フューチャーブリッジパートナーズ株式会社は、ミャンマー向けビジネスマッチングサイトMyanMatch.com等を運営する株式会社So-Creative(三井創 代表取締役)と日系企業のミャンマー進出に関して戦略パートナーシップを提携しました。
今後、株式会社So-Creativeとともに、日系企業向けミャンマー情報の発信・マッチングを展開してまいります。
フューチャーブリッジパートナーズ株式会社は、ミャンマー向けビジネスマッチングサイトMyanMatch.com等を運営する株式会社So-Creative(三井創 代表取締役)と日系企業のミャンマー進出に関して戦略パートナーシップを提携しました。
今後、株式会社So-Creativeとともに、日系企業向けミャンマー情報の発信・マッチングを展開してまいります。
最近、スモールデータという言葉を聞くようになった。
いうまでもなく、ビックデータに対するアンチテーゼだ。
ビックデータとスモールデータ、何が違うのだろうか?
結局のところ、自分の理解では、誰が意思決定するか、という話だと思う。
ビックデータの場合の意思決定は、コンピュータ、膨大なデータの中から、人間によってプログラムされたアルゴリズムを基に、パターン(例:ワインの熟成度、ユーザの嗜好(この商品をかったユーザは、この別の商品も買う)、などなど)を発見する。この場合は、データが多ければ多いほど良いので、必然的に人間の出番は少なくなる。
一方、スモールデータの場合、 “小さい”データであるので、判断するのは人間だ。結局のところ、情報理論で重要なのは、S/N(Signal/Noise)比、ノイズばっかりで信号(Signal)が少なければ意味がない。だから、ノイズを減らして、S/N比を上げる、そうすれば、必然的にデータは少なくなり、”スモールデータ”となる。
では、この”ビックデータ”と”スモールデータ”、どちらがよいか?
単純に比較はできないけど、結局のところ、どうパターンを見つけるかという話だと思う。
ビックデータにしろ、スモールデータにしろ、重要なのは、データの中からあるパターンを(この購買履歴のあるユーザに、別の商品を提案すれば売れるなど)見つけることだと思う。そして、ビックデータはコンピュータによるアプローチ、スモールデータはどちらかといえば人間によるアプローチ、どちらが優れているとは一概に言えない。
たしかに、コンピュータの処理能力は上がってきているけど、回帰分析をする場合であれば、どれを説明変数にすればいいなど、結局のところ、やはり、人間の知見が必要だと思う。
コンピュータ頼みもダメだし、かといって、人間頼み一遍でもダメ、コンピュータと人間とのはざまでのバランス、これが大事なんだと思ったのでした。
ちなみに、パターンを見つけるという話は、拙著「ビックデータ戦略」で触れていますので、こちらもご参照ください。
あけましておめでとうございます。
2013年から始めたブログも1年近く続けることができました。
フューチャーブリッジ自体も、一人の個人の会社から、5月にパートナーが加わり、アジアのビジネス展開に向けて日々邁進中です。
2014年も何卒よろしくお願いいたします。
なお、これからは、会社のアップデートについては、お知らせ、長橋のオピニオンについては、長橋のつぶやきとして続けていきますので、引き続き、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
日経BP田島様よりご献本いただきました、ありがとうございました。
最近、いたるところで耳にする「データサイエンス」あるいは「データサイエンティスト」について解説した一冊。
もともと、統計自体は、何十年も前からビジネスに活用されてきており、今さら、統計という話ではない。では、なぜ、”今”なのか?
やはり、ソーシャル、M2M、ウェブなど、様々なデジタル情報が爆発的に増加、くわえて、本書では、データ処理基盤の進歩、使えるデータの整備、人材育成の動きにより、「データ活用のチャンスがより多くの企業に訪れる」(p26)だからこそ、確率論に基づいた統計のスキルが更に重要になると。
とはいうものの、単に、学校の授業の統計解析をマスターできれば良いという話ではない。むしろ、筆者が主張するのは、「膨大なデータを見極めて、目的を達成するための意思決定に役立つ気付きをえる「目利き力」」(p38)が重要と指摘する。そして、その目利き力は
1.データを活用したビジネスを活用する力
2.データサイエンスを支える統計知識
3.アナリティクスを実現するITスキル
の3つが必要と説く。
自分も統計を活用(本書でいえば、正規分布くらいまでは使うけど、機械学習まで及びません。。)することがあり、つくづく思うのは会社によってデータを活用しようという姿勢が全然違うこと。「分析力を武器とする企業」(トーマス・H・ダベンポート)では、企業の分析力にはステージに分かれていると説いているように、Excelの四則演算で十分な会社もあれば、SPSS等を利用して、高度な統計手法を駆使している会社もある。
そういう意味で、本書で指摘している「筆者は企業経営層の方々に「データサイエンティストとは何者か」と聞かれたら、まずは「データサイエンスという言葉の定義を合わせましょう」と回答するように心がけている。」(p242)という主張は尤もだと思う。
Excel、SPSS、いずれも共通しているのは、やはり、データ・数字をもとにビジネスを展開すること、そして、他社にまねできないビジネスを展開すること(イノベーション)。そして、イノベーションを生むには、本書では次の3つが必要と説く。(p228)
1.適当な解で満足してはいけない
2.普遍的だと思われている事象であっても漫然と処理してはいけない
3.妥協せずやり抜く
自分が思うに、データはモノごとの状態を客観的に提示してくれるものだと思う。たとえば、甘いだけだとわからないけど、糖度10%といえば、客観的に提示しているといった類だ。そして、 当たり前と思われていることをも漫然と処理せず、データに即して検証することでイノベーションは生まれるのかもしれない。そして、日本からもデータサイエンスを通じてたくさんのイノベーションが生まれたらこれほど素晴らしいことはないと思う。
本書は、データを活用したビジネス、統計の基礎、アナリティクスを実現するITスキルがコンパクトにまとめられており、そして、それを使ってどうイノベーションを誘発するか、を考えさせられるよいヒントになりました。
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データサイエンス超入門 ビジネスで役立つ「統計学」の本当の活かし方 (2013/11/07) 工藤卓哉、保科学世 他 |
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分析力を武器とする企業 (2008/07/24) トーマス・H・ダベンポート、ジェーン・G・ハリス 他 |
レビュープラス様より、「爆速経営―新生ヤフーの500日」を頂きました。ありがとうございます。
自分の経験から言うと、組織を変えるのはすごく難しい。
とくに、規模が大きくなればなるほど、大規模に組織を変えようとすると、それに反対する抵抗勢力がでてくる。そして、その抵抗勢力との間で妥協すると、結局、骨抜きになって何も変わらない。こういうシチュエーションをよく見てきました。
では、どうやって組織を変えるか?
この本にはこのヒントがあると思う。
まず、トップが決断する、決断するのは、ソフトバンクの孫社長、彼が主宰する社内大学「ソフトバンクアカデミア」で、あるヤフーの元社員で受講生がヤフーを「MOTTAINAI」(もったいない)と主張。それはヤフーは、インターネットについては日本一の会社であるものの、「スピード感の欠如、過度なリスク回避志向、そして、組織の風通しの悪さ。症状だけから判断すれば、ヤフーは典型的な「大企業病」だ。」(p38)。そして、孫社長は、宮坂氏をトップとしてヤフーの経営体制を変えことを決める。
新しい体制で何を変えるか、まず、新生ヤフーの理念を「僕らは課題解決エンジンを目指し、何よりもユーザーファーストを考える」(p82)として決める。その理念を「大企業病」である組織全般に伝えるのは難しい。彼の言葉を借りれば、
「何だろう、『王様は裸だ』という感じですよ、ある種。普通、改革者って浮くわけですよ。周りから何だあいつ、ばかじゃねえとかいわれるわけですね。疲れますからね、リーダーシップって。(p84)
これもわかるなあ、たとえ、社長であっても、全然違う方針を打ち出せば、やはり、”浮いてしまう”、でも、最初は浮くかもしれないけど、積み重ねるうちに徐々にフォローする人が増えてくる。そして、ユーザファースト、課題解決という理念をもとに、201x年までに営業利益を2倍にすべく、1.オンリーワン、2.異業種最強タッグ、3.未踏領域への挑戦、という3つの戦略を打ち出す。
その後の、ヤフーの快進撃については、あえて、ここで説明する必要はないでしょう。ユーザを第一にして、早く意思決定をする、名実ともにヤフーは爆速経営の会社になりつつあると思う。
そういう意味で、この本は、”サクセスストーリー”ともいえる。で、サクセスストーリーと冒頭の組織改革できない会社の違いは何か?おそらく二つあると思う。一つは、トップの意思、ヤフーでいえば、孫社長の危機感ともいえる。そして、もう一つは、宮坂氏の情熱。ヤフーを変えたいという気持ちがなければ、”浮いたまま”になってしまう。最初は、”浮いている”けれども、情熱をもって、まわりに接することで、どんどん社内にフォロワーを増やす、この2つなんだろうと思う。
EC無料化のところについては、現在起きている事象なので、なかなか書きにくいところもあろうと思いますが、基本的にこの”組織改革”がちゃんと書かれていて、良い本だと思いました。
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爆速経営 新生ヤフーの500日 (2013/11/07) 蛯谷 敏 |
最近思うこと、以前は、”下請け”というと、お客さんから言われたことをやっている”業者”だと思っていたけど、最近、思いを変えるようになりました。
もちろん、下請けの定義は、たとえば、システム開発企業であれば、案件を持っている元請けからプログラミング、テストなどの業務の一部を受注し、それをこなす。日本のシステム開発企業の場合、建設のゼネコンのように、一次受けが注文を受けて、それを、2次受け、さらには、3次受け(4次受けはあるのだろうけど、自分の感覚ではあまりない)まで、すそ野を広げる。
いうまでもなく、こうした構造のなかで、一番偉いのは”元請け”(通称、プライムコンダクター)、直接、お客さんと話して、予算などを”握る”、大規模システム開発でいえば、富士通、日立、NEC、NTTデータ、IBMがビック5と言われ、メガバンクなど規模が大きいシステム開発案件のプライムコンダクターとなるのが一般的だ。
それで、プライムコンダクターにぶら下がる2次受け、もしくは、3次受けの”業者”は単なる”下請け”なのか。
自分の理解では、たかが下請け、されど、下請け、なんだと思う。
結局のところ、下請けのビジネスモデルは、元請の要求する仕様に従って、設計・開発・テストする、いってみれば、”受け身”のビジネスともいえる。
ただ、常に”受け身”でいいかといえば、そうでもない。
たとえば、通信、5年くらい前であれば、携帯電話の組込ソフトウェア開発が盛んで、こぞって、下請け会社は、携帯電話会社からのシステム開発会社からの案件を受注した。でも、それから5年、時代はスマートフォンになっていて、アプリ開発などはあるものの、携帯会社にあわえて組込ソフトウェアを開発する需要は劇的に減った。
すなわち、ずっと組込ソフトウェアの受託開発を”受け身”でやっていれば、あっという間にビジネスが先細りしてしまう、だから、”下請け会社”のビジネスモデルは、機を見るに敏たるべく、これから開発が増えそうな分野にシフトする、すなわち、”受け身”でありながらも、積極性が求められるビジネスともいえると思う。
証券アナリストをやっていたとき、いくつかの上場している”下請け”会社をカバーしていて、そのとき、とくに海外投資家からは、”下請けは価値をうまない”といわれて相手にされないことも多かったけど、最近思うこと、それは、たとえ、”下請け”であっても、ビジネスの変化に合わせなければいけないこと、そして、その”変化への対応”が経営の力だと思います。
最近思うこと。
いうまでもなく、会社を経営するにあたって重要なのは、売上を増やして、コストを減らすこと。
これは当たり前なんだけど、とても難しい。
とくに、難しいのは売上を増やすこと。自分では売上を増やしたいけど、こればっかりは相手がある話なので、そうやすやすと売上が増えるわけではない。で、どうしたら売上が増えるか?まず、やっていけないことをあげたい。
売上が減る場合にしてはいけないこと、それはたった一つで、”何もしないこと”
これも当たり前なんだけど、やはり難しい。
たとえば、自分の知っている例では、システム子会社。システム子会社は、その名の通り、親会社がそれなりに大きく、情報システムを開発・運用するにあたって、システム子会社を作る。システム子会社の役割は、親会社の情報システムの開発・運用をすること。なので、取引先は、親会社のみの場合が多く、”何もしなくても”食べていくことができる。
これはこれで悪いという話ではないし、システム子会社を否定するわけでもない。むしろ、全部、大手にアウトソーシングするよりは自社でコントロールした方が効率的な場合もある。
ただ、問題があるとすれば、やっぱり、”何もしなくても”食べていくことができること。これは親会社の業績が未来永劫順調と仮定すれば、”何もしなくても”食べていくことができる。ただ、世の中、何がおこるかわからない。順調だった親会社が突然何かの拍子で業績が傾き、システム子会社の面倒を見れなくなる、ということも確率としてはゼロではないし、それなりにこうしたケースはある。
そういうわけで、何もしなくても売上があがるビジネスの場合、一度、ハシゴを外されると、そのダメージは大きい。
じゃあ、どうするか?
なるほどなぁと思ったのが、泉井純一氏の成功手法。彼は、昭和40年代終わりにガソリンスタンドを経営していて、かなり儲けていた。そこで、自動販売機ビジネスに手を出したものの、”餅は餅屋”で、失敗し、ガソリンスタンドはすべて他人の手に渡り、一文無しに陥る。一文無しでも彼は、縁のある人に500円の醤油引換券を送る:
縁のある人には必ず贈り物をする。その身分に贈るのではない、その人に対して贈る、という信念だけは、曲げずにいました。だから贈る人数は増えるいっぽうで、百人くらいにはなっていました。だから一人5百円でも全部で5万円になる。そのカネがない。そんな自分がまた、惨めに思えてなりませんでした。
ところがその5百円の醤油券ががまた、僕が再出発するきっかけになりました。
「夢のまた夢 ナニワのタニマチ」p97
その贈り先の一人のシェル石油の課長から、彼が生活に困っているのではないかと察し、余っているところから石油を集めて、シェル石油に卸すという救いの手を差し伸べる。結果、彼は、このビジネスで大成功し、バブルのなかで、大儲けして、相撲などのスポーツ界の”タニマチ”となる。ただ、脱税と贈賄罪で1996年、逮捕、懲役2年の実刑判決を受ける。
彼のタニマチの部分はともかくとして、”縁のある人を大切にする”という姿勢は学ぶところがあると思う。
やっぱり、”縁”は、何かしらの必然性があって、”結び付けられた”のであって、やっぱり、それを大切にしないといけないと思う。そして、”何もしない”と確実に縁は生まれない、だからこそ、”縁結び”をすべく、外に目を向けることが重要かもしれない。
というわけで、売上が減ったらどうするか? ”縁のある人を大切にする” これは一つのアプローチだと思いました。
ウォズの願い「アップルとグーグルが互いに協力してほしいなぁ」という記事を読んで思ったこと。ウォズは、かつてスティーブ・ジョブズと一緒にアップルを創業。稀代のテック・ギークとして、テクノロジーに明るいことでも知られている。
彼は、こう指摘する。
「例えばさ、「Joe’s Dinerに行って」とSIriに言うでしょ、するとさ、SiriはJoe’s Dinerを知らないっていうことがあるんだよね。さらに、そういう場合大抵Androidは知っているわけ。それこそが、たぶんコンピューターにとってより賢くなるための、より性能の高い人工知能のための未来への鍵だと思う。だからこそ、将来的にアップルとグーグルが連携してくれればと神様に願う気持ちだよ。」
これはさすがの指摘だと思う。彼の思い描くように、アップルとグーグルが連携すれば、世の中もっと便利になるに違いない。
そして、思ったこと。これって分散と集中の話だなあと。
ウォズのSiriの例は、”インターネット的”な考え方に近い。インターネットの場合、TCP/IPという共通言語のもと、お互いにつながっている。そして、たとえば、Yahoo!にたどり着くために、まず、ISP-Aにいって、ISP-Aに到達性がなければ、ISP-B経由で到達する仕組みになっている、そういう意味では、ウォズのSiriの話と全く同じであり、全員が分散しながら協調する、世界に類のない規模の分散協調システムともいえる。
ただ、問題点は、グーグルとかアップルのような飛び抜けた存在がでてくると、そこにトラフィックが集中する。Googleの全サービスに影響する障害が発生、世界のネットトラフィックは40%減少という指摘もあり、世界のトラフィックの40%がグーグルかどうかはさておき、世の中の多くの情報がグーグルに”集中”しているのは間違いない。そして、一度、情報が集中すると、そこに価値が生まれ、自社で囲い込もうとする。ということで、分散協調システムというよりは、集中モデルになりがちになる。
たしかに、集中モデルは便利なんだけど、結局のところ、サービスをしているのは1社だけなので、競争原理が働きにくくなり、ユーザにとって便利なことだけど、実現できていないということはよくある。まさに、ウォズにSiriの話は、ユーザにとって便利だけど、アップル、グーグルとしては情報を集中したいので、やりたくないだろう。
この手の集中と分散の話は正しい解はなくて、時代が流れるにつれて、つねに集中と分散が繰り返される。いまはどちらかと言うと、分散から集中になりつつあるような気がする。その時々のタイミングを見計らって、ビジネスチャンスを見つける。おそらく、集中の場合のビジネスモデルは、集中しているサービスを売る、シリコンバレーの企業で、Googleに買ってもらうために起業するというのは、毀誉褒貶はあるものの、一つの集中のビジネスモデルだと思う。でも、それは永遠に続くわけではない。機を見るに敏、そうした変化をとらえることが一番難しくかつ大事なことだと思いました。
Facebookに投稿したら、いろいろな有益なコメントをいただけたので、まとめてみました。
はじめに、これは、一般的な話であって、特定の企業の話ではありません。
アナリストのとき、不思議に思っていたこと。それは、ある企業が、最新鋭の豪華なオフィス、あるいは、立派な自社ビルを建てると業績が落ちる会社が多いこと、もちろん、例外はあります。
一般的には、良いオフィスに引っ越す→社員の士気があがる→それに従って業績も伸びる、と考えられるのだけど、意外と業績が落ちる企業があって、いままで不思議に思ってました。
それで、最近、思っているのは、これって謙虚さの問題なのではないかと。
結局のところ、ビジネスは泥臭い。どんな企業であっても、1円でも多く稼ぐために、お客さんが喜んでもらえるように工夫して、期待に応えるように精一杯尽くす。そして、次のオーダーがもらえるように、お客さんに粘って、這いつくばる。まさに、事件は現場で起こっているのであって、会議室では起きていない。やっぱり、泥臭くないビジネスはあり得ない。
で、自分の仮説では、豪華なオフィス、立派な自社ビルに移ると、”俺たちはすごい”とばかりに、こうしたお客さんのために粘って、這いつくばる姿勢が、知らず知らずのうちに失われるのではないかと。そして、その積み重ねが業績の悪化につながると。
という意味では、オフィス移転、自社ビルを建てることは悪いことではなく、むしろ、たとえ豪華なオフィスに移転したとしても、”常にお客さんに尽くす謙虚な心”、をキープするほうが重要なのかもしれない。
まあ、システム開発のような、お客さんとの接点がそれほど多くない職種の場合は、なかなか難しいところもあるかもしれないけど、やはり、マネジメントの気持ちの持ち様ともいえるかもしれない。
それで思い出したのが、最近、読み返した稲盛さんの本。こんな一節があって、目から鱗が落ちました。彼は、”会社というものはトップの器以上には大きくならない”として、ではどうやってトップの人格を高めるかについて、こう指摘する
そこで私は、「人のために尽くす」ということを経営の基本におき、人格を磨かれたら良いと思います。たった一回しかない人生です。その人生を二十数店舗、売上わずか20数億円で終えるより、「同じ一生なら、もっと多くの人から喜ばれるよう経営してみよう」と思い、経営するのです。
実は、人間が一番強くなるのは、執着から解脱した時なのです。「儲けたい」、「偉くなりたい」、これはみな欲望です。もちろん、この執着、欲望から完全に抜け出すのは無理ですが、「人を喜ばすために」と考えれば、その分我良くが引っ込みます。心が高まっていくのは、実はここからなのです。 「新版・実践経営問答 こうして会社を強くする」 稲森和夫 盛和塾事務局(編)p31
儲けたい、偉くなりたい、豪華なオフィスに引っ越したい、誰にだって欲望はある。だけど、その欲望のまま突っ走ることが、お客さんの満足とは限らない。だからこそ、お客さんのために尽くす謙虚な心が大切と思いました。
先日投稿した横浜マリノスにみるJリーグの経営学に続いて、会社の経営戦略を普段考えている人間からビジネスとしてJリーグがどのように映るのか、第2弾です。今回は、2015年から導入されるJリーグの新しい制度についてです。
今のJリーグ運営方式は、1年を通じて、18チームによるホーム&アウェー交互に34試合することで、最も勝ち点が多いチームが優勝。
一方、2015年からは、2015シーズン以降のJ1リーグ戦大会方式についてによれば以下、
■大会方式
18クラブによる2ステージ制リーグ戦および、スーパーステージとチャンピオンシップ。
〔リーグ戦〕
各ステージ1回戦総当たりのリーグ戦。
両ステージでホーム&アウェイとなる
各ステージ17節、153試合(両ステージ合計306試合)
年間勝点1位のクラブはチャンピオンシップへ、各ステージ1位、2位クラブはスーパーステージに進出する
と、一番大きな変更は1ステージ制から2ステージ制に変更、そして、1.各ステージ上位2チームによるトーナメント戦スーパーステージ、2.年間勝点1位のクラブと、スーパーステージの勝利クラブによるチャンピオンシップがあわせて加わる。
Jリーグニュースによれば、
Jリーグは今回の変更によって、地上波のテレビ放送を含めた露出の拡大、全体収益の10億円以上の増加、新たなファンの獲得を想定している。
増収10億円分の具体的な開示はないものの、少なくとも、2リーグ+スーパーステージ、チャンピオンシップによって、10億円の増収効果があると指摘。
この制度変更の目的は、いままでの1リーグ制を2リーグ制にすることで、ファンを増やす、テレビ中継の数を増やすことと思われる。
これはあえてたとえて言うならば、会社の決算に近いかもしれない。日本の上場企業の場合、年に4回決算を開示することが義務付けられている。
なので、上場企業にとっては3カ月ごとに決算を開示しなくてはいけないので大変だけど、その決算をビジネスにする会社がある。
その典型例は、証券会社。証券会社のビジネスは、いろいろあるけど、基本は投資家から株式の注文を取り次いで、売買を成立させる。そして、その出来高に応じて手数料を徴収するモデル。なので、売買高が多いとそれだけ手数料を多く徴収することができる。そして、会社の決算は、売買高を増やす意味では重要なファクター。
たとえば、ある会社が、決算で予想(コンセンサス)以上によい決算を出した場合、投資家はその流れに乗ろうということで、株を買う→売買高が増えると。
Jリーグにおいてもこのアナロジーは比較的当てはまるかもしれない。これまでのやりかたは1年に1回”決算”する方式、そして、2015年のやり方は1年に2回”決算”をするというやりかたと言えるかもしれない。そして、1年に2回決算をすることで、見せ場が増える、あるいは、”ウチのチーム、いままで、ずっと弱かったけど、次はかなり喰いこんできて、もしかしたら、優勝できるかもしれない”ということであれば、応援に俄然力が入る、それによって、離れたファンを戻すいいきっかけになるかもしれない。そういう意味では、1年に2回にすることは、妥当な戦略と言えそうだ。
1.1チームが両ステージ制覇の場合、どうするんだ問題
2.欧米のスタンダードではない問題
3.過密スケジュール問題
4.年間勝ち点1位のチームが日本一とは限らない問題
といったところだろう。