群雄割拠に突入するスマートフォン

2月 27th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー - (群雄割拠に突入するスマートフォン はコメントを受け付けていません)

群雄割拠に突入するスマートフォン

「図解スマートフォンビジネスモデル」という本を2012年10月に上梓いたしました。

この本の主役は、スマートフォンのOSをがっちり押さえているiOS(iPhone,iPad)とAndroidの2つのプラットフォーム。

それから、およそ、半年、この2強体制から、事業が変わってきた。

まず、アップル、スティーブ・ジョブズというカリスマを失って、精彩を欠きつつある、詳しくは、を参照のこと。

精彩を欠くiPhoneからユーザはAndroidに移行するかといえば、そうでもない。Androidは一言でいえば、サムソンの一人勝ち。そして、の指摘のように、サムソンのハイスペックなAndroidスマートフォンは、たとえ、OSが無料といえども、誰もが買えるわけではない、だから、新興国にFirefoxという発想がでてくる。さらには、日本のNTTドコモのようなキャリアもAndroidだけではなく、新しい活路をもとめて、Tizenに力を入れる。

そうした意味で、スマートフォンは2強時代から再び戦国時代になるのだと思う。それで、誰が勝つか?自分が思うに、”スマートフォンの殻”を超えるものを生み出す企業・組織だと思う。たとえば、iPhoneがでる前、スマートフォンといえば、タッチパッドではなく、QWERTYキーボードがついていて、携帯でもパソコンっぽいことができるものだったけど、いうまでもなく、iPhoneがスマートフォンを再発明した。だから、iPhoneがスマートフォンの覇者になったと。だからこそ、次のスマートフォンの覇者は、おそらく、iPhoneとは別なスマートフォンを再発明する会社だと思う。まだまだ、スマートフォンのテクノロジーも進化しそうです。

図解スマートフォンビジネスモデル
図解スマートフォンビジネスモデル 長橋 賢吾

秀和システム 2012-09
売り上げランキング : 252030

Amazonで詳しく見る by G-Tools

システム化の功罪

2月 19th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー - (システム化の功罪 はコメントを受け付けていません)

システム化の功罪
言うまでもなく、システムは便利だ。

たとえば、夜中にふと思い立って、amazon.comでクリックすると、昼にはモノが届いたりする、これはシステム化の”功”に他ならない。

企業も同じで、システムのない企業体はいまでは珍しい。たとえば、企業の血であるお金の管理は、昔、紙の帳簿に記入して総勘定元帳をつくっていたけど、今時、紙の帳簿で総勘定元帳を作る会社は少ないと思う。大きな企業であれば、生産・販売システムと連動したERP、小さな企業でも弥生のような会計ソフトを導入しているケースがほとんどだろう。いうまでもなく、会計ソフトの導入の理由は、便利だから。紙の帳簿では、月次の試算、期末決算など集計すると、とんでもない時間がかかる、一方、システムはデジタルなので、こうした集計はお手のものだ。あっという間に、ルールに則って、月次・期末の試算もやってくれる。これによって、企業の決算集計が速くなる、これもシステム化の”功”と言える。

 でも、このシステム化の”功”は、”罪”の裏返しともいえる。極端な話、紙の帳簿を続ける場合は、やはり、その作業に携わる人が必要になる。そして、そうした人は、長い間、その作業に従事していて、ある日、”紙の帳簿はなくなり、明日からシステムになります”となると、その人の仕事がなくなってしまう。オフィスをシステムでオートメーション(自動化)すればするほど、人の仕事がなくっていく。合理的に考えれば、OA化は”是”だけど、とくに地方の場合は、安定した雇用を提供することが企業にとって重要だったりすることなので、無碍に仕事がなくなったからといって、解雇というわけにはいかない。

 では、どうすべきか?やっぱり、システムで合理化できる部分は合理化するしかない。システム合理化によって余剰となった人材をどうするか、このリソース配分がマネジメントなんだと思う。何が正解というのはない、だけど、持っているノウハウを別の部署に展開する、あるいは、新しい部署を立ち上げるなど。これはしんどい。でも、しんどいことをやらないと、生きる糧が見つからない。ITは便利だけど、コンピュータが自分で意思決定してくれるわけではない、だからこそ、人間のリソース配分・意思決定がますます重要になってくる、と思うわけです。

裾野の広さと500 startups

2月 15th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー - (裾野の広さと500 startups はコメントを受け付けていません)

裾野の広さと500 startups

500startupsに注目しています。

この会社は、文字通り、500のスタートアップを育成すること。大手のVC(Venture Capital)のようにがっつり投資するのではなく、500万程度の比較的少額な投資をして、ベンチャーを育成しようという試み。もっとも、500のスタートアップのうち、500すべてが大企業になるとは限らない。IPO(新規株式公開)までこぎつけるのは、ほんのわずかだと思う。でも、この試みを支援したい。

話はかわって、かつてニュージーランドを旅して、なるほどと思ったこと。ニュージーランドの国技といえば、いうまでもなく、ラクビー。人口が少ないニュージーランドで、なぜ、いつもワールドカップの優勝候補の常連なりうるか。自分の答えは、”裾野の広さ”。ニュージーランドのいたるところにラクビー場があって、みんながラクビーを楽しんでいる。そして、その頂点にナショナルチームであるオールブラックスが君臨して、その下にナショナルリーグ、学生リーグ、など、様々なラクビー団体が存在する。それは、まるで、富士山の裾野のように広がっていると言えるかもしれない。おそらく、日本もニュージーランドのようにラクビーの裾野が広がれば、もっとラクビーは強くなるんだと思う。

この500startupは、ニュージーランドのラクビーのようにベンチャーの裾野を広める試みだと思う。たしかに、すべての会社が成功することは限らない。でも、自分のアイデアを形にする、大手のVCだと敷居が高いものの、500startupsであれば、その敷居ははるかに低くなる。そして、裾野が広くなればなるほど、世界を変えるようなベンチャーが現れる確率は上がる。

ニュージーランドのラクビーと500startups、自分のなかでは、妙にシンクロしています。

値上げと顧客満足

2月 14th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー | 経営 - (値上げと顧客満足 はコメントを受け付けていません)

値上げと顧客満足

今日(2月14日)の日経新聞にルネサスの記事が掲載されていた。

ルネサスは、電機・自動車などで利用するマイコンを製造する半導体製造会社。

ほんの小さな部品だけど、それがないと、電機・車が製造できない、先の大震災の際にも、ルネサスの工場が被災して、電化製品・車の製造が滞ったのは記憶に新しい。こんな重要な会社だけど、儲かっているかといえば、そうではない。今期も、1760億円の営業赤字予想と不振が続き、状況を改善するためには値上げが必要と記事は説く。

なぜ、不振が続くか?いろいろ理由はあるけど、記事中にて三菱電機下村会長はこう指摘する。”これまで”顧客満足度を高めるという原則にとらわれすぎた”、これがすべてだと思う。

これは半導体業界の話だけど、自分が馴染みのあるIT業界にもあてはまる。IT業界は、Google、アップルのように自社で製品を開発して、販売する会社もあるけど、それはほんの一部。とくに日本の場合、お客さんのシステムを受託開発する仕事が多い。そして、受託開発も、システムの規模が大きいと、一次受け(プライム)が受注し、それを2次受け、3次受けとゼネコンのように多重構造になっている。

こうした構造での”顧客満足度”は、つきつめると、価格。すなわち、値段を安くして、”顧客満足度”を高めれば高めるほど、受託開発会社は自分のクビをしめることになる。ルネサスとまったく同じ構造だ。

では、どうするか?これまで散々議論しているけど、やっぱり、自社のオリジナル製品・ソリューションを提供することだと思う。受託の場合、お客さんのシステムを作っているので、そっくりそのまま自社オリジナル製品として売り出すわけにもいかない。でも、そこで培ったノウハウは別の領域に活かすことができる。たとえば、新日鉄住金ソリューションズは、もともとは、新日鉄のシステム子会社だったけど、鉄製造の緻密な管理ノウハウを横展開して、銀行・証券の金融ソリューションを提供して、それが事業の柱になっている。ここを参照のこと。

冒頭にもどって、ルネサスの記事、値上げもたしかに重要だけど、横展開もさらに重要と改めて思いを深くしました。