「世界」を変えろ! 急成長するスタートアップの秘訣

9月 18th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (「世界」を変えろ! 急成長するスタートアップの秘訣 はコメントを受け付けていません)

日経BP田島様より献本いただきました、ありがとうございます。

本のタイトルは、”「世界」を変えろ! 急成長するスタートアップの秘訣”、オリジナルのタイトルは、”The Startup Playbook: Secrets of the Fastest-Growing Startups from Their Founding Entrepreneurs”、言ってみれば、急成長した企業家が明かすスタートアップのプレイブック、といったところだろう。

そういうわけで、この本には、スタートアップで急成長した41人の企業家のストーリー、起業家へのアドバイスが収録されている。ただ、このアドバイス、人によってさまざまで、たとえば、取締役会に対するアドバイスとして、

取締役会は気にせず、顧客の方を向こう:あなたも社員たちも、取締役会を気にしないでいられるようになりましょう。いつも、「取締役会に喜んでもらうために、これをしなくちゃならない」などと言っていたら、この組織は取締役会を喜ばせるために存在しているのだ、という誤ったシグナルを送ることになります。あらゆる企業の目的は、顧客を喜ばせることです。その目的を達成しましょう。そうすれば、取締役会の機嫌もよくなるはずです。 スコット・ハイファマン(創業者:アイトラフィック、フォトログ、ミートアップ) (p164)

というアドバイスもあれば、

言いなりにならない取締役会をつくろう:私は古いものを壊すのが好きです。多くの新しいカクテルの多くが、そうやって生まれてきました。社外から来た人物で、四六時中あなたのことをほめたたえるなどということをしない人物が必要です(そんな人物が必要だと言うのなら、賞賛の声は会社のドアを開けた時に外に出ていき、社内に残らないようにしなければなりません)。取締役会も、会社のいうことを単に承認する存在ではなく、会社を振り回す存在でなければなりません。リサ・ガンスキー(創業者:オフォト)(p128)

というアドバイスもある。”船頭多くして”ではないけど、一つ言えるのは、この本のすべてのアドバイスを参考にして、起業しても、結局、妥協の産物になってしまって、よいプロダクトは生まれない気がする。

 だからといって、この本が使えないという話ではなくて、むしろ、本書冒頭にある

率直に言えば、会社とは人であり、出発点となるのはあなた自身だ。格言にもある通り、自分自身を率いることができなければ、他人を率いることなどできない。不快にも感じるかもしれないが、これは事実だ。会社の立ち上げを通じて、本当のあなたが暴かれることになる。古い自分はばらばらになり、新しい自分になることを強いられることも多い。ずっと続くような組織をつくる際には、中核となる目標や信念、方向性が必要だ。(p7)

 というわけで、アドバイスがバラバラになるのは、人それぞれ出発点が違うから。そして、出発点が違うからこそ、受け入れるべきアドバイスもあれば、受け入れるべきでもないアドバイスもある。

 たとえば、前述の取締役会だと自分としては、スコット・ハイファマンの”取締役会は気にせず、顧客の方を向こう”という指摘より、”言いなりにならない取締役会をつくろう”というリサ・ガンスキーの指摘の方が響く。それは、自分は経営をアドバイスするという立場から、いくつかの取締役会に出てきたけど、”言いなりにならない取締役会”にするのは楽ではない。ともすれば、形式だけで終わる可能性もある、だけど、”言いなりにならない取締役会”にするは、全員が緊張感をもって臨まないといけないし、取締役会に臨むにあたって、きっちりその会社のおかれている状況を誰よりも理解しなくてはならない。

結局、それは”やるしかない”。そして、本書は、きっちりやり遂げている人たちの”プレイブック”ともいえるかもしれない。

 もうひとつ、いいなと思ったのが、2度、3度と起業を失敗した人が多いこと、さっきのように、”やるしかない”のだけど、常にうまくいくとは限らない、2回、3回と失敗して、ようやく、マーケットのリーダーのポジションを手にした起業家が何人もいること。どんなに苦境に立たされても、Never Never Never Give upであきらめない。なので、これからスタートアップという人もおすすめだけど、現在スタートアップもしくはすべてのビジネスにおいて、心が折れそうな状況に置かれている、こんなときに、この本はピッタリだと思います。日本版もぜひ欲しいです。

横浜マリノスにみるJリーグの経営学

7月 18th, 2013 | Posted by admin in Jリーグの経営学 | 経営 - (横浜マリノスにみるJリーグの経営学 はコメントを受け付けていません)


先日、横浜マリノス 2012年度 決算をFacebookに投稿したら、とても有益なコメントをいただいたので、シェアさせていただきます。

マリノスの2012年度決算

Jリーグのクラブというフィルターなしに、1企業として横浜マリノス(株)の決算内容を見ると、危機的な内容。まず、貸借対照表(B/S)の純資産の部が、▲16.7億円と大幅マイナス。赤字が累積し、その累損赤字が資本金を上回る、いわゆる、債務超過状態。債務超過=倒産というわけではないものの、少なくとも、銀行に融資をお願いしても、銀行側は貸し倒れのリスクは高いと判断して、おカネを貸してもらえない可能性が高い。

 くわえて、損益計算書(P/L)では、営業収益(売上高)37.1億円に対して、営業費用が42.1億円、主に人件費の負担が重く、営業損失は▲5億円の赤字。キャッシュフロー計算書は、開示されていないけど、おそらく、営業キャッシュフロー(本業から得られる1年間の現金収入)も赤字、すなわち、ビジネスをすればするほど、キャッシュが流出し、赤字がかさみ、債務超過の状態に歯止めがかからない。

債務超過の背景

普通の企業として、横浜マリノスを見た場合、上記のような危機的な状況であるものの、”Jリーグのクラブ”という点からみれば、赤字になること自体はおかしいことではない。その理由は、やはり、収益機会が少ないこと。普通の企業の場合、土日を除く52週間(1年)x5日=260日間、生産・営業・販売活動をするチャンスはあるけど、Jリーグの場合は、リーグ戦34試合、カップ戦6試合、天皇杯1試合=41試合(*1)、プロ野球の場合、144試合なので、試合数にすればプロ野球の方がJリーグより3倍も多い、1試合あたりの入場料収入が同じであれば、当然、試合数の多いプロ野球の方が収入も多い。くわえて、横浜マリノスの入場者数は、自社努力によって、2012年度は増えているものの、Jリーグ全体の入場者数が減っている。というわけで、プロサッカー選手を維持するための人件費 > 入場料・広告収入、すなわち、赤字になると。

(*1)ただし、カップ戦6試合は予選リーグのみなので、決勝トーナメントで優勝すると+5試合、天皇賞についても優勝する場合は、2~7回戦までの6試合なので、最大は34 + 11 + 6 =51試合、ただし、アジア・チャンピオン・リーグに出場する場合を除く

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ただし、他クラブと横浜マリノスが違うところは、横浜マリノスの場合、経営の独立性を上げていること。横浜マリノス嘉悦朗社長へのインタビューによれば

親会社にクラブの赤字を補填してもらって、財務を表面的に穏やかに見せるようなことを僕はやりたくはない。そもそもマリノスの社長に就任したとき、日産から「赤字補填なしでやっていけるように改革してくれ」と言われていました。どこまで自力でやれるか、本気でチャレンジしたいんです。経営の透明性ですよね。

と経営の透明性を確保すべく、他のクラブが親会社からの赤字補填があるのにたいして、横浜マリノスの場合、親会社である日産からの赤字補填をしない経営方針のために、累損が膨らむ図式となっている(キャッシュフローでいえば、営業キャッシュフローは赤字だけど、財務キャッシュフローがプラスなので、フリーキャッシュフローがトントン)。

親会社への依存

 閑話休題。万年赤字のJリーグクラブが累積赤字を解消するために、親会社に頼る、この図式は、自分にはかなり見覚えがある風景。とくに、自分はIT子会社(親が大手企業で、その大手企業向け情報システムの開発・運用をする)と付き合うことがおおくて、その多くは、Jリーグクラブと同じ。すなわち、親会社の情報システムのメンテナンスが中心なので、当然、赤字が続く。親が体力があるうちは問題ないけど、いざ、体力が落ちると、外販(親以外の会社にシステム・ソリューションを販売)などの形で、”親離れ”が必要になる。でも、この”親離れ”ができない企業が結構多い。まさに、子会社にとっては、”親がなんとかしてくれる”と思っているからだ(もちろん、こういう会社だけではなくて、きちとん、親離れできているIT子会社もたくさんあります)。

クラブライセンス制という黒船

 やはり、累積赤字を親会社が補填するというのは、あまり健全でない。クラブも1企業である以上、フリーキャッシュフローをプラスにして、きちんと、税金を支払うのが企業の役割の一つだと思う。こうしたこともあり、2013年度から導入されるのが、「クラブライセンス制度」、もともと、ドイツにおいて各クラブのリーグ参加資格をチェックするために生まれた規格で、今年からJリーグクラブにも適用される。様々な規則があるけど、ここで関係するのは、財務基準。Wikiによれば、Jリーグのクラブとしてプレーするためには、以下の財務基準を満たす必要があり、満たせない場合は、下位リーグであるJFL等への降格になる可能性がある。

財務基準
・年次財務諸表(監査済み)を提出し、Jリーグの審査を受けること(A基準)。その際、3期連続の当期純損失(赤字)を計上していないこと(2012年度-2014年度の3年間以降で算定)および債務超過でないこと(2014年度から算定)が必須条件となる
・移籍金や給与の未払いが生じていないこと(A基準)

3期連続の当期純損失もあるけど、やはり、論点は、何度か指摘している債務超過でないことだろう。結論として、今回取り上げる横浜マリノスについては、親会社の補填なくして、債務超過の解消は不可能だろう。そして、親の援助なくして、黒字をキープできるクラブはかなり限られると思われる。

で、どうするか?

 こうした点を踏まえると、Jリーグクラブの経営はかなり難易度が高い。財務リストラとして、人件費をさらにカットすれば、選手のモチベーションが下がる→チームの成績が落ちる→入場料・広告収入が減る→赤字がさらに拡大、とネガティブスパイラルに陥る可能性が高い。だからといって、いつまでも親にたよれるかと言えば、IT子会社の例のように親会社がつねに体力があるとは限らない、まさに袋小路状態だ。

 で、どうするか。一つは、日本の製造業のように、海外に展開するのはあると思う。Jリーグはアジアを目指す ~生き残りをかけた600億円市場 獲得戦略~のように、アジアに進出して、広告収入を増やすのは一つの手だと思う。”アジアでサッカーは流行らない”といったら終わりで、やはり、やるしかないと思う。

おわりに

Jリーグの経営については、ずぶの素人であった自分に、有益なコメントを下さった皆様ありがとうございました、ここに御礼申し上げます。とくに、大学の研究室の先輩である土本 康生さんからは、一筋縄ではいかないJリーグの状況についてとても有益なコメントをいただきました、この場を借りて感謝の意を表します。

追記:サッカーの総試合数について、カップ戦、天皇杯、それぞれ優勝した場合のケース最大51試合を追記しました。
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新しいビジネスをつくる

6月 2nd, 2013 | Posted by admin in テクノロジー | 経営 - (新しいビジネスをつくる はコメントを受け付けていません)

最近、思うこと、新しいビジネスを作るのは難しい。

たとえば、”世の中を変える誰も作っていない製品をつくる”ということでビジネスをスタートする。

これはこれで素晴らしいし、こうした元気な企業がたくさん出てこないと日本は活性化しない。
だから、もっともっと、こうした企業が出てくるべきだ。

ただし、こうした会社がすべてがすべてうまくいくかというと、そうとは限らない。

特に難しいのが、”世の中誰も作っていない製品”ということ。

誰も作っていない製品というのは、やや穿った見方をすれば、市場性がないから大企業が作っていない製品ともいえなくはない。もちろん、その市場をまったく大企業が見逃しているというケースもある。

だから、意気揚々と新製品を出したとしても、それがすぐにユーザに受け入れられるまでそれなりに時間がかかる。とくに、企業向けソリューションの場合、得てして企業は保守的なので、新しい会社と付き合うリスクを取るよりも、むしろ、これまでの実績のある会社と付き合う場合が多い、だからといって、大企業はリスクを取れと言われても、そうはいかないだろう。これはこれでしょうがない。

そう、研究の世界では、新しいこと、誰もやっていないことが価値だけど、ビジネスの場合は、新しいから売れるとは限らない。で、最初は、絶対売れると思って、かなり大きい数字を入れた事業計画書が絵餅になり、”こんなはずじゃなかった”と責任のなすりつけをする。これもよくあるパターン。

ただ、往々にして、今は新しくても5年後に、みんなが使うようになるというのは結構多い。身近なところでは、スマホ。5年前は、一部のギークしかつかわなかったけど、5年後、誰もが使うものになった。20世紀初頭の電気、1990年代のインターネットも同じ。

というわけで、新しいビジネスをどう作るか、自分の結論は、”信念をもって堪える”です。ビジネスの話をしていて、経営者は自分の立ち上げたにもかかわらず、ダメと否定する場面がたまにある、でも、これはよくない。まわりからどんなに”こんなの流行るわけがない”と否定されようとも、ブレずに信念を貫く、これが一番重要なんだと思いました。

チャンドラー方式

5月 24th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (チャンドラー方式 はコメントを受け付けていません)

いくらがんばっても、アイデアがでてこないときはある―自分の場合だと、モノを書くときとか、企画を考えるときとか、そんなときどうするか。

とりあえず、自分はチャンドラー方式をやってみることにしている。

このチャンドラー方式は、村上春樹が作家レイモンド・チャンドラーが小説を書くコツについて書いたもので、彼もそれを実践しているという。村上春樹いわく、

まずデスクをきちんと定めなさい、とチャンドラーは言う。自分が文章を書くのに適したデスクを一つ定めるのだ。そしてそこに原稿用紙やら(アメリカには原稿用紙はないけれど、まあそれに類するもの)、万年筆やら資料やらを揃えておく。きちんと整頓しておく必要はないけれど、いつでも仕事ができるという態勢にはキープしておかなくてはならない。そして毎日ある時間をーたとえば2時間なら2時間をーそのデスクの前に座って過ごすわけである。それでその2時間にすらすらと文章が書けたなら、何の問題もない。しかしそううまくいかないから、まったく何も書けない日だってある。書きたいのにどうしてもうまくかけなくて嫌になって放り出すということもあるし、そもそも文章なんて全然書きたくないとういこともある。(中略)
たとえ、1行も書けないにしても、とにかくデスクの前に座りなさい、とチャンドラーは言う。とにかくそのデスクの前で、2時間じっとしていなさい、と。

「村上朝日堂 はいほー!」(村上春樹、新潮文庫)p40

”神”はいつ降ってくるかわからない、だからこそ、規則正しく、降臨を待つと。

これって、小説だけではなくて、モノを生み出すという点ですべてに当て嵌まると思う。

新しいビジネスを立ち上げました!といっても、その日から、世の中のトレンドになるというケースはまずない。

やはり、新しいもの≒尖っているものであり、そのビジネス・製品がどんなに素晴らしくても、興味を持つのは、アーリーアダプターという消費者のなかでもごくわずか。そこから、世の中みんなが認知するまでには時間がかかる。

そして、全く売れなくても、”チャンドラー方式”のようにあきらめずにコツコツ続ける、ここにチャンドラー方式の神髄があるのかもしれない。

企業の寿命

5月 18th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (企業の寿命 はコメントを受け付けていません)

先日、ブックオフで100円で買った与謝野馨氏の「全身がん政治家」のこの一説が印象に残りました。彼は、アリストテレスを引用して、「政治の形態は、専制君主制と、寡頭制(すくない数の集団指導制)、デモクラシーの3つ。それぞれいいようで欠点がある。つづけていくと最後には危機に陥る。」と。

 これは企業にも同じ話で、デモクラシーのように社員の言うことばかりを聞く企業は一見よさそうに見えるけど、結局うまくいかない場合が多い(社員の意見はバラバラなので、それをまとめると妥協の産物になる)。かといって、専制君主のようにカリスマオーナーが会社を引っ張る場合、一代ではいいけど、そのカリスマオーナーの次が引っ張っていけないという場合も多い。

企業の寿命は30年とよくいわれる、やはり、会社を、専制君主制、寡頭制、デモクラシーいずれかの方式で設立して、そのやり方に限界がくるのは30年ということなんだろうと思う。逆に言えば、100年、200年と生き続ける企業の場合、同じように、どこかで限界が来るに違いない。でも、その限界を打ち破る、たとえば、カリスマ―オーナーがいなくなったあとは、後進が必死に食らいついて寡頭制に移行する、寡頭制で仲間割れになった場合は、カリスマオーナーが復帰する、など。

 会社を作るのは簡単だけど、それを長く続けるのは難しい、アリストテレスの言葉はそれを表しているように思います。

すべては思いつきから

4月 24th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (すべては思いつきから はコメントを受け付けていません)

ちょっと意地悪かもしれないけど、いろいろな人と新しいビジネスについて話すとき、自分は自分もしくは他人にまず3回そのビジネスの問題点をあらさがしをして揺さ振ります。これは、大学のリサーチをやっていたときと同じだなあ、とふと思いました。

すべては思いつきから始まる

”こういう製品をつくりたい”、とか、”ここと組んでこのサービスを提供したい”、というビジネスアイデアは、基本、すべて思いつきから始まる。リサーチも同じで、”こんどはこの方法で実験してみよう”のようなアイデアも、ふとした思いつきから始まる。ほんの小さな思いつきがすべてだ。

思いつきをカタチに

そして、その思いつきは、思っているだけでは、妄想に終わってしまう。だから、ビジネスであれば具体的な企画書作成・営業、リサーチであれば実験・論文、本を書く場合だったら、タイトル、狙い、目次案と具体的にアクションをする必要がある。そして、思いつきからアクションに変えて、次がある。

ゆるぎないアクションをつくる

 そして、そのアクションを世に問う(製品を売る、サービスを発表する、論文を発表する)と、すぐにそのアクションが大反響を起こすということはまずない。むしろ、”こんなのつまらない”、”必要ない”、”流行るはずがない”、と否定されるのが落ちだ。そして、冒頭のように、自分も自分もしくは他人からビジネスプラン等を話す場合、まず、3回そのビジネスを展開する上で課題となる点(アラ)を探して、指摘するようにしている。そして、3回アラを指摘して、”やっぱ、無理っぽいね”と思ったら、それでおしまい。そして、たった3回でアラでノックアウトするんだったらやるべきではない。でも、3回アラを指摘しても、”絶対、大丈夫”というゆるぎないアクションであれば、自分はサポーターになります。

ゆるぎないアクション=志

 最近思うのは、こうしたゆるぎないアクションというのは、志ということ。まさに、このブログで何度か登場する長州藩の”志”の人吉田松陰の”志を立ててもって万事の源となす”なんだと思うのです。

ベンチャーサポートと日本酒販売

4月 21st, 2013 | Posted by admin in イノベーション | 経営 - (ベンチャーサポートと日本酒販売 はコメントを受け付けていません)

たまたま、違う分野の2人と話をしていて、その内容がとても共通点があったので、一人で、なるほど、と思ったことです。

ベンチャーサポートのビジネスモデル

まず、一人は、ベンチャーサポートの方。裾野の広さと500 startupsで指摘したように、自分を含めて、ベンチャー企業をサポートすることは、日本企業の裾野を広げる大切なことだと思う。そして、あるベンチャーサポートの方いわく、”われわれのビジネスは、恩を売って、売って、売りまくることだ”という。

そう、”これだ!”と思える有望なベンチャー企業に出会ったら、短期的な費用対効果を考えずに、自分の取引先を紹介する、企業の問題点をサポートする、などあらゆる観点からサポートし、そして、将来の上場などの機会で回収する。これはこれで、裾野を広げる意味で日本企業にとって、必要不可欠なビジネスだ。

日本酒販売というビジネスモデル

そして、もう一つが日本酒小売の方。古を辿れば、日本酒は明治まで、酒と言えば日本酒であり、その優位性は揺るぎのないものであり、作れば売れるビジネスだった。だけど、明治以降ビールなどの種類が増えてきて、日本酒ビジネスも作れば売れるとうわけにはいかない。

だから、売るためには工夫がいる。たとえば、作り手の戦略は、”昔ながらの製法を維持”もあるけど、新しいイノベーションに挑戦する企業もある。その一例が、獺祭を販売する旭酒造。この酒造メーカーのラインアップの一つが、遠心分離製法。普通の酒つくりはもろみを絞って日本酒にするものの、この会社のアプローチは、無加圧状態での遠心分離によってもろみから分離することで、香りやふくらみが残る。だから、これが日本酒?と思うほど、味に雑味がない。いうまでもなく、これは売れる。

もちろん、小売りとしても、こういう革新的な製品を出せば売れるのは間違いないけど、えてして、この手の製品は製造側に主導権があるので、小売店での差別化が難しい。だから、小売りの戦略は、”これだ!”と思える将来有望な酒蔵を見つけ出して、恩を売って、流通をサポートする。これは、ベンチャーサポートと同じビジネスモデルと思う。これって、結局、重要なのは、裾野の広さ、日本中に10件しか酒蔵がなかったら、このビジネスモデルはありえない。だから、”うちもつくってみよう”という酒蔵が増えることがとても大事だと思う。

ベンチャースピリッツ

 ベンチャーサポートと日本酒販売、この共通点は、やはり、挑戦することの大事さだと思う。どんな小さいことでも、”やろう!”と志して、挑戦する。もちろん、その挑戦が一本調子でうまくいくことはない。失敗して、失敗して、でも、あきらめずに続ける、その過程でサポーターからのサポートもあり、志をなし遂げる。自分は、最後の一人になってもその経営者の志を応援する立場だけど、もっともっと、志をもつ経営者を応援したいと思いました。

長州藩に学ぶ”粘る力”とビジネス

3月 24th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | 経営 - (長州藩に学ぶ”粘る力”とビジネス はコメントを受け付けていません)

大河ドラマ”八重の桜”を見ていて、思ったことがあった。

今回のシーンは、蛤御門の変、8月18日の政変で京を追われた長州藩が、何とかしてその勢力を巻き返そうと、御所に攻め入る。もちろん、このドラマは、会津藩からのドラマなので、長州藩は、敵以外の何でもない。でも、自分はあえて、敵たる長州藩の”粘る力”に深く感じるところがあった。

 蛤御門の変では、薩摩藩の力添えもあり、結局、長州藩は完敗、松下村塾の逸材である久坂玄瑞も自刃する。くわえて、追い打ちをかけるように、御所を攻撃した朝敵たる長州藩に対して幕府が全国の大名に命じて第1次長州征伐を実施する。軍力では勝負にならない長州藩は降伏し、高杉晋作を中心とした倒幕派は散り散りになる。歴史に”if(もし)”はありえないけど、これで長州の倒幕派が倒幕を諦めてしまったら、もしかしたら、今は違った世の中になったかもしれない。でも、高杉晋作をはじめ長州倒幕派は、決して諦めることなく、そして、遂には、薩長同盟という形で、一気に流れを変えた。

 これはビジネスでも同じだなと思う。ビジネスにおいて、”新しいことをやろう”と言っても、普通は反対されることが多い、むしろ、これは”素晴らしいから是非やるべし”、と最初から全面的に会社からバックアップされて進むパターンは自分が知っている限り稀だし、これで上手くいく例はあまり知らない。むしろ、”こんなの売れるわけがない、時間の無駄だ”と言われて、お蔵入りになるケースの方が多い。でも、長州藩のように、打たれて(8月18日の政変)、打たれて(蛤御門の変)、ノックアウトされて(第1次長州征伐)、でも、粘って信念を貫く。そして、粘った結果、製品の成功、新しいフロンティア、収益につながるんだと思う。まさに、never never never give upです。

では、何が長州藩の”粘る力”を生み出すか?司馬遼太郎は「世に棲む日々」でとても的確な指摘をしている。

分類すれば、革命は3代で成立するのかもしれない。初代は松陰のように思想家として登場し、自分の思想を結晶化しようとし、それに忠実であろうとあまり、自分の人生そのものを喪ってしまう。初代は、多くは刑死する。2代は、晋作のような乱世の雄であろう。刑死することはないにしても、多くは乱刃のなかで逃走し、結局は非業に斃れねばならない。3代目は、伊藤博文、山県有朋が、もっともその形を代表しているであろう。 (「世に棲む日々(4)p97)

吉田松陰が播いた種が、高杉晋作で実を結び、伊藤博文、山県有朋で収穫を迎えると。もちろん、収穫も重要だけど、やっぱり、一番重要なのは、”種をまくこと”だと思う。吉田松陰は、安政の大獄に座して、非業の死を遂げたけれども、その”種”=理念が後々になって結実した。言ってみれば、理念があるからこそ、”粘る力”が生まれたとも言える。自分もいろいろな会社を見ているけど、やはり、”これだけは絶対にやりとげる”という理念を持っている会社は強い。それは、まさに長州藩のように”粘る力”があるからだと思う。”粘る力”を育てる、これが成功の秘訣なのかもしれない。