”待ち伏せ”というビジネスモデル

8月 28th, 2014 | Posted by admin in 経営 | 長橋のつぶやき - (”待ち伏せ”というビジネスモデル はコメントを受け付けていません)

自分が証券会社にいたころ、なるほど、と思ったことです。

機関投資家のビジネスは言うまでもなく、安い価格で株を買って、高い価格で売って、儲ける。

で、どうやって安い株を見つけるか? 

ある投資家いわく、それは”待ち伏せ”であると。

たとえば、東京証券取引所では3000以上の株式が上場されていて、日々、売買されている。

もちろん、トヨタとかソフトバンクといった東証一部で、時価総額が大きい企業は、一日に何百億円と売買されているので、こういったデカい銘柄でリターンを出すのは難しいという。

むしろ、投資家が注目していない会社を1年くらい前から目をつけておいて、ちょっとずつ買う、そして、何かのタイミングで注目されたときに売る。これが”待ち伏せ”です。

それで、この”待ち伏せ”先方、投資だけではなくて、ビジネスにも当てはまると思う。

ビジネスでも、流行を追うことは有効だけど、やはり、流行にはいろいろな会社がそれに飛びつく、だから、結局のところ、資本力がモノを言う世界で、大企業が優位になってしまう。

でも、モノになるかわからない、誰も注目しない分野を”待ち伏せ”する。そして、いつかその分野が注目されることで、果実を得ると。

ネタを仕込んだからといって、すぐヒットするとは限らない。だからこそ、”待ち伏せ”は有効な手段と思うのです。

IBMの息子

8月 26th, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 長橋のつぶやき - (IBMの息子 はコメントを受け付けていません)

自分のささやかな楽しみの一つがブックオフで100円の本を”発掘”することです。

今回の発掘は、IBMの息子 トーマス・J・ワトソン・ジュニア自伝(上下で200円でしたが)。上巻ではハーマン・ホレリスが発明したタブレットマシン(パンチカードを読み書きしてデータを記録するマシン)をアメリカではなくてはならないものにした創業者トーマス・J・ワトソンのマーケティング手法が息子の目から語られていてとても面白いです。

で、彼のポリシーは、”決定がくだされるところに電話しろ!社長に電話をかけろ!”(P119) そして、社長と面会して、社長がマシンに興味がなくても、IBMが編集した雑誌「Think」の定期購読リストに加えて、配布したという。そして、1930年代顧客数は3500社しかなかったのの、発行部数は10万部ちかく、IBMを応援してくれる牧師、議員などあらゆる人に配ったという。

このアプローチ、80年くらいたって、ネット全盛の今でも成立していると思う。その会社に興味がなくても、定期的によくできた雑誌を送付されると、”おぉ”という気になる。おそらく、ネットも同じで、最初はダメでも定期的に連絡することで、いつかビジネスにつながるということだと思いました。

これだけではなく、いろいろ得るものがありました。いまは絶版だけど、再版してもよいなあと思いました。

新卒から一人前を育てるために必要と思う3つのこと

8月 12th, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 経営 | 長橋のつぶやき - (新卒から一人前を育てるために必要と思う3つのこと はコメントを受け付けていません)

たまに、人を育てて欲しいみたいなリクエストをいただくことがあります。

ワークショップみたいな形でディスカッションする、あるいは、一緒に営業するみたいなケースもあります。

ま、自分は、「オレが、オレが、オレが」的に自分が豬突猛進するのではなく、「この人とこれをやったら面白いだろうな」的な控えめな発想をするので、たぶん、この手の仕事はあってるのかもしれない。

最近思うこと、当たり前だけど、一人前を育てるのは難しい。どうしたら、新卒を一人前に育てられるのか? ノウハウというわけではありませんが、自分が日々感じていることを整理してみました。

あきらめない

やっぱり、あきらめない。どんな企業でも、新卒に”即戦力”を求めるけど、これはないモノねだりだと思う。たしかに、新卒だけど、十分な経験もしていて、どんな場所にいっても、一人でできる人は少なからずいる。(ちなみに、自分の経験からすると、こういう人は大学でフィルターするよりも、中高でフィルターしたほうが発見確率が高い気がする。たとえば、開成・麻布みたいな名門中高出身者は、大学はどこであれ、このイケてる確率は高い。おそらく、単なる英語や数学のテクニックを学ぶのではなくて、自分自身で考え方を学ぶみたいなことが徹底されているので、社会に出たときも即戦力に近い状態になるんだろうなあと、ケンブリッジもそんなかんじでした)。

で、そういう人は自分でビジネスやったり、就職偏差値の高いところに行っているケースがほとんど。だから、最初から、この新人できそう、という期待値を上げない方が良いと思う。

で、基本は”使えない”のだけど、でも、使えないからクビ、ではなくて、あきらないことが大事だと思う。あきらめたらそこで終わり。

いろいろやらせてみる

競馬の話で恐縮ですが、競馬には未勝利戦というのがあります。だいたい競走馬は2歳でデビューして、一度でも勝てば(1着入線)次のステージに進むことができる。ただ、1着になるのは、楽ではない。ポテンシャルの高い競走馬(この例でいえば、新卒でなんでもできる君)は、あっさり勝って、春のクラシック路線(皐月賞、桜花賞、ダービー、オークス)に行けるけど、ほとんどは勝てなくて苦労する。でも、タイムリミットがあり3歳の9月までに1勝もできないと、出場できるレースがない(=引退か、地方競馬転籍)。だから、オーナー、調教師、騎手は3歳未勝利馬に対して、距離を変えてみたり、調教を変えてみたり、いろいろ試してみる。

企業の場合は、このタイムリミットはないけど、いろいろやらせてみるのは重要だと思う。たとえば、しゃべるのが苦手だからといってエンジニアとして入っても、誠実な人柄から営業に向いていたり、この仕事しかないと決めるのは早いと思うので、いろいろやってみるのがよいと思う。 

きっちり原因を究明する

何をやるかについて、考えることはとても大事だけど、一度、決めたら、あれこれ口を出さない。自分が、おおらかな環境で育ってきたこともあり、箸の上げ下げまで指導されるのが苦手というのもあるけど、やっぱり、やることなすこと逐一ダメ出しされていては、結局、委縮してしまって何もできない。

むしろ、重要なのは、何が上手くいって、何が上手くいかなかったかをきちっと原因の究明をすること。

その中に本人の誤りがあれば、糺すべきだし、失注とかビジネスに影響を及ぼす場合は、監督者・上司が責任をとるべきだと思う。

旧日本海軍元帥山本五十六は、人を動かすコツについて、『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』と指摘しましたが、人を育てるのも、まさにこれなんだなあと思うのでした。

パワーポイント思考とワード思考

8月 8th, 2014 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (パワーポイント思考とワード思考 はコメントを受け付けていません)

最近、パワポ資料を作っていて思うこと。

基本、自分はパワーポイントというツールが苦手、というか、上手く使いこなせないと思っている。勝手な苦手意識だけかもしれないけど。

自分の考えるスタイルは、連続的にロジックを積み上げるタイプなので、パワポで次のスライドに移ると、連続したロジックが”分断”されてしまう気がする。

と、考えると、自分の疑問は、なぜ、プレゼンにパワポを使わなくてはいけないのか?

おそらく、伝えたいことの要点をまとめるのが便利なツールだからだと思う。

たとえば、スティーブ・ジョブズのプレゼン。人の心をつかみ、ワクワクさせるプレゼンは、おそらく、ロジックを積み上げた文章では実現できないと思う。

一方で、研究発表やビジネスの意思決定に関わるプレゼンの場合、人をワクワクさせることよりも、きっちりロジックが通っていることの方が重要だと思う。

で、前者がパワポ型思考であれば、後者はワード型思考、そして、後者はパワポでプレゼンしなくともよい気がする。むしろ、パワポを作って安心してしまい、結局、プレゼン内容を理解しないまま進むケースもある。

かつて、ある数学者の方からこんな話をお伺いして、すごく納得した。

「本当に数式の証明を理解したと思ったら、まず、本を閉じて、本当に自分で証明できるかやるべし。」

すなわち、”非連続”なパワポの場合、すらすらとスライドは作れるものの、結局、自分の経験では理解しないまま作ってしまうケースが多い。むしろ、パワポ頼みにせず、自分が理解するまで、”本を閉じる”、紙に書く、など、いろいろやるべきだと思う。

というわけで、自戒をこめた結論。パワポはあくまでもツール。パワポで納得するのではなく、自分で伝えたいもの、理解したことをパワポに落とすべしと。

ソースコードと一次情報

8月 5th, 2014 | Posted by admin in テクノロジー | プログラミングを考える | 長橋のつぶやき - (ソースコードと一次情報 はコメントを受け付けていません)

このところサーバ・アプリ設定なんかをちょこちょこやる機会があり、いろいろと発見がありました。

かつては、エンジニアとして、実際のプログラミングとかインフラ構築なんかをやった経験はあるけど、最近は、プランニングなどの経営管理が中心なので、基本、素人レベルです。

で、素人なりに試行錯誤をすると、それなりに発見もある。

その昔、一晩かけてプログラムのソースをコンパイルし、コンパイルが通らなかったら、ソースを修正して、バイナリにして、プログラムを動かしたことがよくあった、よくあった、というより、それが普通だった。

最近になって、パッケージで楽にいけるかと思ったら、意外とてこずるケースが多い。ライブラリのバージョンが古いので、インストールしなおし、パスが通っていない、などなど。さすがにCPUが速くなったので、一晩かけてコンパイルするということはなくなったけど、やはり、同じことの繰り返し。

それで思うのは、ソースにあたること。ウェブでインストール方法とか書籍とかあって、”この通りにすればインストールできます”的なものはたくさんある。これはこれで、すごく有用で、助かるのだけど、この通りやればよいという話でもない。やっぱり、掲載当時は新しいものでもバージョンが上がって古くなったり、あるいは、機種の互換性があわなかったりなど。だから、上手くいかないときはマニュアルに頼るのではなくて、実際のソースコードを見て、どこがまずいのかを調べて、切り分けること、これが結構大事だと思う。

で、このソースにあたるということ、たぶん、エンジニアだけに求められるものではないと思う。

たとえば、アナリスト・コンサル・ジャーナリストといった第3者があるトピックに対して取り扱う場合、”ソースにあたる”1次情報と、マニュアル的な2次情報がある。後者でいえば、”新聞がこう言っていたから、この会社はダメだ”みたいな。たくさんの2次情報をパズルのように組み合わせて、一つの絵にすることは、価値はあるとは思うけど、やはり、価値という点では”1次情報”にはかなわない。

やっぱり、1次情報は、まさにソースにあたることと同じで、ソースをみることで、本当に何が起きているかを理解できるのだと思う。

1次情報が2次情報よりも大事だ、これは当たり前なんだけど、ソースを見ることから、1次情報の重要性を認識したのでした。

スルーされない技術

7月 28th, 2014 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (スルーされない技術 はコメントを受け付けていません)

レビュープラスさんから献本いただきました、ありがとうございます。

自分が何かを一生懸命伝えたくても、それが相手に伝わらず、”スルー”されてしまう、誰もがそんな経験があるに違いない。

そして、本書では、この”スルー”される理由の90%は、”伝え方に問題がある”と指摘し、ちゃんと相手に伝えることの重要性を指摘する、という意味で、本書は、コミュニケーション論とも言える。そして、放送作家としての著者が学んだ、相手に伝わる方法とは、

1.相手の心を一瞬でつかむ
2.つかんだら離さない
3.次回も観たいと思わせる

ことだという。そして、相手の心を一瞬でつかむには、やはり、相手の理解度に合わせて、相手に面白いと思わせること。

そして、つかんだら離さないためには、たとえを用いる、イメージが広がるように伝える、ストーリーを意識する、フックをかけ続ける、こと。

最後に、次も会いたいと思わせるためには、レビューをしてから話を占める、宿題を出して話を締めくくる、次の機会を楽しみにさせる。

ざっとこんなところ。

自分は、IR(Investors Relations 投資家向け広報活動)支援をやっているますが、上記の話はIRにも当てはまると思いました。

会社によって、ちゃんと投資家に伝わるIR活動をやっている会社とそうでない会社がある。

前者は、スルーされないIR、後者はスルーされるIRとも言えるかもしれない。

そして、後者の場合、やはり、問題は、”相手”を意識していないケースがほとんど。つまり、会社側の論理で一方的に情報を開示する。
それはそれで仕方がないケースもあるけど、IRという点では、せっかくのすばらしいビジネスが伝わらず、もったいないケースが多い。

この本を読んで、自分の場合はIRという点で共感できるところがありましたが、コミュニケーションという点では他にもたくさん共感できる面があると思います。

21世紀を拓く5つの新しいデザインキャリア

7月 27th, 2014 | Posted by admin in イノベーション | 経営 | 長橋のつぶやき - (21世紀を拓く5つの新しいデザインキャリア はコメントを受け付けていません)

Screenshot of www.linkedin.com

デザイン思考として有名なIDEOのCEO Tim BrownがLinkedIn上で、”5 New Design Careers for the 21st Century”(21世紀を拓く5つの新しいデザインキャリア)として、新しいデザインキャリアを提示していて、気付きがあったので、シェアします。

https://www.linkedin.com/today/post/article/20140722130342-10842349-5-new-design-careers-for-the-21st-century?published=t

まず、前提として、”デザイン”あるいは”デザイナー”は、いわゆる、ファッションデザイナー、工業デザイナーのように、モノのデザインをする人ではなくて、様々なアプローチで課題を解決する、もしくは、何か新しいものをつくるチームのこと。あくまでも、自分のイメージだけど、デザイン、開発、テストなど決まった仕事だけをこなすのではなく、あるときはデザイン、あるときは、開発、テストなど、バックグラウンドが異なりながら比較的小さなチームでマルチファンクションに仕事をこなす、いわゆる、アジャイル的な組織で仕事をすることがデザイン思考的な組織に近いと理解しています。(観察をすることがデザイン思考みたいな話もあるけど、観察は結局手段であって、目的は、様々なバックグラウンドを持つ人間が自由な発想でモノを作る、仕組みを作ることだと思っています)。

で、彼が挙げているのは次の5つ。

1.The Designer Coder – プロトタイムのためのコードを書くデザイナー

プロトタイプは、デザインのなかでも重要なパート。そして、最近のアプリの場合は、コードを書くことがデザインになりつつある。
したがって、コードをかけるデザイナーは、ジョブマーケットで高い価値を生み出す。

2.The Design Entrepreneur – デザイン起業家 

企業家(アントレプレナー)とデザインを融合させることが増えている。とくに、UberやAirbnbは、デザインをアピールポイントとして成功している会社が増えている。新しいプロダクトをデザインできる力があるのであれば、デザイン企業家として挑戦するには今が絶好のチャンス。

3.The Hybrid Design Researcher – ハイブリッドデザインリサーチャー 

いままで、デザインのリサーチャーは、人類学、民俗学、心理学のバックグランドが多かった。この手のリサーチはたくさんの分類をすることで、隠れたニーズを発見することであり、最近ではこうした手法とリアルタイムのデータとを組み合わせたハイブリッドな手法でユーザの行動を把握することが増えている。ユーザ、グループがある技術にハマることを把握することは、イノベーションの大事な一部であり、こうしたハイブリッドデザインリサーチャーの出番となる。

4.The Business Designer – ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーは、プロダクトからイノベーションを見出すのではなく、ビジネスの仕組み、ビジネスモデル、チャネル戦略、サプライチェーンなどからイノベーションを見出す役割。たとえば、Googleの検索技術は、ユーザにとってイノベーションであるものの、会社に富をもたらしたのは、その技術を広告に当てはめる仕組みを作ったこと。

5.Social Innovator – ソーシャルイノベーター

 貧困、きれいな水へのアクセス、環境汚染など、世界中で社会問題が発生している。こうした課題に対して、これまではアカデミックを含む小さな団体がその問題を解決しようと取り組んできた。そのなかで、最近ではビル・メリディア財団、ロックフェラー財団、ヒューレット財団といったデザイン思考を重視した財団がでてきたこと。そして、D-Rev, Design that Matters,IDEOといったデザイン思考で課題解決する団体を増えてきており、社会問題を解決するソーシャルイノベーターの素地が出来上がりつつある。

どちらかといえば、自分はビジネスデザイナーに近いなあと。あと、思ったのは、世の中の価値がシフトしていること。下の恐竜本でも書かせていただきましたが、ITの場合、最近ではクラウドとかフレームワークとかを使えば、結構簡単にアプリ、サービスができてしまう。だからこそ、重要なのは、さくっとプロトタイプを作って世に出すこと(上記のデザインキャリアでいえば、1.のデザインコーダー、2.デザイン企業家あたり)。

あるいは、世の中で起きているいろいろなことを分類・整理して付加価値をつける(3.ハイブリッドデザイナー、4.ビジネスデザイナーあたり)、もしくは、社会課題を解決すること(5.ソーシャルイノベーター)が重要になってきているんだと思う。

 

営業で仕事を受注できないときは?

7月 22nd, 2014 | Posted by admin in 日々の思い | 独立 | 経営 | 長橋のつぶやき - (営業で仕事を受注できないときは? はコメントを受け付けていません)

先日、某社のとある新卒3年目くらいの若手の営業から、

”いくら営業しても仕事が受注できないんです。やっぱ、自分は営業向いてないんですかね?”

という話をして、気づきがあったので、シェアします。

自分も口が上手い方でもないし、お客さん受けするようなコミュニケーション能力に秀でているわけではないけど、最近、自分で独立して営業をやるようになって(正確にはアナリストのときも営業っぽいことはしていた)、一つ言えることは、

”一回で受注できることは普通ない”

ということ。

B2Cならいざ知らず、自分がターゲットとしているB2Bのたとえばシステムを売るような場合、まず1回話して、”じゃあ、買いましょう”というケースはほとんどない。

欲を言えば、商談一回で決まったほうがいいけど、こればっかりは、やっぱり難しい。

結局のところ、ビジネスは信頼関係だと思う。やっぱり、同じものを買うにしても、ちゃんと信頼できる相手の方が良いに決まっている。

で、信頼関係は、一回会っただけでは、やっぱり、成立しない。

何度も何度も相手と向き合い、ときには摩擦をし、お互いを理解することで、信頼関係が生まれるんだと思う。

もちろん、出身地が同じ、高校・大学が同じというのは”信頼”を築くうえで重要な要素ではあるけど、それが必須というわけでもない。

やっぱり、信頼関係を築くには、何度も会うしかない。ほんの小さな理由でもアポをもらって、話をして、提案して、ダメでも、また次のネタを探す。

という意味で、ダメなのは、一回会ったから駄目だった、ということであきらめること。本当に受注したいのであれば、何度も何度も喰らいついていくべきだと思う。

相撲界には「三年先の稽古」という言葉があります。

力士としてのけがをしないカラダ、自分の相撲にあったカラダは1,2カ月の稽古では作れない。だからこそ、3年先を見越して、稽古をすることが重要だと。

営業もこれに似ているかもしれない。今日の受注に一喜一憂するのではなく、さすがに最近の会社は3年も待ってくれないけど、お客さんと時間をかけて信頼関係を築く。

だからこそ、はじめて会っても、仕事が取れないと嘆くのではなく、信頼関係を築く一歩とポジティブに考えようと。

Jリーグの経営学:「Jリーグ再建計画」を読む

7月 19th, 2014 | Posted by admin in Jリーグの経営学 | 経営 | 長橋のつぶやき - (Jリーグの経営学:「Jリーグ再建計画」を読む はコメントを受け付けていません)

Jリーグの経営学

このブログでは、「Jリーグの経営学」というカテゴリで、経営の視点からJリーグの抱える問題、その取り組みについて、不定期に取り上げています。

過去のエントリは、Jリーグの経営学 2015年からのJリーグはどうなる?横浜マリノスにみるJリーグの経営学あたりです。そうした問題意識のなかで、「Jリーグ再建計画」を読みました。Jリーグの現状、これからの取り組み、についてきちんと触れており、良い本だと思います。

Jリーグを取り巻く環境

やはり、誰もが共通認識として挙げるのは、現状のJリーグを取り巻く環境は厳しいこと。

Jリーグの収入構造は、1.Jリーグ事務局と2.各J1クラブに分けることができる。Jリーグ事務局での売上は、放映権料と協賛金である。Jリーグ事務局の全収入約120億円のうち、100億円近くをこの2つが占める構造だ。(p14)

という収益構造のなかで、1994年のJリーグバブルでは66回(全264試合)をピークとして現在は7回(全306試合)、しかも、民放はなく、NHKだけ。J1,J2全試合をカバーしているスカパー!のJリーグビジネスも赤字といわれており、放映権料は現在の50億円を維持することすら危ぶまれている状況。

協賛金についても同様で、博報堂が企業向けに広告枠を販売するものの、広告枠が完売することなく、毎年12枠のうち、4~5枠売れ残るという。もちろん、それは、博報堂の持ち出しになると指摘する(p19)。

いってみれば、現状のJリーグは、1.有力選手はヨーロッパにいってしまいJリーグを観なくなった → 2.人々のJリーグへの興味が薄れてきているので、広告主はあえてJリーグに協賛金を払わない、テレビ局もJリーグを放送しても視聴率が取れるとは限らない → 3.Jリーグ事務局、クラブの収益が減少する、というネガティブスパイラルに陥っている。

自分が知っている会社でも、こういうネガティブスパイラルに陥ると結構厳しい。そして、何もしないと、どんどんネガティブスパイラルが加速し、会社であれば事業清算、倒産、売却なんてことがよくある。

Jリーグの次の一手

では、どうやってこのネガティブスパイラルから脱するか?

企業にとって、キャッシュ(お金)がないと生きていけないように、Jリーグも同様。そして、現状のリーグ方式(1リーグ制)のまま行けば、2014年からJリーグ本体に最大13億円の減収予測となるという。そこで、導入したのが、ポストシーズン制の導入。

ポストシーズン制は、簡単にいえば、1年を2シーズンに分けて、それぞれのチャンピオンがポストシーズンに優勝争いをする制度、詳細はこちら

2015年、この制度の導入で10億円程度の増収を確保できるという。

このポストシーズン制でJリーグが復活できるか、といえば、結局のところ、試合数を増やして、増収を作っているので、本質的な解決策ではないと思う。むしろ、願い目で見て、どうJリーグを活性化する戦略をつくるか?

その一つが、やはり、アジア戦略。

たとえば、イギリスのプレミアリーグの場合、イギリス国内での放送権契約は2013-2014シーズンで30億1800万ポンド(1200億円)、国外では別の契約となるも、その全体の6割を占めるのはアジアからの売上。他の欧州リーグとの契約を加えると、アジアがヨーロッパサッカーに支払う放映権料は総額で600億円といわれる。(p86) プレミアリーグもアジアマネーを狙っていて、マレーシアやタイのゴールデンタイムに合わせてプレミアリーグのキックオフをしていると。

香川のように日本からプレミアリーグにいくと、プレミアリーグを観る日本人が増えるように、アジアからJリーグに選手を誘致すればその国でJリーグを観る人が増える。ただし、難しいのは、サッカーはチームプレーなので、ビジネスだけで考えてアジア選手を獲得しても、起用するかどうかは監督次第。無理にアジア選手を獲得しても、”ビジネス先行”になってしまう可能性も否定できないと(p96)

Jリーグ時代の運営もさることながら、今後厳しさを増すのはクラブライセンス制度。クラブライセンス制度については、こちらの通り。

で、どうするか?

自分も結構いろいろな会社の経営に携わったけど、結論から言うと、Jリーグ全体あるいは各クラブ、をきちんと利益がだせる成長路線に持って行くのはかなり難易度が高いと思う。たとえば、企業の場合は、売上が落ちる局面では、固定費(売上とは関係なく発生するコスト、オフィス、人件費、減価償却費など)を削減するのがセオリーだけど、Jリーグの場合、選手の報酬を大幅カットすると、チームとして成り立たないと思う。

となると、やっぱり、ファンを一人でも多く増やさないといけない。それはアジアもそうだし、日本も同様。ネットビジネスでいうところのユーザを増やすことと同じだと思う。そして、ネットビジネスにおいて、ユーザを増やす方法は、親、家族、親せきなど身近なところから使ってもらって、それを友達、友達の友達、友達の友達の友達と、そのサークルを増やすこと。Jリーグもやっぱりこうやってファンを徐々に増やすしかないのかもしれない。

今から20年ほど前のJリーグ開幕当時、自分は静岡市の中学に通っていて、いたるところに地元チーム清水エスパルスの匂いがした。GKの子供がとなりの小学校にひっこしてきたり、キャプテンが蕎麦屋で蕎麦をすすっていたり。今でいう、”誰でも会えるサッカー選手”といったところか。

いまは苦しいかもしれないけど、Jリーグの次の飛躍にむけてこれからも応援していこうと思いました。

センスを磨くには?

7月 14th, 2014 | Posted by admin in 経営 | 長橋のつぶやき - (センスを磨くには? はコメントを受け付けていません)

今日、ブラジルワールドカップの決勝が終わった。

現地開催のブラジルが優勝、という元々の下馬評のなか、ブラジルはドイツに惨敗。

ブラジルを破って勢いにのったドイツがそのままの勢いでアルゼンチンを破った、といったところだろう。

そんな中で、思ったのは、”センス”。

センスは、日常よく使う言葉で、”あの人は数学のセンスがある”あるいは、”あの人のファッションセンスは素晴らしい”

など、など、その人の持っている能力の高さを褒める、あるいは、

”彼は、経営のセンスがない”

などと、否定にも使われる言葉。

そして、この”センス”に共通しているのは、どちらかといえば、学習して身に付くというよりも、先天的・生まれつき、のようなものだと思う。

この”センス”とワールドカップ、それを結びつけるのは、ドイツが優勝してからのアクション。

ワールドカップでドイツが優勝したとき、2つのアクションが考えられる。

まず、一つは、”ま、ドイツが優勝したけど、ウチは関係ない”と突き放すタイプ。

もうひとつは、”ドイツが優勝したので、人々のドイツに対する関心が高まっている、だから、ウチの商品のうちドイツ製品をワールドカップ優勝セールとして売ろう”というタイプ。

実際に、今日のダイレクトメールでも、いくつかの店舗では、”ドイツ優勝セール”というメールが届いたので、後者のような考え方をする人は少なからず存在する。

で、”センス”があるのは、前者か? 後者か?

これは言うまでもなく、後者の方がセンスがあるだろう。もちろん、ドイツ優勝セールだからといって、本場ドイツならいざ知らず、日本では売上が倍になることはないだろう。

でも、人々の関心はドイツにあると、嗅ぎつけ、そのニーズにあった製品・サービスなどを提供する、これができる会社とできない会社ではやはり差が出る。

というのは、やはり、ビジネスでは、お客さんがあって初めて成り立つ、だからこそ、刻一刻と変化するお客さんのニーズを嗅ぎつけ、提供する、これは言うまでもなく重要。そして、こうやってお客さんのニーズを嗅ぎつけ、提供できる人は、”ビジネスのセンスがある”と言えるかもしれない。

という意味で、この”ビジネスのセンス”は、先天的・生まれつきではないと思う。

むしろ、”センス”(検知する)の文字通り、自分の環境で起こっていることを、検知(センス)して、その環境に対応したモノを提供する、これをできる人が”センスがある”人なんだと思う。

で、タイトルに戻って、センスを磨くにはどうするか?

結局のところ、検知する力を上げるということだと思う。

ワールドカップでドイツが優勝したように、世の中では、毎日毎日いろいろなことが起きている。

そして、いろいろなことから”検知”して、自分が提供できるモノに結びつける、この繰り返しによってセンスが磨かれるのだと思う。

という意味で、自分の知っている会社で、毎日、社員に日々の出来事と自社のサービスを結びつける作文を課している会社がある。

なんで、そんなことやるのか?と疑問に思ったけど、これは”センスを磨く”有効なトレーニングだと思う。

というわけで、毎日起こっていることを検知して、自分の提供できるモノに結びつける、これがセンスを磨く方法だと思うのです。