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おそめさんから学ぶこと

3月 3rd, 2024 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (おそめさんから学ぶこと はコメントを受け付けていません)

 「伝説の銀座マダム おそめ」を読みました。自分の中でも良書は、いろいろな読み方ができると思っていて、自分は、この本をビジネス書として読みました。タイトルの伝説の銀座マダムとうくらいで、時代は主に昭和30年代(1950年代)なので、今から70年近く前の話で、だいぶ昔の話です。

主人公である、おそめさん、こと上羽秀さんは、もともと京都で人気舞妓として名をはせ、戦後、京都の高瀬川の水路がかかる木屋町仏光寺に自宅を改修した小さなバー「おそめ」を開きます。それは、別に儲けようという動機ではなく、舞妓・カフェでお世話になったお客さんをおもてなしするところからスタートしました。が、それが瞬く間に、京都の文化人のサロンになり、当時の代表的文化人、大佛次郎、川端康成、小津安二郎といった面々が集う場所になります。

そして、東京をベースにして、京都の「おそめ」に通う文化人が、東京でも店をもってみたら、という誘いもあり、昭和30年、銀座三丁目文祥堂の裏に「おそめ」はオープンしました。そして、おそめさんは、週の半分を東京、残りを京都で過ごし、その移動を当時は珍しかった飛行機を利用したことから、「空飛ぶマダム」と呼ばれたそうです。銀座の「おそめ」も繁盛し、最盛期には銀座ナンバーワンまで昇りつめ、川口松太郎の小説「夜の蝶」でもモデルとなり、時の人にもなりました。

で、この「おそめ」の話、ビジネス書という点では、2つのポイントがあると思いました。まず、一つ目は、事業における成功です。おそめさんは、祗園での最初のお披露目のとき、抜群の美貌と天真爛漫な性格から噂になり、舞妓・女給・マダムと立場が変われど、おそめさんに会いたいと思わせる安定した顧客基盤があった、かつ、おそめさん自身もお客さんとお酒を飲むことがホントに楽しかったそうです。だからこそ、銀座への進出も、何か具体的な戦略があったわけではなく、面白そう、ワクワクするという理由から進出して、結果的に成功したのだと思います。

一方で、もう一つは、「おそめ」の衰退です。京都から東京に進出した「おそめ」ですが、昭和30年代後半になると衰退を始めます。おそめさんがこれまでのお客さんを大事にして、そのお客さんがどんどん年をとり世代交代が進んだということもありますが、それ以上に、「おそめ」の拡大路線が衰退に向かう要因になりました。銀座も繁盛したので、店舗を大幅に拡大した銀座8丁目に移転、あわせて、京都でも昭和35年鴨川ぞいの御池通りに320坪のおそめ会館をオープンし、ナイトクラブ、ダイニングなど多角経営に乗り出します。おそめさん自身は、おカネ勘定にまったく無頓着で、まわりの取り巻きによる規模拡大とは言えますが、やはり、規模を拡大した結果、衰退するという結果になります。とはいえ、戦後すぐにダンスホールで知り合った夫俊藤浩滋が徐々に映画プロデューサーとして頭角を現してきたので、おそめさん自身は幸せな人生だったのかもしれません。

というわけで、おそめさんから学べること、それはありきたりではありますが、自分の好きなことを追求すること、ワクワクすること、楽しそうなことにチャレンジすること、あとは、そのなかでもちゃんとおカネを把握することでしょうか笑

M1勝者の法則

2月 2nd, 2024 | Posted by admin in 日々の思い | 長橋のつぶやき - (M1勝者の法則 はコメントを受け付けていません)

 最近読んだ本「M1-はじめました」(谷良一著)は、いろいろ考えるところがありました。まあ、この本はタイトルの通り、漫才のナンバー1を決めるM1が生まれるまでのストーリーです。

 いまでこそ、M1は、漫才ナンバー1を決める大会として抜群の認知ですが、いまから20年以上前の2001年、第1回M1を開催するまでは、いろいろ紆余曲折があったそうです。当時の吉本興業では、漫才の人気に陰りがでていて、著者が漫才を盛り上がる企画からスタートします。そして、島田紳助に相談して生まれたのが漫才のナンバー1を決めるM1。プロアマ問わず全国から予選を勝ち抜いたコンビが決勝で勝てば、賞金1000万円、一時中断もありましたが、今でもM1は続いています。

 まあ、もちろん、このM1のサクセスストーリーは素晴らしいものです。が、自分にとって、このサクセスストーリー以上に、「なるほど」と思ったのが、「どういうコンビだとおもしろい漫才ができるか?」という話です。で、著者はおもしろい漫才コンビの共通する特徴がコンビの仲が良いことを指摘します。「仲が良ければ息がぴったり合う。仲が悪いと合わない。だから仲が良いということは漫才がおもしろいということだ。」(同書p252)と指摘します。で、コンビの仲が良い、悪い、その境界線は嫉妬と言います。

 「おれがネタを考えているのに、なんで相方の方が人気があるのだ。ボケのおれがおもしろいから人気があるのに、なんであいつが脚光を浴びるんだ。」こうしたお互いの嫉妬が本来であれば、コンビで相乗効果がある漫才をつまらなくする。一方で、2001年のM1勝者の中川家、時点のアメリカザリガニ、いずれもコンビの仲が良い、だからこそ、仲が良い漫才コンビの漫才は見ていて楽しい、と指摘します。

 さて、自分が影響を受けたもう一つの本「THE GOOD LIFE 幸せになるのに、遅すぎることはない」、ハーバード大学が80年以上にわたる史上最長の研究が解き明かした健康で幸せな人生を送る鍵、別に経済的に豊かになる、高い地位に就くのではなく、いたってシンプルで、「健康で幸せな生活を送るには、よい人間関係が必要だ、以上」と指摘します。そりゃそうですよね、漫才コンビも同じでお互い嫉妬して、ののしりあっていては、健康で幸せな生活はありえないです。むしろ、仲が良い=良い人間関係を築く、これが大事だと。

 で、どうやって良い人間関係を築くのか、これはいたってシンプルで、人間関係は生き物なので、ソーシャルフィットネス、自分の理解では、筋トレと同じように、常に人間関係をメンテすべしと指摘します。これは漫才コンビが仲良いと同じ話だと思いました。

アマギフにみる預けるビジネス

1月 21st, 2024 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (アマギフにみる預けるビジネス はコメントを受け付けていません)

 先日、ある方から面白い話をお伺いしました。いわゆる、ポイ活というヤツで、最近では、三井住友ゴールドカード(NL)のポイント還元率が他と比べて高いらしいです。ただ、このカード会員資格を維持するためには、毎年5500円の年会費が必要ですが、キャンペーンで100万円決済すると、年会費が永年無料+ポイント還元をゲットできるそうです。

 で、どうやって短期間で100万円決済するか?という話で、その解決方法としてアマゾンギフトカード(アマギフ)をクレジットカード決済で100万円決済すれば、ノルマ達成できるという話です。まあ、たしかにそうですよね。言うまでもないですが、アマゾンであれば、書籍だけではなく、食品・飲料、家電、アパレル、日常生活で必要なあらゆるモノを購入することができます、なので、100万円、アマギフを購入しても、十分使い切れるとも言えそうです。

 逆の視点に立って、これはアマゾンからしてみれば、悪くない話ですよね。たとえば、アマゾンのマーケットプレイスで、ユーザが1万円の商品を購入したら、アマゾンはだいたい手数料を10~15%くらい徴収して、販売先に売買代金を支払います、1万円のケースではアマゾンの取り分は1000~1500円くらいでしょうか。一方で、アマギフであれば、将来的には販売先に支払うことになるでしょうが、100万円購入した時点で、アマゾンには100万円、キャッシュが入ります。

 こうしたおカネを預かるビジネスはアマゾンに限ったことなく、昔からありました。「イングランド銀行公式 経済がよくわかる10章」によれば、紀元前2000年頃、起業家精神に富むバビロニアの僧侶は、人々が貯蔵している金を預かって、その保管料をとるというものでした。今でいえば、倉庫業ですよね。で、このビジネスモデルは、ちょっとずつ変化し、紀元前1800年くらいになると、僧侶たちは預かった金を他人に貸し出す形態に進化したそうです、これはいわゆる、銀行のビジネスモデルですね。そして、たくさん預かって、たくさん貸し出す循環をつくる、これが銀行の信用創造でもあります。とはいえ、単純に金を貸し出すだけだと、貸し倒れのリスクがあるので、借り手に担保を供出してもらう、与信スコアで判断するなど、が必要でもあります。

 というわけで、このアマギフの話、銀行のビジネスモデルに通じる話と思います。実際、アマゾンは、銀行として開業はしていませんが、いつか銀行業に参入するという話はありますよね。この話を踏まえると、もっともな話ですし、むしろ、ユーザのデータを大量に保有しているので、銀行以上にきめ細かいサービスができるかもしれないですね。さらに、銀行に限った話ではなく、先日、アマゾンでは2兆円を日本に投資するということで、成長投資の原資とも言えそうです。というわけで、この手の預けるというビジネスは銀行に限らず、身近に存在している、そして、ビジネスチャンスかもしれないと、アマギフの話から思いました。

2023年 今年読んだよかった5冊

12月 30th, 2023 | Posted by admin in 日々の思い | 長橋のつぶやき - (2023年 今年読んだよかった5冊 はコメントを受け付けていません)

 さて、今から6年前の2018年から読んだ本について読書メーターの本棚機能で記録をつけるようにしました。で、18年93冊、19年94冊、20年94冊、21年94冊、22年94冊、そして、今年は95冊でした。自分は仕事でもプライベートでも日々のルーチンワークを大切にしていて、本を読むこともルーチンワークの一つです。で、毎日、朝ドラを見た後の、風呂で読んでいて、それが1年継続して、毎年、同じくらいの読書量になるのだと思います。

 が、全部が当たりではなく、ホントに良かったと思えるのは、2~3割、新刊は少なくて、ブックオフとかの古本屋で何気なく手に取った古本がアタリだったりします。今に始まったわけではないですが、昨今、書店・古本屋が年々の減っており、このルーチンワークの継続も電子書籍を増やすなど、変化に対応する必要があるかもしれません。そんな2023年の印象に残った5冊です。

1.「グッドライフ」 ― 1938年から続くハーバード大学の成人発達研究、年世代もインタビューをして、得られた結論は、「健康で幸せな生活を送るには、よい人間関係が必要だ。以上。」これは当たり前ですが、何もしなくてもよい人間関係が築けるわけではなく、筋トレのようによい人間関係を築くには常にエクササイズが必要(ソーシャル・フィットネス)と指摘します。つまりエクササイズをしないとよい人間関係を築けないということで、これは当たり前かもしれないですが、ハッと気づかされました。

2.「暗鬼夜行」― これは面白かったです。読書感想文の盗作疑惑という中学校でよくある話から、話が展開して、学校の統廃合、政治家の思惑、最後のオチ、会話中心の文体は賛否両論あるようですが、自分はテンポが速くて好きです。読んだら止まらない系です。

3.「史観宰相論」 ― たまたまブックオフの210円コーナーで買った本、松本清張はミステリーも面白いですが、歴史に対する洞察も流石と思いました。本書では、明治の伊藤博文から戦後の吉田茂までの宰相を語ります。そのテーマは、軍部との折り合いと理解しました。伊藤博文は、比較的ニュートラルでしたが、長州出身の山縣有朋が、できるだけ政党を排除して、出身母体の陸軍が自由に動けるように機関を設計した結果、軍部の暴走を止められなくなる。とくに、昭和初期は、陸軍の暴走に歴代首相は弄され、結果的に終戦に突き進む、これはガバナンスという点では教訓になりそうです。

4.「半導体戦争」 ― 今年のビジネス書ではベストでした。戦後、状態が安定しない半導体に置き換わることで発明された半導体、まずは、アメリカで軍事利用として導入が進み、80年代になると、日本がメモリ、ロジック分野で圧倒的ナンバー1になるも、ウィンテル時代になると、アメリカが復活、さらには、韓国サムソン、台湾TSMCといった政府の後押しで大規模なファンダリーが先進半導体製造を支配するなかで、中国が急激に力をつけてきた、ざっくりこんな感じです。で、次の動きとして、日本政府は遅きに失したのかもしれないですが、ここ数年、バックアップしていますよね、これが日本の半導体産業の復活になるか注目ですね。

5.「安倍晋三回顧録」―あまり政治の本は読まなかったのですが、これは本当に興味深く一気に読みました。安倍元首相の就任するところから、コロナでの退陣まで、政治・経済・外交、さらには、モリカケ事件などの疑惑まで、かなり突っ込んでインタビューしています。アメリカの場合、大統領経験者は回顧録を出すケースが多いと思いますが、日本は少ないですよね。ご本人はこうした形で出版されるのが本望なのかわかりませんが、安倍元首相に心から哀悼の意をささげるとともに、生前の彼のリーダーシップに深く感銘を受けました。

シゲルさんに見る学び続ける姿勢

12月 23rd, 2023 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (シゲルさんに見る学び続ける姿勢 はコメントを受け付けていません)

「現役87歳、トレーダー シゲルさんの教え」を読みました。この主人公のシゲルさん、19歳で株をはじめて、投資歴68年、資産は18億円で、約80銘柄について、毎月6億円の売買をおもにデイトレしているそうです、いやはや、世の中にはスゴイ人がいるものですね。

 この本ではシゲルさんのトレード方法についてかなり踏み込んで開示しています。が、「自分もこのやり方でシゲルさんのように18億円資産を作るぞ!」と思って、この手法を真似るのは、やめておきましょう笑 というのは、その手法は、手数料が安い信用取引のデイトレで、しかも下がったらナンピンしろと汗 というわけで、素人が、これと同じことをしたら、火傷どころか、致命傷を負ってしまいます。

 なぜ、この手法がシンドイのか、自分の理解では、オプションのプット売りと同じ話で、マーケットが凪の状態であれば、そこそこ儲かる手法だと思います。ただ、xxxショックというような、全く予兆もなく、マーケットがクラッシュするときがあります(ブラックスワン)。近年だと、コロナショック、東日本大震災、リーマンショック、ITバブル崩壊あたりでしょうか。この手のショックによって、そこそこの儲けが一瞬にして吹き飛ぶ、どころか、一気に損失がかさみ、退場するケースもあります。なので、個人的には、シゲルさんが、68年のなかで、どのようにこの手のショックを乗り越えてきたか興味がありました、が、あんまり書かれてないんですよね。

 で、自分なりに想像するに、経験と勉強の2つの要素が大きいと思います。まず、一つ目は、経験、シゲルさんがデイトレする銘柄は約80銘柄、その多くが何十年もトレードしつづけたと言います。やはり、それだけ長くトレードしていれば、このマーケット環境だと、どの筋がどのように売ってくる、この決算のタイミングだと、この筋が買っくるみたいな、ポジションが想像できるのではないでしょうか。ゴルフのホームコースでコースの特性を知悉しているのと同じ話ではないでしょか。

 もう一つは、勉強、というか、学び続ける姿勢と思います。シゲルさんのモットーは「まずやってみる。いくらか損したとしても、そこから学びを得て、自分なりのやり方を確立させていく。」(p268)。そのために、毎日、すべての取引をノートに記録して反省、経験は大事ですが、経験による成功体験に頼らず、常に学び続けていく姿勢、これがいくつになってもトレーダーとして生き残っている秘訣と思いました。とくに、xxxショックの場合、前例のない事象なので、「前回はこれ以上、下がらなかったので買い」みたいな過去の成功体験に頼っていたら、やられてしまいそうです。だからこそ、Windowsのようなオペレーティングシステムと同じで、常に新しいモノを取り入れて、アップデートする、こうしたシゲルさんの姿勢は大いに学ぶところがありそうです。

たった一人の狂気 - 「イーロン・マスク自伝」

11月 15th, 2023 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (たった一人の狂気 - 「イーロン・マスク自伝」 はコメントを受け付けていません)

 ウォルター・アイザックソン「イーロン・マスク」を読みました。上下あわせて900ページ以上あり、イーロン・マスクの生い立ちから、X(旧Twitter)の買収、内部告発文書であるツイッターファイルあたりまでカバーされています。アイザックソンの「スティーブ・ジョブズ」も読みましたが、いずれも、第3人称の目線ではなく、ほぼ第1人称の目線なので、彼が何を考えたか、どう行動したか、つぶさにわかるとともに、イーロン・マスクはビジネス、私生活含めて、とことん「クレージー」と思いました笑

 で、いろいろな論点がありますが、そのなかで、彼の原動力となっていると思われるのが、「アルゴリズム」です。ビジネスあるいはものづくり生産を始めるにあたって、彼は、5つの「アルゴリズム」を持ち出します、これは、1.要件はすべて疑え、2.部品や工程はできるだけ減らせ、3.シンプルに、最適にしろ、4.サイクルタイムを短くしろ、5.自動化しろ、です。

 このアルゴリズムがいかん発揮されたのが、宇宙ロケットスペースXで、アマチュアでロケットエンジンを作っているトム・ミューラーのアマチュアエンジンを改良からスタートします。そして、宇宙ロケットを製造するにあたって、軍やNASAが決めた仕様や要件を疑い(アルゴリズム1)、エンジン1基の製作費を部品・工程を減らして、コストを10分の1の20万ドルにし(アルゴリズム2)、2010年無人宇宙船を打ち上げる際、最終検査で2段目エンジンのスカート部に亀裂が入っていた際、数週間かけて修理・延期するのではなく、シンプルにスカートを切断して無事成功とシンプルに最適にする(アルゴリズム3)、そして、それが結果的にサイクルタイムも短くなると(アルゴリズム4)。最後は自動化(アルゴリズム5)であるものの、たとえば、テスラでは自動化ありきで進めましたが、結局上手くいかず、要件をすべて洗い直し、部品や工程を減らせるだけ減らし、バグを潰しきることではじめて自動化にたどり着いたといます。

 とはいえ、こうしたアルゴリズムが万能ではなく、2001年に創業したスペースXも発射試験を繰り返し、繰り返し、失敗し、2008年4回目の打ち上げでやっと打ち上げに成功します。というわけで、アルゴリズムを愚直に追及すること、そして、周りから何を言われようが、ギブアップせず、やり続けること、この「クレージー」さが、彼の持ち味だと思いました。で、これまでボーイングのような大手は、宇宙ロケットを製造するために、軍・NASAの仕様・要件に従い、そのコストを請求する実費精算式により膨大なコストがかかっていましたが、スペースXはこの「アルゴリズム」により大手と比較にならない低コストで宇宙ロケット打ち上げを成功させました。という点で、このスペースXの宇宙ロケットはイノベーション(革新)でしょうが、イノベーションを起こしたくて起こすのではなくて、アルゴリズムを追求した結果としてイノベーションにつながったとも言えそうです。

 ただ、こうした「アルゴリズム」は生産には有効ですが、万能のツールではなく、とくに後半ではツイッターの買収での苦悩が描かれます。買収する、しないのすったもんだの騒動で買収したツイッターですが、ツイッターはテクノロジー企業ではなく、人間の感情や関係に基づく広告メディアであり、とくに、政治的なバイアスがかかります。たとえば、ツイッターの内部告発文書であるツイッター文書では、ツイッターの社員の大半が民主党支持であり、大統領選挙の際、民主党候補バイデン大統領の息子のスキャンダルについて、民主党バイアスもあり、わざと拡散しなかった経緯が触れられています。で、この手の話は正解がないので、「アルゴリズム」で何とかなる話でもない気もします。そういう点で、X(旧ツイッター)の企業価値が半減しているのも、やはり、従来のイーロン・マスクの手法が通用しなかったということかもしれないですね。

 ただ、X(旧ツイッター)は置いておいて、ものづくりという点では、この「アルゴリズム」がスペースXの宇宙ロケット、テスラのEVなど、米国、そして、世界を大きく変えました。そして、それはたった一人の狂気クレージーによるもの、といってもいいかもしれません。自分はこうしたクレージーな性格ではないですが汗、まわりにイーロン・マスクのようなクレージーを持ち合わせている人がいたら、起業を進めましょう。で、もしかしたら、それによって世界を変えるイノベーションを生み出すことができるかもしれません笑

ChatGPTと質問力

10月 7th, 2023 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (ChatGPTと質問力 はコメントを受け付けていません)

 さて、今年の登場したテクノロジーの中でも今後最も大きな影響を与えそうなのが、生成AI、そのなかで、我々が一番身近に接しているのはChatGPTではないでしょうか。で、これまでこうした新しいテクノロジーをどうやってビジネスに展開するか、何冊も本も出しましたが、いろいろ考えてきました。

 このChatGPTをどう活用するか、自分の中の答えが「質問力」です。AIは、その名の通り、人工知能なので、我々は何もしなくても勝手に素晴らしい答えを人工知能が教えてくれる。そして、ChatGPTでも、自分が知らないことを教えてくれる、そんな幻想があるかもしれないですが、おそらく、そんなことはなくて、AI・ChatGPTを活かすも殺すも、利用者の「質問力」にあるというのが自分の答えです。

 なぜ、「質問力」か? ChatGPTでは、世界中のあらゆるデータを集めてLLM(大規模言語モデル)を生成します。自分の理解では、LLMはグーグルの検索のように、何かしらの問いを、知りたいことを入力すると、その問いに対する答えを返してくれます。たとえば、翻訳はわかりやすいですよね、最近は翻訳をするときは、自分で訳すことはあまりしなくなりました、むしろ、ChatGPTに原文をいれるだけで、かなり正確な、自分の意図した結果を出してくれます、この延長だとプログラミングもあります。ある処理を実現したいという要求について入力するとChatGPTはかなり正確にプログラミングのコードを出力してくれます。

 で、翻訳とプログラミング、いずれにしても、問いという材料が必要で、材料を作るのは「質問力」ではないかと思います。ChatGPTの場合、この「問い」は、プロンプトという形で対話的に入力します。そして、わかりにくい問いを繰り返し質問することで明確にしたり、答えが不明瞭な場合はフィードバックをしたり、答えに対して、他の情報源による別の質問をしたり、こうしたプロンプトを起点にした「質問力」が、ChatGPTを活かす方法と言えそうです。ちなみに、ChatGPTに活用方法を聞いても同じような答えなので、この方向性で間違いはないかと笑

 で、どうやって「質問力」を上げるか?斎藤先生の「質問力」は、もちろん、ChatGPT対策ではありませんが、「質問力」を上げるためのヒントがあります。まず、「質問力」というか、良い質問とは「具体的かつ本質的」であること。それはそうですよね、まったく抽象的な空中戦の質問をしても相手は答えられません、かといって、「今日、何食べた?」みたいな非本質的な問いも、あまり意味があるとは思えません。

 そして、「具体的かつ本質的」な質問をするためには、1.沿うこと、そして、2.ずらすことにあると指摘します。1.沿うこと、質問した答えに対してあいづちを打つ、あるいは、その答えに対してさらに深堀することであり、2.ずらすとは、抽象的な答えであれば「具体的に言うとどういうこと?」だったり、具体的な答えであれば「まとめるとどういうこと?」と具体的な話と抽象的な話を行き来することと理解しました。

 で、ChatGPTの活用事例で、一人壁打ち、ブレストみたいな事例がありますがブレストも、、やはり、この沿って、ずらすの繰り返しであり、このブレストのアウトプットは利用者の「質問力」によると思うのです。というわけで、ChatGPTの活用方法は、話上手になること、沿って、ずらす、を自由自在に使いこなすことではないでしょうか。

グッドライフにみる人間関係の筋トレ

9月 3rd, 2023 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (グッドライフにみる人間関係の筋トレ はコメントを受け付けていません)

 さて、思いがけない本との邂逅は、長く続く自分の愉しみの一つですが、最近読んだなかで、印象に残ったのが「THE GOOD LIFE 幸せになるのに、遅すぎることはない」です。著者がかかわるハーバード成人発達研究では、1938年から健康な大学生を対象に人生全般にわたるデータを収集し続けているそうです。

 で、80年以上蓄積したデータからわかった結論、それは「健康で幸せな生活を送るには、よい人間関係が必要だ。以上。」そりゃそうだと言われれば、それまでですが、GOOD LIFEを実現するには、よい人間関係が必要というのは、納得感もあります。

 このよい人間関係とは何か? 人間関係は、筋力と同で、何もしなければ人間関係も衰えていくと指摘します。これもそうですよね。交流会で、名刺交換して、人間関係を築いたつもりになっても、何もしなければ、その関係も疎かになりますよね。これはよい人間関係とは言えません。むしろ、人間関係は、生き物のようなもので、よい人間関係を築くには常にエクササイズが必要(ソーシャル・フィットネス)と指摘します。

 よい人間関係を築くためにいろいろなエクササイズがあるようですが、自分の理解では、このエクササイズのポイントは、自動運転モードにならないことと理解しました。自動運転モードは、毎日のルーチン生活を繰り返すということでしょうか。会社員であれば、朝9時に出社して、夕方5時に帰宅、その後、テレビ・ネットを見て、寝て、また、次の日も同じルーチンの繰り返しといったところでしょうか。前に取り上げた「Die with Zero」でも、この自動運転モードの弊害を指摘し、今しかできないこと・経験を大事にすべしと言います。いずれにしても、こうした自動運転モードではよい人間関係は築きにくいと思います。

 この本でも触れられていますが、自動運転モードにならないためには、やはり、日常のあらゆるものごと・出来事に注意・関心を向ける、言い換えれば、好奇心を持つということではないでしょうか。たとえ、朝9時に出社して、毎日のルーチンワークをこなして、夕方5時に帰宅する生活といっても、業務のなかでいつもと違った工夫をする、帰り道いつもと違うルートで帰る、など、自動運転モードにならない工夫はあるように思いますし、そうした工夫を家族・友人・社員でシェア・共感することがよい人間関係への一歩ではないでしょうか。

 くわえて、人間関係のエクササイズを仕組化する試みもありますよね。たとえば、xx会のような定期的な催し、暑くなったら暑気払会、年末になったら忘年会と、まあ、飲みたいだけなのかもしれないですが笑、年に一度とかの定期的なタイミングで集まることは、年に一度の筋トレとは言わないですが、人間関係のエクササイズを仕組化するやり方のように思います。

 で、この人間関係のエクササイズ、この研究によると、歳は関係ないようです。どんな歳をとろうと、人間関係のエクササイズは始めることができます。そして、こうした人間関係のエクササイズを継続していた人の方が寿命は長いそうです。これもそうですよね、周りに誰も知り合いがいない孤独な状態だと、やはり、自動運転モードになってしまう傾向が強いのではないでしょうか。自分も振り返ってみると自動運転モードが多いような気もしていて、人間関係の筋トレに励みたいと思います!

車内販売に見るアナログ化とデジタル化

8月 13th, 2023 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (車内販売に見るアナログ化とデジタル化 はコメントを受け付けていません)

 さて、先週のニュースですが、東海道新幹線 23年10月末で車内ワゴン販売を終了するようですね。まあ、仕方ないところもあるのでしょうが、思うところがありました。

 自分も新幹線を利用しますが、車内販売を利用することあまりないですね、最近では、駅のキオスクがコンビニ代わりなので、だいたい、そこで十分ですね。とくに、よく利用する東京・軽井沢は新幹線で1時間ちょっとなので、小田急線でいうと、新宿・藤沢くらいのイメージで、通勤・通学と同じ感覚です。

 さらに、新幹線も早くなりましたよね。たしか、小学生のころ、静岡から母親の実家がある姫路まで、朝一番でこだまにのって、昼過ぎにようやく姫路に到着した記憶があります。で、やはり、新幹線に乗っている時間が長いので、名古屋あたりで、カチカチのアイスクリームを食べるのが楽しみでした。が、いまや、東京・大阪間は、のぞみで2時間半、あっという間ではないですが、その気になれば、日帰りでも往復できますね。で、名古屋についたら、あっという間に大阪です。

 というわけで、東京・大阪といえば、かつての旅情の佇まいから、東京・軽井沢、新宿・小田原のようなカジュアルな通勤圏内になりつつあるのかもしれないですね。で、こうした技術=速度アップの進歩が、これまでの仕事を奪った例は枚挙にいとまがありません。たとえば、もう60年以上前になりますが、電話交換手、その昔、電話で通話するためには、電話交換手という人手を経由して通話をしていました。たしか、となりのトトロで、娘のさつきがお父さんの大学に電話をかけるとき、交換手が登場しました。その昔は、電話交換手は憧れの職業だったようですが、今は存在しないですよね。

 もう一つは、自分も記憶にあるエレベーターガール、昭和生まれじゃないとわからないかもしれないですね笑 今から30年以上前の昭和では、どの百貨店にもエレベーターガールがいました。仕事は、シンプルでエレベーターの操作、案内で、「上にまいります」というシンプルな案内もありましたが、その階のおススメを案内してくれるエレベーターガールもいました。その昔は、若かりし宮沢りえがエレベーターガールの役を演じたりと、高嶺の花でしたが、バブル崩壊以降、エレベーターガールは、めっきり見なくなりましたね。

 さて、車内販売と電話交換手とエレベーターガール、時代が必要とされなくなった役割かもしれません。ただ、振り返ってみると、アナログの良さもあったかもしれないです。自分が若かりし頃、静岡の松坂屋のエレベーターガールは洗練されていて、松坂屋のエレベーターガールのお姉さんにエレベーターにまた乗ってみたいと思わせるものがあったように思います。車内販売も似ているかもしれないですね。駅前のキオスクだろうと、車内販売だろうと、缶ビールは同じですが、「この人」から買うのは違いますよね。


 というわけで結論、電話交換手、エレベーターガール、社内販売、この手の話はデジタル化が避けられない業種です、が、アナログのおもてなしはカタチを変えて残ると思います。たとえば、鉄道だと、JR九州のななつ星 in 九州、とことんおもてなしを追及するスタイルだと思います。で、JR東海は、社内ワゴン販売終了の代替サービスとして「グリーン車のみ」モバイル注文のようですね。こんなデジタル化ではなく、価格を5倍、10倍にして、おもてなし側にふって、旅情溢れる東京・大阪新幹線旅にしてはどうでしょうか笑

キャッシュレスと手間

7月 6th, 2023 | Posted by admin in 日々の思い - (キャッシュレスと手間 はコメントを受け付けていません)

さて、先日、タクシーの運転手さんと話して、思うところがありました。その運転手さんの話は、最近、降車後の決済手段の7~8割が電子マネーで決済するそうです。まあ、たしかに、最近は、paypayだったり、タクシー専用の決済Go Pay、S-rideだったり、Suicaだったり、いろいろとキャッシュレスの決済が増えました。

 が、その運転手さん、いわく、残りの2割の現金のお客さんの手間がかかるそうです。たとえば、近場の700円くらいの決済で、「1万円しかありません」であったり、挙句の果てには、「手持ちの現金がありませんでした」というケースもあるそうです、まあ、これは無銭乗車になるので、免許証など担保するなど、取りっ逸れない工夫をするそうです。

 さて、先日、東京ドームにいく機会がありました。東京ドームの場内飲食売店では完全キャッシュレス、現金は使えません。この写真のように、売店から、スタンドでのビール販売、すべてキャッシュレスです。

 で、この現金+キャッシュレス、キャッシュレスオンリー、この2つには大きな差があるように思います。ユニバーサル、老若男女問わず同じ「よりよいサービス」を提供するのでれば、現金+キャッシュレスという選択になるはずです。が、その一方で、冒頭のタクシー運転手さんのように、現金にまつわる「手間」はかかります、もちろん、キャッシュレスでもSuicaがチャージできなかったという可能性はあるでしょうが、現金に比べてはこうした「手間」は低いのではないでしょうか。

 というわけで、この現金とキャッシュレスの話、「よりよいサービス」と「手間」のせめぎ合いのように思います。が、これからずっと「よりよいサービス」ということで現金という選択肢が続くかわかりません、自分の親も結構キャッシュレス使ってます。というわけで、「よりよいサービス」にこだわりすぎずに、東京ドームのように「手間」を省けるキャッシュレスでよいのではと思いますが、いかがでしょうか。