IBMの息子

8月 26th, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 長橋のつぶやき - (IBMの息子 はコメントを受け付けていません)

自分のささやかな楽しみの一つがブックオフで100円の本を”発掘”することです。

今回の発掘は、IBMの息子 トーマス・J・ワトソン・ジュニア自伝(上下で200円でしたが)。上巻ではハーマン・ホレリスが発明したタブレットマシン(パンチカードを読み書きしてデータを記録するマシン)をアメリカではなくてはならないものにした創業者トーマス・J・ワトソンのマーケティング手法が息子の目から語られていてとても面白いです。

で、彼のポリシーは、”決定がくだされるところに電話しろ!社長に電話をかけろ!”(P119) そして、社長と面会して、社長がマシンに興味がなくても、IBMが編集した雑誌「Think」の定期購読リストに加えて、配布したという。そして、1930年代顧客数は3500社しかなかったのの、発行部数は10万部ちかく、IBMを応援してくれる牧師、議員などあらゆる人に配ったという。

このアプローチ、80年くらいたって、ネット全盛の今でも成立していると思う。その会社に興味がなくても、定期的によくできた雑誌を送付されると、”おぉ”という気になる。おそらく、ネットも同じで、最初はダメでも定期的に連絡することで、いつかビジネスにつながるということだと思いました。

これだけではなく、いろいろ得るものがありました。いまは絶版だけど、再版してもよいなあと思いました。

ソースコードと一次情報

8月 5th, 2014 | Posted by admin in テクノロジー | プログラミングを考える | 長橋のつぶやき - (ソースコードと一次情報 はコメントを受け付けていません)

このところサーバ・アプリ設定なんかをちょこちょこやる機会があり、いろいろと発見がありました。

かつては、エンジニアとして、実際のプログラミングとかインフラ構築なんかをやった経験はあるけど、最近は、プランニングなどの経営管理が中心なので、基本、素人レベルです。

で、素人なりに試行錯誤をすると、それなりに発見もある。

その昔、一晩かけてプログラムのソースをコンパイルし、コンパイルが通らなかったら、ソースを修正して、バイナリにして、プログラムを動かしたことがよくあった、よくあった、というより、それが普通だった。

最近になって、パッケージで楽にいけるかと思ったら、意外とてこずるケースが多い。ライブラリのバージョンが古いので、インストールしなおし、パスが通っていない、などなど。さすがにCPUが速くなったので、一晩かけてコンパイルするということはなくなったけど、やはり、同じことの繰り返し。

それで思うのは、ソースにあたること。ウェブでインストール方法とか書籍とかあって、”この通りにすればインストールできます”的なものはたくさんある。これはこれで、すごく有用で、助かるのだけど、この通りやればよいという話でもない。やっぱり、掲載当時は新しいものでもバージョンが上がって古くなったり、あるいは、機種の互換性があわなかったりなど。だから、上手くいかないときはマニュアルに頼るのではなくて、実際のソースコードを見て、どこがまずいのかを調べて、切り分けること、これが結構大事だと思う。

で、このソースにあたるということ、たぶん、エンジニアだけに求められるものではないと思う。

たとえば、アナリスト・コンサル・ジャーナリストといった第3者があるトピックに対して取り扱う場合、”ソースにあたる”1次情報と、マニュアル的な2次情報がある。後者でいえば、”新聞がこう言っていたから、この会社はダメだ”みたいな。たくさんの2次情報をパズルのように組み合わせて、一つの絵にすることは、価値はあるとは思うけど、やはり、価値という点では”1次情報”にはかなわない。

やっぱり、1次情報は、まさにソースにあたることと同じで、ソースをみることで、本当に何が起きているかを理解できるのだと思う。

1次情報が2次情報よりも大事だ、これは当たり前なんだけど、ソースを見ることから、1次情報の重要性を認識したのでした。

21世紀を拓く5つの新しいデザインキャリア

7月 27th, 2014 | Posted by admin in イノベーション | 経営 | 長橋のつぶやき - (21世紀を拓く5つの新しいデザインキャリア はコメントを受け付けていません)

Screenshot of www.linkedin.com

デザイン思考として有名なIDEOのCEO Tim BrownがLinkedIn上で、”5 New Design Careers for the 21st Century”(21世紀を拓く5つの新しいデザインキャリア)として、新しいデザインキャリアを提示していて、気付きがあったので、シェアします。

https://www.linkedin.com/today/post/article/20140722130342-10842349-5-new-design-careers-for-the-21st-century?published=t

まず、前提として、”デザイン”あるいは”デザイナー”は、いわゆる、ファッションデザイナー、工業デザイナーのように、モノのデザインをする人ではなくて、様々なアプローチで課題を解決する、もしくは、何か新しいものをつくるチームのこと。あくまでも、自分のイメージだけど、デザイン、開発、テストなど決まった仕事だけをこなすのではなく、あるときはデザイン、あるときは、開発、テストなど、バックグラウンドが異なりながら比較的小さなチームでマルチファンクションに仕事をこなす、いわゆる、アジャイル的な組織で仕事をすることがデザイン思考的な組織に近いと理解しています。(観察をすることがデザイン思考みたいな話もあるけど、観察は結局手段であって、目的は、様々なバックグラウンドを持つ人間が自由な発想でモノを作る、仕組みを作ることだと思っています)。

で、彼が挙げているのは次の5つ。

1.The Designer Coder – プロトタイムのためのコードを書くデザイナー

プロトタイプは、デザインのなかでも重要なパート。そして、最近のアプリの場合は、コードを書くことがデザインになりつつある。
したがって、コードをかけるデザイナーは、ジョブマーケットで高い価値を生み出す。

2.The Design Entrepreneur – デザイン起業家 

企業家(アントレプレナー)とデザインを融合させることが増えている。とくに、UberやAirbnbは、デザインをアピールポイントとして成功している会社が増えている。新しいプロダクトをデザインできる力があるのであれば、デザイン企業家として挑戦するには今が絶好のチャンス。

3.The Hybrid Design Researcher – ハイブリッドデザインリサーチャー 

いままで、デザインのリサーチャーは、人類学、民俗学、心理学のバックグランドが多かった。この手のリサーチはたくさんの分類をすることで、隠れたニーズを発見することであり、最近ではこうした手法とリアルタイムのデータとを組み合わせたハイブリッドな手法でユーザの行動を把握することが増えている。ユーザ、グループがある技術にハマることを把握することは、イノベーションの大事な一部であり、こうしたハイブリッドデザインリサーチャーの出番となる。

4.The Business Designer – ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーは、プロダクトからイノベーションを見出すのではなく、ビジネスの仕組み、ビジネスモデル、チャネル戦略、サプライチェーンなどからイノベーションを見出す役割。たとえば、Googleの検索技術は、ユーザにとってイノベーションであるものの、会社に富をもたらしたのは、その技術を広告に当てはめる仕組みを作ったこと。

5.Social Innovator – ソーシャルイノベーター

 貧困、きれいな水へのアクセス、環境汚染など、世界中で社会問題が発生している。こうした課題に対して、これまではアカデミックを含む小さな団体がその問題を解決しようと取り組んできた。そのなかで、最近ではビル・メリディア財団、ロックフェラー財団、ヒューレット財団といったデザイン思考を重視した財団がでてきたこと。そして、D-Rev, Design that Matters,IDEOといったデザイン思考で課題解決する団体を増えてきており、社会問題を解決するソーシャルイノベーターの素地が出来上がりつつある。

どちらかといえば、自分はビジネスデザイナーに近いなあと。あと、思ったのは、世の中の価値がシフトしていること。下の恐竜本でも書かせていただきましたが、ITの場合、最近ではクラウドとかフレームワークとかを使えば、結構簡単にアプリ、サービスができてしまう。だからこそ、重要なのは、さくっとプロトタイプを作って世に出すこと(上記のデザインキャリアでいえば、1.のデザインコーダー、2.デザイン企業家あたり)。

あるいは、世の中で起きているいろいろなことを分類・整理して付加価値をつける(3.ハイブリッドデザイナー、4.ビジネスデザイナーあたり)、もしくは、社会課題を解決すること(5.ソーシャルイノベーター)が重要になってきているんだと思う。

 

センスを磨くには?

7月 14th, 2014 | Posted by admin in 経営 | 長橋のつぶやき - (センスを磨くには? はコメントを受け付けていません)

今日、ブラジルワールドカップの決勝が終わった。

現地開催のブラジルが優勝、という元々の下馬評のなか、ブラジルはドイツに惨敗。

ブラジルを破って勢いにのったドイツがそのままの勢いでアルゼンチンを破った、といったところだろう。

そんな中で、思ったのは、”センス”。

センスは、日常よく使う言葉で、”あの人は数学のセンスがある”あるいは、”あの人のファッションセンスは素晴らしい”

など、など、その人の持っている能力の高さを褒める、あるいは、

”彼は、経営のセンスがない”

などと、否定にも使われる言葉。

そして、この”センス”に共通しているのは、どちらかといえば、学習して身に付くというよりも、先天的・生まれつき、のようなものだと思う。

この”センス”とワールドカップ、それを結びつけるのは、ドイツが優勝してからのアクション。

ワールドカップでドイツが優勝したとき、2つのアクションが考えられる。

まず、一つは、”ま、ドイツが優勝したけど、ウチは関係ない”と突き放すタイプ。

もうひとつは、”ドイツが優勝したので、人々のドイツに対する関心が高まっている、だから、ウチの商品のうちドイツ製品をワールドカップ優勝セールとして売ろう”というタイプ。

実際に、今日のダイレクトメールでも、いくつかの店舗では、”ドイツ優勝セール”というメールが届いたので、後者のような考え方をする人は少なからず存在する。

で、”センス”があるのは、前者か? 後者か?

これは言うまでもなく、後者の方がセンスがあるだろう。もちろん、ドイツ優勝セールだからといって、本場ドイツならいざ知らず、日本では売上が倍になることはないだろう。

でも、人々の関心はドイツにあると、嗅ぎつけ、そのニーズにあった製品・サービスなどを提供する、これができる会社とできない会社ではやはり差が出る。

というのは、やはり、ビジネスでは、お客さんがあって初めて成り立つ、だからこそ、刻一刻と変化するお客さんのニーズを嗅ぎつけ、提供する、これは言うまでもなく重要。そして、こうやってお客さんのニーズを嗅ぎつけ、提供できる人は、”ビジネスのセンスがある”と言えるかもしれない。

という意味で、この”ビジネスのセンス”は、先天的・生まれつきではないと思う。

むしろ、”センス”(検知する)の文字通り、自分の環境で起こっていることを、検知(センス)して、その環境に対応したモノを提供する、これをできる人が”センスがある”人なんだと思う。

で、タイトルに戻って、センスを磨くにはどうするか?

結局のところ、検知する力を上げるということだと思う。

ワールドカップでドイツが優勝したように、世の中では、毎日毎日いろいろなことが起きている。

そして、いろいろなことから”検知”して、自分が提供できるモノに結びつける、この繰り返しによってセンスが磨かれるのだと思う。

という意味で、自分の知っている会社で、毎日、社員に日々の出来事と自社のサービスを結びつける作文を課している会社がある。

なんで、そんなことやるのか?と疑問に思ったけど、これは”センスを磨く”有効なトレーニングだと思う。

というわけで、毎日起こっていることを検知して、自分の提供できるモノに結びつける、これがセンスを磨く方法だと思うのです。

顧客満足度と標準化

7月 6th, 2014 | Posted by admin in イノベーション | 日々の思い | 経営 | 長橋のつぶやき - (顧客満足度と標準化 はコメントを受け付けていません)

最近、思うこと。

最近、ITによる省力化みたいなことを考えていて、そのなかで、先日、郵便局でこんな場面に遭遇しました。

大きな郵便局は土日もやっていて、そこで書留・荷物のピックアップができる。で、先日も、書留をピックアップしようと郵便局にいったらえらい行列ができていた。

その行列の原因は二つあって、一つは、書留をピックアップするために身分証明書を提示しなくてはならず、その人は今身分証明書がなく、10日後にできるから何とかほしいとゴネていた。

もう一つは、不在届を持参せずに、”1週間前、ロンドンから来た荷物”と曖昧なリクエストを出して、郵便局員が困り果てていたパターン。

こういうパターンはなかなか難しい。やっぱり、郵便局員のミッションは、顧客満足度を上げることで、お客さんのためになんでもやります、という態度は重要だけど、曖昧なリクエスト、規定外のリクエストに対応しようとすると手間がかかり、かつ、行列は長くなってしまう。

となると、やっぱり、標準化は必要な気がする。不在届がない場合、すいませんが、お出しできません。現在、身分証がない場合は、すいませんが、お出しできません、みたいな。

標準化のなかにおもてなし、これが理想の姿なんだけど、これは楽なようで難しい。でも、これをやらないと付加価値が生まれないと思ったのでした。

企画は、ひと言。

7月 5th, 2014 | Posted by admin in イノベーション | 長橋のつぶやき - (企画は、ひと言。 はコメントを受け付けていません)

レビュープラスさんから献本いただきました。ありがとうございます。

25年間、放送作家を続けてきた筆者にとって、成功のコツはタイトルとおり。企画は、一言、という。

たしかに、自分もいろいろな企画をすることがあるけど、うまくいく企画はやはり一言で説明できる。

なぜ、一言が重要なのか?

おそらく、筆者の以下の指摘が的を得ていると思う。

どんなにすばらしいアイデアも、周りに理解されなければ通りませんし、そもそも実現しなければヒットすることもありません。
このように、「ひと言」でいえる企画は、そのひと言だけで「中身がみえる」。(p33)

つまり、ひと言でわかるということは、中身が見える、そして、中身が見えるから、「ああ、そうなんだ」とみんなが納得する。逆に、中身が見えないのであれば、「何をやりたいのかわからない」、「難しい」となってしまう。

では、どうやって、ひと言でいえる企画をつくるか?

筆者は、100%新しい企画では通らない、むしろ、ベタ(定番)から始めよと指摘する。

10年前に流行ったベタな企画を温故知新ということで復活させる、あるいは、ベタにプラスアルファの組み合わせによって、新しい企画は生まれると。

そして、組み合わせについてはこう指摘する。

「意外なものを組み合わせること」がヒットのツボ。
つまり、これまで誰もひとつにしようとしなかった「異質なもの」を足し算してみるのです。
「常識」をいったん取り払ってください。
絶対に合わないと思っていたものが予期せぬ化学反応を起こして、新しい付加価値を生むというのは、想像以上によくあることです(p138)

先日、上梓させていただきました恐竜本でも指摘しているように、新しいモノを生みだすのは、「非連続」の結合、そして、シュンペーターはこの非連続の結合をイノベーションと定義している。

逆説的だけど、新しいことをやろうとしたら、新しいことをやらずに、これまであるものとあるものを組み合わせる、それが結果として新しいものを生み出し、「一言」たるわかりやすいものになる。本書から学ぶところは多かったです。

アジャイルな組織

7月 1st, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 経営 | 長橋のつぶやき - (アジャイルな組織 はコメントを受け付けていません)

最近、思うこと。

自分はあまり外食するタイプではないけど、たまに外食にいくといつも新しい発見があります。この発見も、先日、某チェーン店にいったときのこと。

景気も良くなっていることもあって、どこのチェーン店も人手が足りない。それはそれとして仕方ないものの、どう対応するか、店長によって2つのパターンがあると思う。

まず、一つのパターンが、“店長ずら”をしている店長。決められた店長業務以外は、すべて、スタッフ、あるいは、バイトに任せて、それ以外のことはしないタイプ。オペレーションを遂行する上で、所定の人数がそろっているという仮定では、この“店長ずら”は成立する。でも、昨今の人材不足ぶりからすれば、所定の人数が足りない場合が多い。したがって、テーブルに前の客が残した皿等が散らかっていて片付けられていない、注文したものが待てど暮らせど来ない、ということがしばしば発生する。

もう一つのパターンが、店長が、プレイングマネージャーのように、バイトのカバーに入ること。たとえば、店長が焼き鳥を焼くのが職務ながらも、バイトが忙しかったら、注文を取る、できたものを配膳する、など、店長が一番汗をかくタイプ。

自分の理想のタイプは、やはり、後者。先日、上梓させていただきました恐竜本のテーマは、アジャイル。数人の小さなチームでも、ある時はプログラマー、あるときは、デザイナーと一人何役をこなすことで、はやいスピードでリリースまでこぎつける方式。

で、このアジャイルでの難しい点は、複数の役回りをテキパキできる人が少ないこと。こうした人材はすぐ育つものではない。だからこそ、手塩をかけて、様々な部署で経験をさせなければいけないのだと思う。

やっぱり、景気が良い時はどこも儲かっていると思うけど、一旦、景気が悪くなると、やはり、残る企業は店長を含めたトップが汗をかけるタイプなんだと思うのです。

「第五の権力—Googleには見えている未来」

6月 22nd, 2014 | Posted by admin in イノベーション | テクノロジー | 長橋のつぶやき - (「第五の権力—Googleには見えている未来」 はコメントを受け付けていません)

ダイヤモンド社小島様より献本いただきました。ありがとうございました。

結論から言うと、この本はGoogleの人間(エリック・シュミット&ジャレット・コーエン)によって書かれているものの、
Googleがこれからどうなるかということは書かれていない、むしろ、Googleがこれから立ち向かわなければならない問題を記述していると言える。

自分がはじめてネットを使うようになったのが1996年、それから比べるとネットは誰もが便利に使われるようになった。

そして、こうしたネットを使うようになり便利になる一方で新しく考えなければいけない問題も増えてきている。

今後、起きる問題について論じているのが、本書であり、自分なりにまとめると、「国家と個人のアイデンティティ」の問題に帰着すると思う。

Googleの成功は言うまでもなく検索ビジネス。2000年初め、ごちゃごちゃだったウェブの世界をページランク(引用されているページから順に検索結果を表示)という革新的な検索技術で、一気にネットの主役となり、その後もAndroidの成功、さらには、Google Glass、自動運転自動車など、その勢いはとどまるところを知らない。

その源流となるGoogleのビジネスモデルは、ウェブを通じてできるだけたくさんの情報を取得すること、いわば、ウェブ民主主義的なものがベースにあると思う。

とはいうものの、ネットが良くも悪くも世の中に影響を及ぼすとき、それを規制しようとする動きも当然でてくる。それが国家による抑制。

たとえば、筆者は、オンラインアイデンティティとして、次の動きがでてくると指摘する。

政府にとっては、追跡不能で正体不明の匿名の市民、いわば、「隠れ人」をオンラインで大勢野放しにしておくのは、リスクが高すぎると考えても不思議ではない。そこで、仮想世界に影響力を及ぼすために、各市民をオンラインアカウントと紐づけして、国家レベルでの認証を義務つける、といった措置をとるだろう。(p48)

結局のところ、国境を越えて誰もが自由に情報を発信することができるネットが国家によるネットが生まれると。具体的には、こう指摘する。

 「政府がフィルタリングなどによってインターネットを規制すれば、グローバルであるべきインターネットが「国ごとのネットワークの寄せ集め」とかす、という懸念が生じる。そうなれば、やがてワールドワイド(世界規模の)ウェブは砕け散り、「ロシアのインターネット」や「アメリカのインターネット」などが乱立するようになるだろう。(p129)

やはり、ネットを通じてサイバーテロ、それは、単にネットだけの攻撃ではなくて、無人飛行などのデジタル操縦も脅威となり、そうした脅威に対応するために、何かしらのフィルタリング、規制が必要にならざるをえないと。

もちろん、これはネット全体のなかのほんの一部に過ぎなく、これがすべてではない。ただし、こうした事態が加速すると、ネットのオープン性はどんどん低下せざるをえない。本書はこうしたネット規制社会への警鐘と自分は理解しました。そして、最後はこう指摘する。

出会いと好機が重なるところには、無限の可能性がある。世界中の人たちの生活の質を高めるには、コネクティビティを通じて出会いを広げ、テクノロジーを通じて機会を生み出していくのが一番である。

やっぱり、ネットはコネクティビティを通じて、出会いを広げ、さまざまな機会を生み出す。これを追求すべきとなんだと思う。

アライアンスを組む

6月 21st, 2014 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (アライアンスを組む はコメントを受け付けていません)

先日のこと。

基本、自分は、料理をつくるのが好きなので、食材を調達しようと、近くのスーパーにいったらコストコフェアなるものをやっていました。

要は、スーパーの一画でコストコのバカでかいカークランドブランドのジュース等を売るフェアなんですが、これはこれでアリだなと思いました。

ウチの近辺(高田馬場)は、イオン・ヨーカドーは離れているけど、最近はコンビニが増えてきて、スーパーに行かなければいけない理由は減ってきている。かといって、コストコに行くのも遠いし、会員になるのもめんどくさいし。

というわけで、コストコフェアということで、全部じゃないけど、あのコストコの製品をゲットできるなら、そのスーパーにちょっと行ってみよう、という気になる。

結局のところ、これってアライアンス(業務提携)なんだと思う。

かつて、三国志のころは、強大な魏の国に対して、呉と蜀がアライアンスを組んで、一緒に戦ったように、強い相手がいるからこそ、いろいろ工夫して、そして、自分でできないものはパートナーと組んで価値を上げて、対抗する。

というわけで、”ライバルに押されて、売上が落ちている”という場合、アライアンスを組んで、違うものを組み合わせてみる、これは有効だと思うのです。

予定調和を壊す

6月 1st, 2014 | Posted by admin in 経営 | 長橋のつぶやき - (予定調和を壊す はコメントを受け付けていません)

先日、飲み会の席でなるほどなあ、と思ったこと。

以前、たしか、秋元康氏が”一番よくないのは予定調和、それを壊すのが自分の役目”というようなことを指摘していて、その時は、正直あまりピンとこなかった。

で、その飲み会で、こういうことだったのか、と腑に落ちた。

話によると、現在のF1レースは、かつての、セナ・プロストがいた時代にくらべて”予定調和”らしい。

技術が発達して、ドライバーがいくら頑張っても、技術にアドバンテージがあるチームが勝つ。すなわち、”予定調和”であると。

だから、彼曰く、”最近のF1はつまらない”と。

たしかに、スポーツの世界では、予定調和はつまらない。

たとえば、相撲では、横綱は自身のプライドにかけて負けることが許されない。でも、ときには、予定調和を乱して、平幕の力士が横綱をうっちゃり、金星を挙げることもある。

あるいは、競馬では、先週のオークスでは、ハープスターが確実に勝つといわれながらも、あまり注目されていなかったヌーヴォレコルトが優勝したのは、”予定調和”を壊す良い例だと思う。

そして、思ったのは、この予定調和は企業の組織にも当てはまるかもしれない。

大企業もしくは官庁の場合、最近は少なくなったけど、学歴とか成績順で出世コースを決めるケースがある。

そして、その出世コースのなかで、よほどの失敗をしないかぎり、”予定調和”的にそのポストに辿り着ける。

もともと、旧海軍・陸軍士官学校では、卒業時の成績で出世コースが決まっていたこともあり、その風習が残っているのかもしれない。

ただし、この”予定調和”のよくないところは、やっぱり、組織が硬直してしまうこと。相撲の例であれば、予定調和であれば、平幕力士は永遠に横綱に勝てない。

だからこそ、予定調和を壊すこと、これは組織を活性化する上でとても重要だし、その予定調和を壊すことが経営者のリーダーシップとも言えるかもしれない。組織が上手く動かないと思ったら、予定調和を壊す、これが組織を活性化する一つの取り組みですね。