ワクチン接種と地方の底力

6月 2nd, 2021 | Posted by admin in 長橋のつぶやき

 イスラエル・米国・英国等に比べて遅れていた、日本での新型コロナウィルスのワクチン接種、5月下旬からだいぶ進んできたように思います。65歳以上のウチの両親も接種日も決まり、8~9月までには自分を含めた一般向けについてもワクチン接種できるのではないでしょうか。

 そして、どうやってワクチン接種を効率的にできるか、各市町村でいろいろな試みがされているようですね。たとえば、福岡市宇美町では、医師・看護師が大名行列のように移動し、ワクチンを接種することで、1時間あたり8倍に効率アップしたそうで、これはよい試みだと思いました。地方自治体が知恵を絞って、工夫する、こうした底力こそが日本を支えていると思います。

 で、地方自治体が知恵を絞って工夫する、そのルーツは江戸時代の幕藩体制にあるのではないでしょうか。自分が敬愛する司馬遼太郎の「酔って候」の中に「伊達の黒船」という短編があります。これは実に素晴らしい短編小説で、舞台は江戸・大阪からはるか離れた愛媛宇和島藩、その藩主伊達宗城は新しもの好きで、当時、全くサンプルのなかった蒸気船を作るべしと提灯張り職人嘉蔵に命じます、そして、嘉蔵は何度も失敗を重ねた上、ついに蒸気船の開発に成功するという話です。蒸気船の話は、幕末の賢候伊達宗城のリーダーシップもあるかもしれないですが、いずれにしても、江戸時代の幕藩体制は、藩が国のようなもので、それぞれの藩が知恵を絞って、工夫する文化があったのではないかと。

 で、今回のワクチン接種も藩同様に、地方自治体が知恵を絞って、工夫する、その良い面がでている気がします。で、もちろん、中央政府からの要請に応えることは大事だと思いますが、それ以上に各地方自治体が知恵を絞って、工夫する、この多様性・ダイバーシティが日本の底力になっているように思います。

 ただ、こうした多様性・ダイバーシティには、それぞれの当事者が国に頼ることなく、新しいことをやらなければいけない、あるいは、今あるものをさらに良くしなければいけないといった気概、エートスが必要なのかもしれません。まあ、自分の地元は静岡で、たまに戻ると老齢化が進んでいるのは気がかりと言えば気がかりですが、それ以上に、現状満足ではなく、さらに良い方向に改善する、新しいことにチャレンジする、こうした気概が大事なのかもしれません。

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