ソニー・ドリームキッズの伝説

7月 26th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (ソニー・ドリームキッズの伝説 はコメントを受け付けていません)

戦後、焼け野原のなかで生まれたソニーというベンチャー企業が、30数年で世界を代表するエレクトロニクス企業にどのように成長できたのか、とても興味があります。

最初に読んだ本は、盛田昭夫の「MADE IN JAPAN」、盛田昭夫という第一人称からソニーをどのようにして大きくしていったのかが、とてもよくわかります。その成功の要因の一つは、トップダウン、トランジスタラジオの海外OEMを蹴って自社でUS販売を始めた件にしてもウォークマンの件にしても、”合理的”に考えれば、説明がつかない。でも、トップが決断して、結果的に果実を得る。

そして、次に、この本「ソニー・ドリームキッズの伝説」

「MADE IN JAPAN」は,盛田昭夫の一人称だけど、「ソニー・ドリームキッズの伝説」は、ジョン・ネイスンというソニーとは独立した第3者の視点からソニーの伝説に迫っていて、前述の、「なぜソニーがグローバル企業になれたのか?」に対して、様々なとくに米国の視点から迫っている。

自分の理解は、3つあると思う。

まず1つ目は、創業者井深大の”執念”、彼はテープレコーダの製造にしても、テレビの製造にしても、100台作ったとして、99台失敗しても、1台でも成功すれば、「絶対うまくいく」という執念で、原因を追究し、プロダクトを改良する、これがソニーの礎になったのは間違いないだろう。

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2つ目は、同じく創業者盛田昭夫の”外交”、彼が日本人として戦後早い段階で、生活の拠点を東京からニューヨークに家族で移住したことはよく知られている。もともと、日本のビジネスマンはほとんど日本にいる状況で、ニューヨークに居を構えているのは、ほとんど、彼一人という状況。そこで、彼は、ニューヨークの経済人くわえてワシントンの政治家とも太いパイプを築く。そうした状況ゆえに、アメリカ人からは、”日本でビジネスしたければ、政治家ではなく、まずは、盛田に相談しろ”というくらい、アメリカ側から信頼されていたという。たとえば、かつて、アメリカの保険会社プルデンシャル生命が日本に進出しようとして、彼に会談を申し込んで、できたのが、ソニー生命という。まさに、虎穴に入らずんば虎児を得ず、これがソニーのグローバル企業の基盤となっていることは間違いないだろう。

そして、最後は、大賀典雄の”ブランド”、もともと、バリトン歌手を志した大賀は、人一番、洗練されたモノに対する執着が強かった。ソニーの名前はもともと”ソニー坊や”から来ていて、キャラクター自体は全然洗練されていない。そこで、大賀がロゴデザインなどを手掛け、ソニーの洗練されたブランドイメージを築いたと。

ほぼ家族同様の3人が、それぞれ、技術、外交、ブランド、それぞれ補完しながら、新しい領域を開拓する、やはり、この良い意味での家族経営がソニーの原動力になっていったんだと思いました。21世紀のソニーはといわれたら、徹底的に技術を突き詰める人、世界の果てだろうと一人で開拓する人、そして、洗練されたブランドをつくる人、こうした”人”の結集が次のソニーを生むのかもしれない。

顧客を獲得する 独立ノウハウ

7月 20th, 2013 | Posted by admin in 独立 | 経営 - (顧客を獲得する 独立ノウハウ はコメントを受け付けていません)

かのピーター・ドラッガーはこう言っている、”事業の目的は、顧客を創造すること”と。

独立しようが、企業にいようが、一番、難しいけど、知恵の絞りがいがあるもの、それは顧客を獲得することだと思う。

これがわかったら誰も苦労しないし、自分も教えてもらいたいくらいだ。とはいうものの、独立という観点では、いままで見てきた経験だと、顧客の獲得には、1.既存の顧客および2.新規顧客の2種類があると思う。

既存の顧客

蕎麦屋・ラーメン屋に”のれん分け”という風習がある。たとえば、ある若者がラーメン屋を開業することを目指すとする。その場合、有名店・繁盛店で修業するというのは一つの手段だ。やっぱり、繁盛店は、何かしらお客さんの琴線に触れるものがあるから、繁盛するわけであって、たとえ、皿洗いといった下っ端の仕事であっても、次第に様々な仕事をこなすことで、繁盛店のノウハウをある程度身につけることができる。そして、親方がみても一人前になったら、”のれん分け”という形で、自分の店をもつ。

 この場合は、新しくビジネスをはじめるわけだけど、リスクという点ではそれほど高くない。たとえば、美容室の場合、担当が決まっていて、”いつものカットでお願い”といえば、だいたい対応してくれる。だから、その担当者が自分で開業すれば、その担当が開業した店にいく。つまり、店に価値があるのではなくて、人に価値があり、最初の資金繰りは大変かもしれないけど、安定したお客さんがいれば、なんとかなる場合が多い。自分もどちらかといえば、このタイプに当てはまる。

 これは企業でも同じだと思う。たとえば、IT企業の場合、大企業であれば、ほとんど、自分でプログラミング・システム構築をすることはなく、むしろ、進捗管理などのプロジェクトマネージャー的な役割が多い。そして、実際のプログラミング・システム構築は、協力会社と呼ばれる会社に外注する。プロジェクトマネージャーにしてみれば、重要なのは、進捗通りプロジェクトが進行すること。だから、かつての協力会社でイケてる社員が自分の会社を立ち上げたとしても、きっちり仕事ができれば、その新会社に発注する価値はある。

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新規の顧客

 もう一つの顧客獲得は、新規。いってみれば、何もないところから、自分たちで新しいモノを生みだし、そして、全く面識のない顧客を獲得する。

 これは、既存の反対で、リスクが高い。たとえば、いまでこそ、クックパッドは、押しも押されぬ日本ナンバーワンのレシピサイトだけど、サイトをオープンしたのは、10年近く前の話。そして、10年前にクックパッドを知っていた人は、ごくわずかにすぎない。もちろん、素晴らしいサービスだから、今のクックパッドがあるわけだけど、たとえ、ネットであっても、口コミが口コミを誘って、国民的なサービスになるまでには、それなりに時間がかかる。5年間、やっても芽が出なかったということで、サービスをやめた自分の知り合いもいる。

 このようにゼロからサービスを立ち上げて、新しい顧客を生みだすのは、本当にうまくいくかどうかわからないので、リスクが高い。でも、リスクが高い分、国民的サービスとして、日本国民、ひいては、世界から認知されれば、そのリターンは計り知れない。

既存か新規か?

 既存の顧客を獲得するか、それとも、新規の顧客を獲得するか?これはどちらが良いかは、判断しにくい。

既存の場合、たしかに、ビジネスとしては”カタい”、ただし、たとえば、上述のIT系の場合であれば、お客さんから言われた仕事をこなす”受託屋”になりがち。受託屋自体は悪くはないけど、ずっと、受託一本だと、発注先の業績に依存してしまうところがある。お客さんの業績が悪くなると、まず、最初にカットするのが、外注費。外注を内製化に変えれば、その分コストカットできるので、最初にコスト削減で手をつけるところになる。

 そういう意味で、自分でサービス・製品をつくって、新規の顧客に提供する方が、”受託屋”特有のリスクはない。でも、その立ち上げが茨の道であることは触れたとおり。

 これって結局のところ、”リスク”なんだと思う。投資と同じで、人によって、とれるリスクは異なる。低いリスクしか取れないひともいるし、高いリスクを取りたい人もいる。というわけで、独立したから、ローリスクで既存のお客さんを活かせ、というのはナンセンスだし、逆もまたしかりと思うのです。

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横浜マリノスにみるJリーグの経営学

7月 18th, 2013 | Posted by admin in Jリーグの経営学 | 経営 - (横浜マリノスにみるJリーグの経営学 はコメントを受け付けていません)


先日、横浜マリノス 2012年度 決算をFacebookに投稿したら、とても有益なコメントをいただいたので、シェアさせていただきます。

マリノスの2012年度決算

Jリーグのクラブというフィルターなしに、1企業として横浜マリノス(株)の決算内容を見ると、危機的な内容。まず、貸借対照表(B/S)の純資産の部が、▲16.7億円と大幅マイナス。赤字が累積し、その累損赤字が資本金を上回る、いわゆる、債務超過状態。債務超過=倒産というわけではないものの、少なくとも、銀行に融資をお願いしても、銀行側は貸し倒れのリスクは高いと判断して、おカネを貸してもらえない可能性が高い。

 くわえて、損益計算書(P/L)では、営業収益(売上高)37.1億円に対して、営業費用が42.1億円、主に人件費の負担が重く、営業損失は▲5億円の赤字。キャッシュフロー計算書は、開示されていないけど、おそらく、営業キャッシュフロー(本業から得られる1年間の現金収入)も赤字、すなわち、ビジネスをすればするほど、キャッシュが流出し、赤字がかさみ、債務超過の状態に歯止めがかからない。

債務超過の背景

普通の企業として、横浜マリノスを見た場合、上記のような危機的な状況であるものの、”Jリーグのクラブ”という点からみれば、赤字になること自体はおかしいことではない。その理由は、やはり、収益機会が少ないこと。普通の企業の場合、土日を除く52週間(1年)x5日=260日間、生産・営業・販売活動をするチャンスはあるけど、Jリーグの場合は、リーグ戦34試合、カップ戦6試合、天皇杯1試合=41試合(*1)、プロ野球の場合、144試合なので、試合数にすればプロ野球の方がJリーグより3倍も多い、1試合あたりの入場料収入が同じであれば、当然、試合数の多いプロ野球の方が収入も多い。くわえて、横浜マリノスの入場者数は、自社努力によって、2012年度は増えているものの、Jリーグ全体の入場者数が減っている。というわけで、プロサッカー選手を維持するための人件費 > 入場料・広告収入、すなわち、赤字になると。

(*1)ただし、カップ戦6試合は予選リーグのみなので、決勝トーナメントで優勝すると+5試合、天皇賞についても優勝する場合は、2~7回戦までの6試合なので、最大は34 + 11 + 6 =51試合、ただし、アジア・チャンピオン・リーグに出場する場合を除く

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ただし、他クラブと横浜マリノスが違うところは、横浜マリノスの場合、経営の独立性を上げていること。横浜マリノス嘉悦朗社長へのインタビューによれば

親会社にクラブの赤字を補填してもらって、財務を表面的に穏やかに見せるようなことを僕はやりたくはない。そもそもマリノスの社長に就任したとき、日産から「赤字補填なしでやっていけるように改革してくれ」と言われていました。どこまで自力でやれるか、本気でチャレンジしたいんです。経営の透明性ですよね。

と経営の透明性を確保すべく、他のクラブが親会社からの赤字補填があるのにたいして、横浜マリノスの場合、親会社である日産からの赤字補填をしない経営方針のために、累損が膨らむ図式となっている(キャッシュフローでいえば、営業キャッシュフローは赤字だけど、財務キャッシュフローがプラスなので、フリーキャッシュフローがトントン)。

親会社への依存

 閑話休題。万年赤字のJリーグクラブが累積赤字を解消するために、親会社に頼る、この図式は、自分にはかなり見覚えがある風景。とくに、自分はIT子会社(親が大手企業で、その大手企業向け情報システムの開発・運用をする)と付き合うことがおおくて、その多くは、Jリーグクラブと同じ。すなわち、親会社の情報システムのメンテナンスが中心なので、当然、赤字が続く。親が体力があるうちは問題ないけど、いざ、体力が落ちると、外販(親以外の会社にシステム・ソリューションを販売)などの形で、”親離れ”が必要になる。でも、この”親離れ”ができない企業が結構多い。まさに、子会社にとっては、”親がなんとかしてくれる”と思っているからだ(もちろん、こういう会社だけではなくて、きちとん、親離れできているIT子会社もたくさんあります)。

クラブライセンス制という黒船

 やはり、累積赤字を親会社が補填するというのは、あまり健全でない。クラブも1企業である以上、フリーキャッシュフローをプラスにして、きちんと、税金を支払うのが企業の役割の一つだと思う。こうしたこともあり、2013年度から導入されるのが、「クラブライセンス制度」、もともと、ドイツにおいて各クラブのリーグ参加資格をチェックするために生まれた規格で、今年からJリーグクラブにも適用される。様々な規則があるけど、ここで関係するのは、財務基準。Wikiによれば、Jリーグのクラブとしてプレーするためには、以下の財務基準を満たす必要があり、満たせない場合は、下位リーグであるJFL等への降格になる可能性がある。

財務基準
・年次財務諸表(監査済み)を提出し、Jリーグの審査を受けること(A基準)。その際、3期連続の当期純損失(赤字)を計上していないこと(2012年度-2014年度の3年間以降で算定)および債務超過でないこと(2014年度から算定)が必須条件となる
・移籍金や給与の未払いが生じていないこと(A基準)

3期連続の当期純損失もあるけど、やはり、論点は、何度か指摘している債務超過でないことだろう。結論として、今回取り上げる横浜マリノスについては、親会社の補填なくして、債務超過の解消は不可能だろう。そして、親の援助なくして、黒字をキープできるクラブはかなり限られると思われる。

で、どうするか?

 こうした点を踏まえると、Jリーグクラブの経営はかなり難易度が高い。財務リストラとして、人件費をさらにカットすれば、選手のモチベーションが下がる→チームの成績が落ちる→入場料・広告収入が減る→赤字がさらに拡大、とネガティブスパイラルに陥る可能性が高い。だからといって、いつまでも親にたよれるかと言えば、IT子会社の例のように親会社がつねに体力があるとは限らない、まさに袋小路状態だ。

 で、どうするか。一つは、日本の製造業のように、海外に展開するのはあると思う。Jリーグはアジアを目指す ~生き残りをかけた600億円市場 獲得戦略~のように、アジアに進出して、広告収入を増やすのは一つの手だと思う。”アジアでサッカーは流行らない”といったら終わりで、やはり、やるしかないと思う。

おわりに

Jリーグの経営については、ずぶの素人であった自分に、有益なコメントを下さった皆様ありがとうございました、ここに御礼申し上げます。とくに、大学の研究室の先輩である土本 康生さんからは、一筋縄ではいかないJリーグの状況についてとても有益なコメントをいただきました、この場を借りて感謝の意を表します。

追記:サッカーの総試合数について、カップ戦、天皇杯、それぞれ優勝した場合のケース最大51試合を追記しました。
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インダストリアル・インターネットにみるGEの経営力

7月 11th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | 経営 - (インダストリアル・インターネットにみるGEの経営力 はコメントを受け付けていません)

たまたま、読んでいたFinancial Timesの記事にとても興味深い記事があった。タイトルは、”GE plans platform path for ‘internet of things’” (GEがinternet of things のプラットフォームを提供する)というもの。

仕組みとしては、GEが提供している航空機エンジン、鉄道などにセンサーを搭載し、センサーからのデータを集約して、分析して、パターンを見つけて、運用効率を上げるというものだ。こうした試み自体はそれほど新しい話ではないけど、産業界において圧倒的なシェアを誇るGEが取り組むことで、裾野が広がることは間違いないだろう。

どちらかというと、自分がこの記事を読んで驚いたのは、ハードウェアの売上がほとんどのGEがソフトウェア分野に取り組むという決断をしたこと。

普通の企業の場合、こうした決断はなかなかできない。というのは、ハードウェアが”稼ぎ頭”である場合、必然的に、その部門の影響力が強くなり、会社の方針としても、その影響力の強い部門を反映したモノになりがちだ。

そして、新規にソフトウェア分野に取り組むというのは、もちろん、ハードウェアとの相乗効果はあるけど、ハードウェア部門からしてみれば、自分たちの領域を侵すことにもなりかねない、で、当然、反発するケースが多い。よく、ハードウェアとソフトウェアの両輪というけど、なかなかこれが実現できないのは、社内の力学の問題が大きいともいえる。

だからこそ、GEのこうした決断は評価したい、そして、これは結局のところ、経営者のリーダーシップの賜物なんだと思う。
GEといえば、長い年月とコストをかけてCEOを選ぶことで知られているけど、やはり、こうした”やならければいけない”ことを実現するために必要な投資なのかもしれないと、このインダストリアル・インターネットから思いました。

人を雇う 独立ノウハウ

6月 24th, 2013 | Posted by admin in 独立 | 経営 - (人を雇う 独立ノウハウ はコメントを受け付けていません)

前の、合同会社と株式会社に続いて、人を雇うという話。

独立には、二つの方法があって、一つは個人事業のように一人ですべてこなす”個人事業型”、もう一つは、人を雇って事業を拡大する”雇用事業型”。

 当然ながら、いずれもメリット・デメリットがある。個人事業のメリットは、基本自分の食い扶持を稼げばいいので、それなりの仕事があれば、食べていくのはそれほど難しくない。一方、雇用事業型の場合は、人を雇うので、給料を支払わなければいけないし、”今月は収入がないから給料なし”、ではすまされない。だから、ある程度の売上が必要になる。

 では、個人事業と雇用事業どちらがいいか?ケースバイケースなので、何とも言えないけど、一つ言えるのは、どちらもパートナーの存在なしには事業はありえないこと。個人事業主は、一人でやっているようにみえるけど、そうでもない。たとえば、本・媒体に文章を書く仕事は、典型的な”一人でやる仕事”、のように見えるけど、意外とそうでもない。当然ながら、本であれば出版社があって、出版社の編集者と綿密にコミュニケーションを取りながら、書いて直して、買いて直して、という作業を繰り返して、出版にこぎつける。出版したら、書店や媒体宣伝のための営業活動、さらには、次の出版社へのアプローチなど、時間的には一人で書いている時間は長いかもしれないけど、パートナーとの協業なしではありえない。もしかしたら、電子書籍であれば、セルフサービスで全部一人でできちゃうかもしれないけど、それはそれで味気ない気がする。

 そう、人を雇うと雇わないと関係なく、一人でビジネスをやるということはありえない。そして、最近思うのは、ネットによってこうしたパートナー探しのチャンスが増えてきていると思う。スタートアップベンチャーの様子を描いた「Yコンビネーター」(ランダル・ストルス著、日経BP)では、スタートアップベンチャーで人を探す手段として、クレイグリスト(地元の不動産、求人などを掲載したコミュニティサイト)を挙げている。日本でも、クラウドソーシングみたいな形でネットを通じてイラスト、ロゴの発注をしたりと、ネットを通じたパートナー探しが結構増えている。とくに、日本の大企業の場合、何から何まですべて自社で完結する完全内製型で外部との仕事はお断りというのはまだそれなりにあるけど、海外に目を向けると外部パートナーとの協業は当たり前、みんなで知恵を集めてよりよいものを作るという会社が多いように思う。

 そういう意味で、雇用事業型の雇用とは、自社内にパートナーを増やすということかもしれない。これはこれで重要だと思う。いくら外部のパートナーに頼んだところで、一人で回せないこともある、だから、内部にパートナーを雇って、事業を大きくする。結局のところ、個人事業型と雇用拡大型の違い、それは、外にパートナーを求めるのか、あるいは、内でパートナーを求めるのか、どちらかなのだと思うのです。

なぜ、ダイバーシティが重要か?

6月 5th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (なぜ、ダイバーシティが重要か? はコメントを受け付けていません)

これまで、ダイバーシティというと、あまりピンとこなかったけど、最近、これはとても重要だと思うようになった。

なぜ、ダイバーシティ(多様性)が重要か?

ダイバーシティの反対のケースを想定すると、うまく説明できるように思う。

今はだいぶ少なくなったけど、日本で新卒採用するとき、同じ学部の男性の22歳の日本人を100人採用する。彼らのバックグラウンドもそれほど変わらないので、アンチ・ダイバーシティの状況が発生する。

このアンチ・ダイバーシティは、経営にとってはわるくないこともある。たとえば、新人研修で自社の理念を叩き込み、愛社精神を涵養すれば、会社を愛する企業戦士が誕生する。そして、彼らが猪突猛進して、沢山の製品を売ってくれれば、会社としては、売上が増える話なので、悪い話ではない。

ただ、このアンチ・ダイバーシティが決定的によくないときがある、それが会社が下り坂になったとき。アンチ・ダイバーシティは、あたりまえだけど、”みんな同じ”なので、人と違うことをやると、とても浮いてしまう。そして、みんなと同じことをやっていれば良いという雰囲気をぶち壊してしまう。だから、あえて、人と違うことをやらずに、みんなと同じことをやる。

でも、景気の落ち込み、事業環境の変化などで、業績が下り坂になった場合、この”人と違うことをやらない”というのは、決定的によくない。たとえば、ちょっとしたコスト改善案があっても、”人と違う”ことをしなくてはいけないので、周りから白い目で見られるのを恐れて、その改善案も握りつぶしてしまう、そして、”給料もらえるからいいや”ということで、いつもとおなじことをする。こういう状況は、自分も何度か見てきて、これってアンチ・ダイバーシティの弊害だなと。

危機感を感じた経営陣は、外国人を入れる、女性幹部を登用する、年齢に関係なく採用する、と刺激を与えて、”人と違うこと”を是とする環境をつくる、これはとても理にかなっていると思うし、最近、”ダイバーシティ”が流行っているから、ウチも取り入れてみました、というのは、あまり変わらないとも思う。

ただ、外国人を入れる、女性幹部を登用する、年齢に関係なく採用する、というのは結構難しい、とくに、その人にあった適材適所を見つけて、活かすようにするのは、楽ではない。やっぱり、経営者も海外の経験がないとできないし、様々な職場を経験しないとできることじゃない。グローバルエリートという言葉があるとしたら、こうしたダイバーシティをきっちりマネージメントできる人なんだなあと最近思うようになりました。

新しいビジネスをつくる

6月 2nd, 2013 | Posted by admin in テクノロジー | 経営 - (新しいビジネスをつくる はコメントを受け付けていません)

最近、思うこと、新しいビジネスを作るのは難しい。

たとえば、”世の中を変える誰も作っていない製品をつくる”ということでビジネスをスタートする。

これはこれで素晴らしいし、こうした元気な企業がたくさん出てこないと日本は活性化しない。
だから、もっともっと、こうした企業が出てくるべきだ。

ただし、こうした会社がすべてがすべてうまくいくかというと、そうとは限らない。

特に難しいのが、”世の中誰も作っていない製品”ということ。

誰も作っていない製品というのは、やや穿った見方をすれば、市場性がないから大企業が作っていない製品ともいえなくはない。もちろん、その市場をまったく大企業が見逃しているというケースもある。

だから、意気揚々と新製品を出したとしても、それがすぐにユーザに受け入れられるまでそれなりに時間がかかる。とくに、企業向けソリューションの場合、得てして企業は保守的なので、新しい会社と付き合うリスクを取るよりも、むしろ、これまでの実績のある会社と付き合う場合が多い、だからといって、大企業はリスクを取れと言われても、そうはいかないだろう。これはこれでしょうがない。

そう、研究の世界では、新しいこと、誰もやっていないことが価値だけど、ビジネスの場合は、新しいから売れるとは限らない。で、最初は、絶対売れると思って、かなり大きい数字を入れた事業計画書が絵餅になり、”こんなはずじゃなかった”と責任のなすりつけをする。これもよくあるパターン。

ただ、往々にして、今は新しくても5年後に、みんなが使うようになるというのは結構多い。身近なところでは、スマホ。5年前は、一部のギークしかつかわなかったけど、5年後、誰もが使うものになった。20世紀初頭の電気、1990年代のインターネットも同じ。

というわけで、新しいビジネスをどう作るか、自分の結論は、”信念をもって堪える”です。ビジネスの話をしていて、経営者は自分の立ち上げたにもかかわらず、ダメと否定する場面がたまにある、でも、これはよくない。まわりからどんなに”こんなの流行るわけがない”と否定されようとも、ブレずに信念を貫く、これが一番重要なんだと思いました。

”アマゾンのショールーム化”問題をどう解決するか

5月 29th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | テクノロジー | 経営 - (”アマゾンのショールーム化”問題をどう解決するか はコメントを受け付けていません)

ヤマダ電機、全役員を降格処分 「アマゾンのショールーム化」避けられない?、この記事を読んで、思ったこと。

各地で発生するアマゾンのショールーム化

ヤマダ電機に限らず、最近、この手の”アマゾンのショールーム化”の話をよく聞く。典型例は、書店だ。

まず、本屋にいって、立ち読みして、よさそうだったらアマゾンで注文する。条件を満たせば、送料も無料だし、家まで宅配してくれるし、クレジットカードで決済すれば、クレジットカードのポイントもたまる。なので、あえて、街の本屋で買わずに、アマゾンで買う。

自分の知っている会社でも、この”アマゾンのショールーム化”問題に手をやいているところもあって、この問題を抱えている企業・小売店は結構多いと思う。

ショールーム化をどう解決するか?

で、どうやってこの問題を解決するか?

最もわかりやすいのは、”価格勝負”、アマゾンより安く販売する、価格.comの価格ランキングは、だいたいアマゾンが一番安いけど、たまに、それを上回る価格でアピールする小売店もある。ただ、これはおそらく長続きしない。というのは、アマゾンは大量に仕入れる分だけ、それだけディスカウントが効いているわけだし、闇雲に価格勝負を挑むと、結局、消耗戦になり、勝てない。

もう一つ考えられるのは、”ショールームに徹する”。たとえば、本屋を全部立ち読みOKにして、そして、QRコードなりでタッチすると、アマゾンのアフィリエイト経由で、商品を購入できる仕組み。ただ、アフィリエイトの料率も年々下がっており(今年6月からは書籍一律3%)、店舗の賃料、従業員・パートの賃金、などのコストを回収するのは、よほど売り上げをあげるか、コストを下げるかをしないと難しく、これもそれほど現実的じゃないと思う。

となると、残るのは、店・定員に対する愛着心なんだと思う。たとえば、この店にいけば、カメラのことが詳しい店員がいる、あの店はディスプレイの仕方が工夫されている、あるいは、あの店で買うと壊れたとき修理してくれる、など、店・店員が”スペシャル”であると、アマゾンもすべては顧客のためにという経営理念を標榜しているけど、さすがに、物理的に店をもって、店員を抱えているわけではないので、これは”物理”店に分がある。これはコーヒーと同じで、150円でマックでコーヒーは買えるけど、あえて、倍の300円以上出してスタバに行くのは、店・店員が”スペシャル”だから。

コーヒーと家電量販店とは、仕入れ条件などがあるので、単純には比較できないけど、ただ、スペシャルな店・店員に惹かれて、それにお金を払うのは、世界中どこにでもあるのだと思う。

修羅場とリーダーシップ

5月 25th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (修羅場とリーダーシップ はコメントを受け付けていません)

先日、ある人とお話をしていて、”どうしたらリーダーシップを鍛錬することができるか?”という話をお伺いした。

彼いわく、”リーダーシップを鍛える一番の方法は、”修羅場をぐぐることだ”と。

それから数日後、たまたま、ワコール創業者の塚本幸一氏が松下政経塾の塾生へレクチャーした講和録を読んでいたら、”修羅場”の指摘がとても腑に落ちた。

塚本氏の修羅場

塚本氏は、20歳になった昭和15年に陸軍歩兵として出征し、中支で2年半、それから南方に転身する。

ベトナムのサイゴン、カンボジアのプノンペン、タイのバンコクから、ビルマを横切り、チンドウェイン川をわたってインパール作戦に参加。その後、インパールの敗戦のなかで生き残って、昭和19年10月に雲南集結。それから、またビルマへ反転作戦、敵に追われ追われて、イラウジ会戦。20年6月ビルマからタイの国境の、あの「戦場にかける橋」をわたってタイへ逃げ帰って、しばらくして敗戦なりました。

「松下政経塾講話録」 (松下政経塾編、PHP研究所、p60)

そして、終戦を迎えて、彼の小隊55名のうち、生き残ったのは彼を含めた3名しかいなかった。彼自身も5年間、毎日死と直面していたという。そして、彼は、いよいよ日本に帰れるという復員船のなかで、「はたして、自分で自分の命を守りきったのだろうか」と考えこんでしまう。

どう考えてみても、どの瞬間を取ってみても、自分の意識と、自分の能力と、自分の決意断行でもってできたことではない。あの時のあの一発の弾が、体をこっち向けたから、こう通っていたとか、あの時の食べ物についていた黴菌を自分は食べなかったから、その病気にかからなかったというように、一つ一つの現実が、自分の意志と能力であったかどうか。とんでもないことですね。それは、まったくの偶然といえば偶然ですが、偶然というには、あまりにも長すぎます。

(同p62)

そこで、彼はこう悟る、「いわゆる、親から授かった、今日まで生きてきた生命というものはおわったんだ。なくなった。今、こおkでこうして復員船に載せられて、日本に帰ってくるというこの声明は、いわば、与えられ、生かされた、おあずかりものの人生だ」と。その後の成功については、言うまでもないだろう。

塚本氏のように、戦中に生死の境をさまよって、その後、戦後になって、日本をリードした方は結構おられる。たとえば、東京電力の平岩外四氏、ダイエーの創業者中内功氏もそうだろう。こうした修羅場を乗り越えた方々が日本の戦後の繁栄をもたらしたともいえるかもしれない。

今は修羅場があるか?

ひるがえって、現代。また、別の人からこんなを話をきいた。最近、世界各国ともベンチャー投資が盛んで、とくに、政府が次の成長戦略ということで、ベンチャー企業に積極的に資金面から支援している、という。だけど、政府の支援に満足してしまって、ハングリーさが足りない、世の中を変えるようなプロダクトが生まれない、と彼は嘆く。

 リーダーシップという点では、おずかりものの人生か、国からお金をもらった事業か、どちらがリーダーシップが発揮できるかといえば、言うまでもないだろう。そして、”修羅場からリーダーシップが生まれる”というのは金言だと思う。逆に言えば、”かわいい子には旅をさせろ”方式も必要なのかもしれないと、塚本氏の経験から思ったのでした。

チャンドラー方式

5月 24th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (チャンドラー方式 はコメントを受け付けていません)

いくらがんばっても、アイデアがでてこないときはある―自分の場合だと、モノを書くときとか、企画を考えるときとか、そんなときどうするか。

とりあえず、自分はチャンドラー方式をやってみることにしている。

このチャンドラー方式は、村上春樹が作家レイモンド・チャンドラーが小説を書くコツについて書いたもので、彼もそれを実践しているという。村上春樹いわく、

まずデスクをきちんと定めなさい、とチャンドラーは言う。自分が文章を書くのに適したデスクを一つ定めるのだ。そしてそこに原稿用紙やら(アメリカには原稿用紙はないけれど、まあそれに類するもの)、万年筆やら資料やらを揃えておく。きちんと整頓しておく必要はないけれど、いつでも仕事ができるという態勢にはキープしておかなくてはならない。そして毎日ある時間をーたとえば2時間なら2時間をーそのデスクの前に座って過ごすわけである。それでその2時間にすらすらと文章が書けたなら、何の問題もない。しかしそううまくいかないから、まったく何も書けない日だってある。書きたいのにどうしてもうまくかけなくて嫌になって放り出すということもあるし、そもそも文章なんて全然書きたくないとういこともある。(中略)
たとえ、1行も書けないにしても、とにかくデスクの前に座りなさい、とチャンドラーは言う。とにかくそのデスクの前で、2時間じっとしていなさい、と。

「村上朝日堂 はいほー!」(村上春樹、新潮文庫)p40

”神”はいつ降ってくるかわからない、だからこそ、規則正しく、降臨を待つと。

これって、小説だけではなくて、モノを生み出すという点ですべてに当て嵌まると思う。

新しいビジネスを立ち上げました!といっても、その日から、世の中のトレンドになるというケースはまずない。

やはり、新しいもの≒尖っているものであり、そのビジネス・製品がどんなに素晴らしくても、興味を持つのは、アーリーアダプターという消費者のなかでもごくわずか。そこから、世の中みんなが認知するまでには時間がかかる。

そして、全く売れなくても、”チャンドラー方式”のようにあきらめずにコツコツ続ける、ここにチャンドラー方式の神髄があるのかもしれない。