - (週刊ダイヤモンド7月20日号 はコメントを受け付けていません)

週刊ダイヤモンド7月20日号の「数字で会社を読む グーグル」に協力させていただきました。
ウエブは、こちらからアクセスできます。

グーグルについては、連載:世界ハイテク企業ウォッチ グーグルのサービス一覧まとめ、プロダクトポートフォリオでその強さを読み解くも併せてご参照ください。

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インダストリアル・インターネットにみるGEの経営力

7月 11th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | 経営 - (インダストリアル・インターネットにみるGEの経営力 はコメントを受け付けていません)

たまたま、読んでいたFinancial Timesの記事にとても興味深い記事があった。タイトルは、”GE plans platform path for ‘internet of things’” (GEがinternet of things のプラットフォームを提供する)というもの。

仕組みとしては、GEが提供している航空機エンジン、鉄道などにセンサーを搭載し、センサーからのデータを集約して、分析して、パターンを見つけて、運用効率を上げるというものだ。こうした試み自体はそれほど新しい話ではないけど、産業界において圧倒的なシェアを誇るGEが取り組むことで、裾野が広がることは間違いないだろう。

どちらかというと、自分がこの記事を読んで驚いたのは、ハードウェアの売上がほとんどのGEがソフトウェア分野に取り組むという決断をしたこと。

普通の企業の場合、こうした決断はなかなかできない。というのは、ハードウェアが”稼ぎ頭”である場合、必然的に、その部門の影響力が強くなり、会社の方針としても、その影響力の強い部門を反映したモノになりがちだ。

そして、新規にソフトウェア分野に取り組むというのは、もちろん、ハードウェアとの相乗効果はあるけど、ハードウェア部門からしてみれば、自分たちの領域を侵すことにもなりかねない、で、当然、反発するケースが多い。よく、ハードウェアとソフトウェアの両輪というけど、なかなかこれが実現できないのは、社内の力学の問題が大きいともいえる。

だからこそ、GEのこうした決断は評価したい、そして、これは結局のところ、経営者のリーダーシップの賜物なんだと思う。
GEといえば、長い年月とコストをかけてCEOを選ぶことで知られているけど、やはり、こうした”やならければいけない”ことを実現するために必要な投資なのかもしれないと、このインダストリアル・インターネットから思いました。

グルーポンとロケーション・モバイル

6月 30th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | テクノロジー - (グルーポンとロケーション・モバイル はコメントを受け付けていません)

前のエントリーでロケーション・モバイルが広がっていることを紹介したけど、もうひとつ最近思っていること。

それは、最近のグルーポン、英語版のグルーポンのメールを毎日受け取っているけど、たとえば、IT University Online – Online Deal(MSオフィスのトレーニングコース)のように、一回受けたら終わりのモノが多い。

これって、もともとのグルーポンの思想と違ってないか?というのが、最近、思っていること。

自分の理解では、グルーポンのもともとの思想は、”ローカルのプラットフォーム”、近くのレストランのクーポンをグルーポンのサイトで購入し、最初は割安で試せるけど、次からは常連となって、そのレストランの長期の収益に貢献する。グルーポンとしては、グルーポンでクーポンを購入する顧客にとっては、”近くにいい店を発見した、今後、友達を連れていってみよう”と次のきっかけになり、レストランとしても、新規顧客開拓になり、そして、グルーポンとしてもクーポンを購入してもらえるので、全員ハッピーになれる、理想的なビジネスモデルのように見える。そして、この”ロケーション・モバイル”という文脈からは、グルーポンほどふさわしいプラットフォームがないように見える。

でも、実際、グルーポンは、たしかに、地域にあわせたクーポンもあるけど、やはり、”1回きり”が多いようにみえる。

自分の理解では、結局のところ、グルーポンは“安売り”だからだと思う。安売り自体は全然悪くない、むしろ、同じもので値段が安ければ当然安い方を買うべきだと思う。

でも、グルーポンに掲載されているモノは、すべて安いとなると話は別だ。

レストランの場合、最初は安いかもしれないけど、次にいったら同じ値段で提供できるわけではない。安さだけを求めたら、顧客サイドとしても、”高いなあ”と思ってしまう。

そして、レストランとしても、ファミリーレストランのようなチェーン店は別だけど、”ウチは安いから来てほしい”と思うレストランはそれほどないはずだ。そして、安くしようとしたら、規模を拡大して、仕入れコストを安くするみたいな話になるので、結局のところ、ファミリーレストランに収斂すると思う。

そう考えるとグルーポンという仕組み、”安い”を目当てに購入する顧客・運営サイドと、安い以上のモノを求める店舗サイドとの間にギャップがあるように思う。だから、オフィス講座のような”1回きり”もしくは”在庫処分セール”が主流になるんじゃないかと。それはそれで、クーポンサイトの一つの歩む道かもしれない。

広まる”ロケーション・モバイル”

6月 30th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | テクノロジー - (広まる”ロケーション・モバイル” はコメントを受け付けていません)

ビジネス・インサイダーに面白い記事があったので、紹介。

タイトルは、Why Local-Mobile Marketing Is Explodingで、さしずめ、日本語に訳せば、拡大するローカル・モバイルマーケティングといったところだろうか。

ローカル・モバイルとは?

そもそも、ローカル・モバイルとは、”geo-aware” 、あるいは、”geo-fenced”なども称され、要するに、定額パケットスマホが普及すると、位置情報と組み合わせたいろいろなサービスが提供できる。たとえば、Googleでは、スマホで”ピザ屋”と検索すると、自分の居場所から最も近いピザ屋を検索して、表示してくれたりする。言ってみれば、スマホを軸としたネットとリアルの融合といったところだろう。

拡大するローカル・モバイル

日本でも、このローカル・モバイル、だいぶ利用するところが増えてきたけど、USでは、かなり拡大しつつあるという。この記事を要約すると以下、

  • 位置情報は、新しい”Cookie”:モバイルの場合、サードパーティのクッキーが取り扱えない場合が多い。そこで、位置情報を新しいクッキー代わりに利用する。位置情報をグルーピングして、効果的なキャンペーンを展開する。
  • 企業はローカル・モバイルに投資を加速:Balihooの調査によると、400ブランドの経営者は、ローカル・モバイルの投資を増やそうとしている。Berg Insightによると、現在、ローカル・モバイルはモバイル広告全体の8%に過ぎないものの、2017年には33%まで増やすという。
  • ローカル・モバイルはコンバージョンレートが高い:モバイル広告全体のクリックスルーレート(CTR、表示された広告のうちクリックすう確率)は、0.4%という。一方で、Verdeによれば、ローカル・モバイルの場合、CTRは倍になるという。
  • ローカル・モバイルはスマホに特化した技術でない:ローカル・モバイルは、スマホだけに限らず、タブレットなど他のデバイスにも応用できる。とくに、最近、ショッピングプロセスを通じて、スマホ・タブレットの果たす割合(スマホで検索して商品を買うなど)があがっている。スマホ・タブレットの”ファーストサーチ”としてのローカル・モバイルは重要。

ローカル・モバイルのメリット・デメリット

すべてをうのみにできないけど、これはだいたいあっていると思う。とくに、CTRの改善について、やはり、ユーザが検索するのは当たり前だけど”必要な情報が欲しいから”、そして、”ロケーション”というコンテクストが加わることによって、ユーザにとってより有用な情報になる可能性は高いと思う。たとえば、自分が近くにATMがないかなと思って、スマホ・タブレットでATMと検索する、そして、位置情報をもとに一番近くのATMを教えてくれたら、それはやっぱり便利だ。

 一方で便利な反面、やっぱり、個人情報の話は避けて通れないだろう。位置情報をクッキーのように扱うのはとても合理的なやりかただと思う。でも、それが万が一、流出したら、その被害は大きい。という意味で、言うまでもなく、厳重な管理が必要だと思う。

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 スマートフォンにおいてどう位置情報をビジネスに活かすか、という点については、去年上梓させていただきました「図解スマートフォンビジネスモデル 事業戦略と収益構造」の第4章 位置情報を活用したスマートフォンビジネスモデル において触れておりますので、ぜひ、ご参照ください。

また、スマートフォン・タブレットが今度増えるとどうなる?という話では、先週オープンした個人投資家向け投資アイデアプラットフォーム”Longine”に、「次のスマホ」と「スマホの次」:恩恵を受けるのは誰か? パート1として書かせていただきました。1記事ごと、月額とも有料ですが、こちらも、ぜひご参照ください。

なぜ、ダイバーシティが重要か?

6月 5th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (なぜ、ダイバーシティが重要か? はコメントを受け付けていません)

これまで、ダイバーシティというと、あまりピンとこなかったけど、最近、これはとても重要だと思うようになった。

なぜ、ダイバーシティ(多様性)が重要か?

ダイバーシティの反対のケースを想定すると、うまく説明できるように思う。

今はだいぶ少なくなったけど、日本で新卒採用するとき、同じ学部の男性の22歳の日本人を100人採用する。彼らのバックグラウンドもそれほど変わらないので、アンチ・ダイバーシティの状況が発生する。

このアンチ・ダイバーシティは、経営にとってはわるくないこともある。たとえば、新人研修で自社の理念を叩き込み、愛社精神を涵養すれば、会社を愛する企業戦士が誕生する。そして、彼らが猪突猛進して、沢山の製品を売ってくれれば、会社としては、売上が増える話なので、悪い話ではない。

ただ、このアンチ・ダイバーシティが決定的によくないときがある、それが会社が下り坂になったとき。アンチ・ダイバーシティは、あたりまえだけど、”みんな同じ”なので、人と違うことをやると、とても浮いてしまう。そして、みんなと同じことをやっていれば良いという雰囲気をぶち壊してしまう。だから、あえて、人と違うことをやらずに、みんなと同じことをやる。

でも、景気の落ち込み、事業環境の変化などで、業績が下り坂になった場合、この”人と違うことをやらない”というのは、決定的によくない。たとえば、ちょっとしたコスト改善案があっても、”人と違う”ことをしなくてはいけないので、周りから白い目で見られるのを恐れて、その改善案も握りつぶしてしまう、そして、”給料もらえるからいいや”ということで、いつもとおなじことをする。こういう状況は、自分も何度か見てきて、これってアンチ・ダイバーシティの弊害だなと。

危機感を感じた経営陣は、外国人を入れる、女性幹部を登用する、年齢に関係なく採用する、と刺激を与えて、”人と違うこと”を是とする環境をつくる、これはとても理にかなっていると思うし、最近、”ダイバーシティ”が流行っているから、ウチも取り入れてみました、というのは、あまり変わらないとも思う。

ただ、外国人を入れる、女性幹部を登用する、年齢に関係なく採用する、というのは結構難しい、とくに、その人にあった適材適所を見つけて、活かすようにするのは、楽ではない。やっぱり、経営者も海外の経験がないとできないし、様々な職場を経験しないとできることじゃない。グローバルエリートという言葉があるとしたら、こうしたダイバーシティをきっちりマネージメントできる人なんだなあと最近思うようになりました。