植草甚一 スクラップブック

7月 5th, 2015 | Posted by admin in お知らせ | 長橋のつぶやき - (植草甚一 スクラップブック はコメントを受け付けていません)

自分は、性格もあるかもしれないけど書斎派と呼ばれる人に並々ならぬシンパシーを感じます。競馬評論で言えば、大橋巨泉、そして、自分の中では書斎派として私淑してやまないのがJ・J氏こと植草甚一氏です。

  たしか、彼のことを最初に知ったのは何かの雑誌で、ニューヨークのことが滅茶苦茶詳しくて、人からニューヨークのことを聞かれるとなんでも答えることができた人がいたという。でも、彼は、実はニューヨークに行ったことはなく、すべて本・雑誌を通じて知った情報であり、彼が最初にニューヨークに行ったのは65歳だという記事を読んで、世の中には面白い人がいるなあと思いました。この話は、現場とJ・J氏に学ぶインプットの方法をご参照ください。

 実際、彼の著作を読んでいると、本に対する並々ならぬ情熱にすっかり虜になり、ここ10年来私淑しております。自分の文体もたぶんにJ・J氏にならっているところもあります。ちなみに、彼は38歳のとき、江戸川乱歩からこの海外推理小説どこの古本屋にあるの?と問いかけられて、即答でどこにあるか把握していたという。恐ろしや。

 で、J・J氏のスクラップブック展が世田谷文学館で開かれていると聞いて、これは行かねば、と思っていましたが、最終日にてようやく行くことができました。いやー、久しぶりというかはじめかもしれない、文学館でゾクゾクしました。

 活字を通じて彼の文章に接していたけど、はじめて彼の直筆原稿、スクラップブックを見て、改めて几帳面な人だなあと思いました。なにせ、映画評論をしているときは、最初から最後までシーン一つ一つ事細かにメモしないと、評論を書けないという。まあ、いわゆるメモ魔ですね。

 すごいなあと思ったのは、死の直前までも、本、ジャズに対して飽くなき興味を持っていたこと。自分もこうありたいなあと思いました。最近、仕事とかそういったことで忙しかったけど、こういうモノに触れるのも大事だなあと思いました。

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