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チャンドラー方式

5月 24th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (チャンドラー方式 はコメントを受け付けていません)

いくらがんばっても、アイデアがでてこないときはある―自分の場合だと、モノを書くときとか、企画を考えるときとか、そんなときどうするか。

とりあえず、自分はチャンドラー方式をやってみることにしている。

このチャンドラー方式は、村上春樹が作家レイモンド・チャンドラーが小説を書くコツについて書いたもので、彼もそれを実践しているという。村上春樹いわく、

まずデスクをきちんと定めなさい、とチャンドラーは言う。自分が文章を書くのに適したデスクを一つ定めるのだ。そしてそこに原稿用紙やら(アメリカには原稿用紙はないけれど、まあそれに類するもの)、万年筆やら資料やらを揃えておく。きちんと整頓しておく必要はないけれど、いつでも仕事ができるという態勢にはキープしておかなくてはならない。そして毎日ある時間をーたとえば2時間なら2時間をーそのデスクの前に座って過ごすわけである。それでその2時間にすらすらと文章が書けたなら、何の問題もない。しかしそううまくいかないから、まったく何も書けない日だってある。書きたいのにどうしてもうまくかけなくて嫌になって放り出すということもあるし、そもそも文章なんて全然書きたくないとういこともある。(中略)
たとえ、1行も書けないにしても、とにかくデスクの前に座りなさい、とチャンドラーは言う。とにかくそのデスクの前で、2時間じっとしていなさい、と。

「村上朝日堂 はいほー!」(村上春樹、新潮文庫)p40

”神”はいつ降ってくるかわからない、だからこそ、規則正しく、降臨を待つと。

これって、小説だけではなくて、モノを生み出すという点ですべてに当て嵌まると思う。

新しいビジネスを立ち上げました!といっても、その日から、世の中のトレンドになるというケースはまずない。

やはり、新しいもの≒尖っているものであり、そのビジネス・製品がどんなに素晴らしくても、興味を持つのは、アーリーアダプターという消費者のなかでもごくわずか。そこから、世の中みんなが認知するまでには時間がかかる。

そして、全く売れなくても、”チャンドラー方式”のようにあきらめずにコツコツ続ける、ここにチャンドラー方式の神髄があるのかもしれない。

現場とJ・J氏に学ぶインプットの方法

5月 22nd, 2013 | Posted by admin in 経営 - (現場とJ・J氏に学ぶインプットの方法 はコメントを受け付けていません)

最近思うこと、どうやってインプットするか?といこと。

たとえば、何かを書いたり、プレゼンしたり、あるいは、新事業の推進などの経営判断をする場合、何かしらの”インプット”がないと、よいアウトプットはできない。だからこそ、良いインプットがとても重要になると思う。そして、インプットの方向性は2種類あると思う。

一次情報というインプット

まず、一次情報で、実際に現場に赴き、自分の目で見たものをインプットする。いうまでもなく、とても重要。自分の経験しているパターンだと、経営判断というアウトプットは、現場の声なくしてはありえない。というのは、従業員数十人くらいの小さな会社であれば、経営者は従業員すべてを掌握できているので、つねに経営と現場が一緒になっている。でも、企業規模が拡大して、従業員が数百人、数千人、そして、支店が増えるほど、経営と現場が離れてしまう。したがって、”離れた”デメリットを補おうと、中間管理職が、各拠点、各部門ごとに状況を報告する。ただし、中間管理職が、正しく状況を報告するとは限らない。とくに、業績が落ち込むと、誰かのせいにしたくなり、バイアスのかかった報告というのはよくある例。だからこそ、経営者が現場にいって、自分の目で見て、事実を確かめる。まさに、”事件は会議室で起きているのではなく、現場で起きている”であって、これはとても重要なインプットだと思う。

2次情報というインプット

 一次情報が目で見た”現場”の情報であれば、2次情報は、本に書いてあった、テレビで報道されていた、人から聞いた、といった第3者を介して取得した情報。2次情報は所詮”座学”で価値がない揶揄される場面もあるけど、自分はそうは思わない。その例が、敬愛するジャズ・映画評論家J・J氏こと故 植草甚一氏のニューヨーク談義。彼はニューヨークをこよなく愛し、60年代から「ヴィレッジ・ヴォイス」や「ニューヨーカー」を定期購読したという。そして、e-daysのインタビューによれば、写真家中平穂積氏がニューヨークを旅する際に、J・J氏を訪ね、ニューヨークの事情を教えてほしいと訪ねた際、J・J氏こう答える。

出発前に、植草先生のお家を訪ね、「ニューヨークの事情を教えて欲しい」と教えてもらいました。植草先生は、早速山のように積まれた本からニューヨークの地図を取り出して、鉛筆で書き込みながら解説してくれました。「この通りのこの店のコーヒーが美味しい。最近、新しく出来たパン屋はここです。ビレッジ・バンガードはここです。中平さん、行ってみるといいでしょう」。さすがに詳しいなと、すっかり感心して、「ところで先生は、何回ぐらいニューヨークに行かれたのですか?」って聞くと、「僕は一度も行ったことないよ」って。先生は最高ですね」。

J・J氏にとってのニューヨークは2次情報以外の何ものではない。でも、様々な角度から2次情報というインプットを積み上げると、1次情報を凌駕することもありえる。そして、後年、J・J氏はニューヨークを訪問し、2次情報と1次情報を融合した「ぼくのニューヨーク案内」という著書を世に送り出している。

1次情報と2次情報

結局のところ、1次情報と2次情報、どちらが重要という話ではないと思う。1次情報から本当の意味を引き出すためには、やはり、事前の学習など2次情報が必要。一方で、反乱する2次情報のなかで、真実をつかむためには1次情報が不可欠、このバランスが重要なのだと思いました。

企業の寿命

5月 18th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (企業の寿命 はコメントを受け付けていません)

先日、ブックオフで100円で買った与謝野馨氏の「全身がん政治家」のこの一説が印象に残りました。彼は、アリストテレスを引用して、「政治の形態は、専制君主制と、寡頭制(すくない数の集団指導制)、デモクラシーの3つ。それぞれいいようで欠点がある。つづけていくと最後には危機に陥る。」と。

 これは企業にも同じ話で、デモクラシーのように社員の言うことばかりを聞く企業は一見よさそうに見えるけど、結局うまくいかない場合が多い(社員の意見はバラバラなので、それをまとめると妥協の産物になる)。かといって、専制君主のようにカリスマオーナーが会社を引っ張る場合、一代ではいいけど、そのカリスマオーナーの次が引っ張っていけないという場合も多い。

企業の寿命は30年とよくいわれる、やはり、会社を、専制君主制、寡頭制、デモクラシーいずれかの方式で設立して、そのやり方に限界がくるのは30年ということなんだろうと思う。逆に言えば、100年、200年と生き続ける企業の場合、同じように、どこかで限界が来るに違いない。でも、その限界を打ち破る、たとえば、カリスマ―オーナーがいなくなったあとは、後進が必死に食らいついて寡頭制に移行する、寡頭制で仲間割れになった場合は、カリスマオーナーが復帰する、など。

 会社を作るのは簡単だけど、それを長く続けるのは難しい、アリストテレスの言葉はそれを表しているように思います。

理学と工学

5月 15th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー | 経営 - (理学と工学 はコメントを受け付けていません)

最近思うこと、同じ”理系”であっても、理学と工学は結構違う。

理学の代表は物理、数学で、世の中の真理・法則を探求することだと思う。たとえば、宇宙はいつできたか、とてつもなく難しい問題だけど、ある仮説を提示して、その仮説を裏付ける様々な状況証拠を一つ一つ積み上げながら、ロジックをくみたてて、証明する。コンサルタントに理学部出身が比較的多いのも、フィールドが違えど、ロジックを組み立てて、仮説を検証するという点では、やってることは結局同じなのかもしれない。

一方、工学の場合は、どちらかというと、”こんなん、作りました”というアプローチ。たとえば、ロボット作るという場合、もちろん、仮説を立てて、それを証明するのも大事だけど、それ以上に、失敗を恐れず、ひたすら、改良に改良を重ねて、誰も作っていないものを作る。何もないところから、新しいものを生みだす、そういう点だと、ベンチャー企業経営に近いかもしれない。

最近思うことは、理学的な分析思考がパーフェクトながらも、工学的なフロンティアマインドを持ち合わせている人は、ほとんどいないということ。そう、一人ではできない、だから、チームを作って、それぞれの特性を引き出す。当たり前なんだけど、その当たり前の大事さを気づきました。

仕事を奪うITと生涯現役

5月 8th, 2013 | Posted by admin in 独立 | 経営 - (仕事を奪うITと生涯現役 はコメントを受け付けていません)

今週(5月11日)の週刊ダイヤモンドの特集は、”仕事消失時代”に生き残るビジネスマン、このところよく見かけるテーマだけど、なかなかよくまとまっていると思った。

仕事を奪うIT

最近、つらつらと考えているのは、ITと仕事の関係。いうまでもなく、コンピュータに人間の仕事の一部を任せることによって、生産性を上げる、30年前くらいからOA(Office Automation)革命と言われたけど、今も昔もこのコンセプトに本質的な違いはないと思う。でも、コンピュータに仕事を任せれば任せるほど、人間の仕事がなくなる。これはいいことでもあって、悪いことでもあるとおもう。

自分もOA化の現場にしばしば立ち会うことがあり、先日では、ある経営者は「うちもシステム入れ替えて、全部、電子化にしたいけど、電子化にすると、人がいらなくなるので、地元の雇用に影響がでてしまう」と。米国流にいけば、バッサリ余剰人員を削減するのが、”合理的”なんだけど、地元にとっての企業は”共同体”的な要素もあるので、なかなか踏み込めないようだ。

 ただ、最近感じるのは、この特集にも言及しているように世の中の多くが”サービス化”していること。サービス化の定義はいろいろあるけど、自分の理解は、”価値が情報によって決まる要素が多い”ことだと思う。例えば、100円でつくった鉛筆を110円で売る場合と、この鉛筆の出自、いかに希少であるかという”情報”を付与して300円で売る場合、言うまでもなく後者の方がサービスとしての価値が高い。というわけで、結局、サービス化するということは、情報あるいはOA化と切っては切れない関係にあるんだと思う。

生涯現役社会

 じゃ、どうするか?世の中すべての人間が、”ある製品に情報という付加価値をつけてプロデュースする”プロデューサー”になるのはあまり現実的ではないと思う。結局のところ、記事の清家慶應塾長が指摘するように、”2030年代には、「3人に1人」が65歳以上になる。人口の「3分の1」にもなる人たちを特別扱いすることはできない。意思と能力のある人がいつまでも働き続ける社会、すなわち生涯現役社会を作らなければならい”なんだと思う。

どうやって生涯現役をつくるか、やっぱり、これって”意思”なんだろうと思う。自分が独立した理由の一つは生涯現役でいたいと思ったから。80歳くらいまでインディペンデントコントラクターとしてマネージメント(経営管理、プロジェクト管理)の仕事をしたいと思っていて、かりにサラリーマンだったら自分の年だと折り返し地点だけど、80歳ピークだとまだまだ学ぶことが多くてこれからです。いずれにしても、今回の特集からいろいろ学ぶことがありました。

 

もくじ

・こうしてあなたの「仕事」は消失する(Part1)
 1.日本的雇用慣行のひずみ(年功賃金制度の崩壊など)
 2.スキルの陳腐化(自己完結型の目的達成力)
 3.産業構造の変化(製造業・建設業従事者の減少など)
 4.IT・ロボットの進化(無人化・省エネ生産ラインの配置、開発者・技術者の配置転換が困難)
 5.グローバル化の加速(新興国の台頭)
 →5つの雇用激変が「男性ミドル」にしわ寄せ

・5つの激変が招くミドル世代の受難(Part2)
 1・狙われる中高年社員:賃金抑制・雇用調整の包囲網
 2.能力やスキルの陳腐化であなたの居場所がなくなる
 3.サービス業への産業シフトで男は仕事喪失、女は雇用創出
 4.有資格者も安心できないホワイトカラーと機械との競争
 5.日本人の居場所を脅かすトップ級”外国人との競争”

・40歳から始めようキャリアチェンジの心得(Part3)
 ・職種・業種の垣根を越える”ポータブルスキル”

 ・組織で働く人も”市場で生きる力”を身につけよ

フォン・ノイマンに学ぶ その1

5月 5th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | フォン・ノイマンに学ぶ - (フォン・ノイマンに学ぶ その1 はコメントを受け付けていません)

「できる人はどこが違うのか?」-こういうテーマを以前から追っかけています。そして、そのなかで、自分がもっともできる人と思うのがフォン・ノイマンです。
フォン・ノイマンは、20世紀最大の科学者で、数学(シミュレーションの基礎)、物理(量子力学の数学的基礎つけ)、経済学(ゲーム理論)、そして、フォン・ノイマン型と呼ばれる今のコンピュータの原型、彼が世界を変えたものをあげるときりがないくらいすごい人。ノーベル経済学賞を受賞したP.サミュエルソンをして、「フォン・ノイマンほどの人間を知らない。この分野にちょっと顔を出しただけで経済学の世界をがらりと変えた。」とたたえる。さらには、核融合でノーベル物理学賞を受賞したハンス・ベーテも、「フォン・ノイマンの頭は常軌を逸している。人間より進んだ生物じゃなかろうか。」と言わしめるほどの天才だ。この稀代の天才がどのようにして生まれて、何を考え、何を成し遂げたのか、「フォン・ノイマンに学ぶ」としてシリーズ物(不定期更新)で追っていきます。ネタになっているのは、「フォン・ノイマンの生涯」(ノーマン・マクレイ著、朝日選書)です。

天才をつくるモト

 フォン・ノイマンが生まれたのは、1903年のハンガリーの首都ブタペスト、当時のブタペストはニューヨークと並んで、移民を自由に受け入れていることもあり、世界でもっとも繁栄している都市だった。そして、裕福な資産家の家に生まれた彼は、両親からの薫陶を受けて、音楽、ラテン語、ギリシア語など、当時必要な教養を身につける機会を得る。とくに、当時のハンガリーのギムナジウム(高校)において、もっとも重要な科目がラテン語、毎日1時間月曜から土曜までびっしり8年間ラテン語をたたきこまれる。

 もともとの頭のつくり、遺伝はもちろんあるんだろうけど、やはり、彼が徹底的にラテン語を幼少時に叩き込まれたということが、彼の活躍の基礎になっているのは間違いない。具体的には、
ラテン語とフランス語の世界へ!において、松澤先生は下記のように指摘しています。

ラテン語は語根と接頭辞の使い方が、コンピュータのプログラムのように理路整然としています。接頭辞と語根がまるで表計算ソフトで整理したように、縦横に単語が作られています。接頭辞100個と語根500個と接尾辞50個で組み合わた表を作ると、25万個の単語を作ることができます。この25万個の単語を使って、コンピュータで作文したものを当時のラテン語を使っている人々に読ませたら、恐らく意味が理解できるのではないかと思われます。実際のラテン語では、この組み合わせのうちの2割ぐらいしか使われていません。

数学、物理学、経済学、そして、コンピュータ、いずれに共通するのは”ロジックを積み上げること”、すなわち、数学の証明のようにものごとを理路整然と考えて、そこから答えを出すことが要求される世界だ。たとえば、自分が関わっているコンピュータでは、あたりまえだけど、コンピュータはプログラムした通りにしか動かない。そのなかで、コンピュータをどう設計するか、それは”勘”ではなくて、理路整然としたロジックが必要になる。そして、幼いころからラテン語を学ぶことによって、こうしたロジックを積み上げる素地を作ったと。だから、”天才科学者をつくるにはどうすればよいか?”という質問が成り立つとしたら、”ラテン語を徹底的に勉強する”というのは一つの答えになるかもしれない。

  

独立と会社内独立

5月 3rd, 2013 | Posted by admin in 独立 | 経営 - (独立と会社内独立 はコメントを受け付けていません)

2009年から、自分は独立という形態で、自社(フューチャーブリッジ社)を設立して、今に至っています。そして、独立して4年もたつと、”今、会社員だけど、将来独立したい”という御相談を光栄なことに幾つか頂きます。

独立自尊

福沢諭吉とフロンティアで指摘したように、福沢諭吉の信念は、明治の開国にあたって、自分のプライド(矜持)を堅持しながらも、国の独立、ひいては、自分の独立を論じた。こうした点において、自分で独立して、事業を営むことは、”是”に他ならない。そして、これはとてもいいことだ。裾野の広さと500 startupsでも指摘したように、日本国民が自分のプライドを堅持し、自分で独立して事業を営めば、すべてが成功することはないものの、確実に裾野が広がる。これは日本にとってとても良いことであり、福沢先生の思いは、現在にもまったく色あせていないと思う。

1.会社員は独立すべき?

すべての日本国民は独立して事業をおこすべきか?、一言に結論づけることは難しい。
今の会社法上、資本金が1円であっても、株式会社を設立することはできる。つまり、株式会社、もしくは、個人事業として”独立”してビジネスをすることはとても簡単。
なので、誰でも、その気になれば、株式会社をつくり、”独立”することはできる。

ただ、難しいのは、会社作ること=”独立”ではないこと。

たとえば、自分の知っている例では、ソフトウェア開発の場合、発注側から”ネット通販のシステムを作ってほしい”と言われて、その案件を受注した場合、自社で完結できるわけではない。当然、リソースが足りないので、開発を専門に請け負う会社にソフトウェア開発を依頼する(外注)。そして、そのソフトウェア開発を請け負った会社は、”独立自尊”かといわれれば、”親頼み”の面が強い。すなわち、株式会社を設立=独立とは限らない。(ただ、受託会社にとっても、親会社からの受注によって、売上を計上し、従業員への給料、あるいは、さらに外注費を支払う、ので、外注=悪、だから、もう不必要という話ではない)。

2.会社内で独立する

 
 という意味で、自分で会社を作る≠独立というのが、最近の自分の見解。会社を作ったからと言って、いつでも、”独立自尊”とはいえない。逆に、ある大企業に所属していても、自分のプライドを堅持しつつ、自分の独立を論じて、自分のやりたいことをやる会社員もいる。たとえば、自分が大学にいたころは、企業に所属しながらも、自分の好きな研究に没頭されている方が多数おられた。もちろん、それは彼が他の社員とくらべて特殊なスキル・ノウハウを持っておられて、そのスキル・ノウハウが今後の会社の成長の糧になるだろうと見越して、会社がそうした社員の”独立自尊”を是とし、自由にやらせた。ただ、最近、日本企業ではこうした社員が好き勝手やるケースが減っていると聞いて、その事態にちょっと憂慮していますが。

独立とは信念を貫くこと

 会社をやめて独立する、社内で独立する、どちらがいいか?自分の結論は、”どちらも結構、ぜひ、自分の信念を貫いて、それをビジネスにしてほしい”、だ。そして、一番、避けてなくてはいけないのは、社内・社外問わず、”自分はこういうことを考えているんだけど、同僚・上司からは余計なこと言わないで、周りの言われたことやればいいという雰囲気なので、あえて人と違う提案はやめとこう”というカルチャー。そういうカルチャーであれば、確実に2・会社内独立は難しい、と思う。結局のところ、信念を貫くという点では、社員としてやろうが、自分で独立してやろうが、本質的な問題ではない、というのが自分の結論です。そう、だからこそ、社内だろうが社外だろうが、”絶対に揺るがない信念をもつ”人が必要であり、それを一人でも生み出そうというのが、自分の信念でもあります。

良い売上減少と悪い売上減少

4月 29th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (良い売上減少と悪い売上減少 はコメントを受け付けていません)

企業にとって、売り上げが減ることは、よい場合と悪い場合、2つあると思う。

良い売上減少

一般的に売上減少は悪いと思われるけど、売上減少がかえって良い場合もある。

一番、わかりやすい例は、営業キャッシュフローがプラスになること。たとえば、一つのモノを作るのに10万円のモノを8万でうっていたら、単純計算で2万円損する。
これは、ライバルに勝つために戦略的な値引きとして、ライバルのシェアを奪い、自社のシェアを獲得する手段としてよくある話。
そして、この手の戦いでは、結局のところ、資本力(≒利益剰余金、内部留保がある会社、戦略的な値引きでキャッシュフローが悪化しても、内部留保で補う)の戦いになる。
今でいえば、牛丼チェーン店の値下げが、これに相当するだろう。
そして、こうした消耗戦で売上を拡大すればするほど、営業キャッシュフローがマイナスになる。という点で、値引き合戦から手を引いて、売上を減らして、適正利益を確保する、これは良い売上の減り方だと思う。

悪い売上減少

 一方で、悪い売上減少もある、それはいうまでもなく、”モノが売れない”ことだ。いままで自分が見てきた会社でもこのパターンが結構多い。
その、”モノが売れない”パターンに共通しているのは、組織の硬直化だと思う。当たり前だけど、世の中は常に動いている。そして、動いている世の中にあわせてモノ・サービスを提供することで、売上を上げることができる。そして、その世の中のニーズをくみ取れば取るほど、それだけ売上を最大化できるというわけだ。

一方で、硬直化した組織、一言でいえば、変化を否とする組織。たとえば、誰かが新しいことを企画・提案しても、”いままでウチでやったことがないからダメ”と無碍に否定する、とか、”アイツはみんなと違うことをやろうとして、ウチのビジネスをぶち壊す”とかがこれに該当する。新しい企画・提案があっても、社内でお蔵入りになってしまい、キャッシュカウだった主力製品もどんどん競争力を失う。人間で言ってみれば、動脈硬化のように、血のめぐりが悪くなってしまい、挙句の果てには、その血のめぐりの悪さが、それが致命傷になることもある。

組織の硬直化をどう防ぐか

では、どうやって、組織の硬直化を防ぐか。結局のところ、マネジメント(経営)だと思う。基本的に何もしないと組織は硬直化する、これは仕方ないことだ、とくに日本人だけの同質のコミュニティではこの傾向は著しいと思う。だけど、組織を硬直化させないように、たとえば、ハングリーな外人を入れる、あるいは、部署移動をする、たとえば、システムが全くわからない経理部の人間をシステムの責任者にする。ちなみに、これは自分の知っている会社で実際にやっていることで、下手にシステムがわかる人間だと技術に固執する傾向にあるので、あえて、技術がわからない人間をシステム部に投入することで、ゼロベースで本当に必要なモノを再構築できる。やはり、この手の采配は、現場から出てくるというよりマネジメントの決断によるところが大きい。

 吉田松陰は、「立志尚特異 (立志は特異をとうとぶ) 」、志を立てるためには人と異なることを恐れてはいけない、と指摘しました。そして、周りと違うことを提案する社員の志を育てるのがマネジメントの役割の一つなのだと、最近、事あるごとに思うのです。

すべては思いつきから

4月 24th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (すべては思いつきから はコメントを受け付けていません)

ちょっと意地悪かもしれないけど、いろいろな人と新しいビジネスについて話すとき、自分は自分もしくは他人にまず3回そのビジネスの問題点をあらさがしをして揺さ振ります。これは、大学のリサーチをやっていたときと同じだなあ、とふと思いました。

すべては思いつきから始まる

”こういう製品をつくりたい”、とか、”ここと組んでこのサービスを提供したい”、というビジネスアイデアは、基本、すべて思いつきから始まる。リサーチも同じで、”こんどはこの方法で実験してみよう”のようなアイデアも、ふとした思いつきから始まる。ほんの小さな思いつきがすべてだ。

思いつきをカタチに

そして、その思いつきは、思っているだけでは、妄想に終わってしまう。だから、ビジネスであれば具体的な企画書作成・営業、リサーチであれば実験・論文、本を書く場合だったら、タイトル、狙い、目次案と具体的にアクションをする必要がある。そして、思いつきからアクションに変えて、次がある。

ゆるぎないアクションをつくる

 そして、そのアクションを世に問う(製品を売る、サービスを発表する、論文を発表する)と、すぐにそのアクションが大反響を起こすということはまずない。むしろ、”こんなのつまらない”、”必要ない”、”流行るはずがない”、と否定されるのが落ちだ。そして、冒頭のように、自分も自分もしくは他人からビジネスプラン等を話す場合、まず、3回そのビジネスを展開する上で課題となる点(アラ)を探して、指摘するようにしている。そして、3回アラを指摘して、”やっぱ、無理っぽいね”と思ったら、それでおしまい。そして、たった3回でアラでノックアウトするんだったらやるべきではない。でも、3回アラを指摘しても、”絶対、大丈夫”というゆるぎないアクションであれば、自分はサポーターになります。

ゆるぎないアクション=志

 最近思うのは、こうしたゆるぎないアクションというのは、志ということ。まさに、このブログで何度か登場する長州藩の”志”の人吉田松陰の”志を立ててもって万事の源となす”なんだと思うのです。

ベンチャーサポートと日本酒販売

4月 21st, 2013 | Posted by admin in イノベーション | 経営 - (ベンチャーサポートと日本酒販売 はコメントを受け付けていません)

たまたま、違う分野の2人と話をしていて、その内容がとても共通点があったので、一人で、なるほど、と思ったことです。

ベンチャーサポートのビジネスモデル

まず、一人は、ベンチャーサポートの方。裾野の広さと500 startupsで指摘したように、自分を含めて、ベンチャー企業をサポートすることは、日本企業の裾野を広げる大切なことだと思う。そして、あるベンチャーサポートの方いわく、”われわれのビジネスは、恩を売って、売って、売りまくることだ”という。

そう、”これだ!”と思える有望なベンチャー企業に出会ったら、短期的な費用対効果を考えずに、自分の取引先を紹介する、企業の問題点をサポートする、などあらゆる観点からサポートし、そして、将来の上場などの機会で回収する。これはこれで、裾野を広げる意味で日本企業にとって、必要不可欠なビジネスだ。

日本酒販売というビジネスモデル

そして、もう一つが日本酒小売の方。古を辿れば、日本酒は明治まで、酒と言えば日本酒であり、その優位性は揺るぎのないものであり、作れば売れるビジネスだった。だけど、明治以降ビールなどの種類が増えてきて、日本酒ビジネスも作れば売れるとうわけにはいかない。

だから、売るためには工夫がいる。たとえば、作り手の戦略は、”昔ながらの製法を維持”もあるけど、新しいイノベーションに挑戦する企業もある。その一例が、獺祭を販売する旭酒造。この酒造メーカーのラインアップの一つが、遠心分離製法。普通の酒つくりはもろみを絞って日本酒にするものの、この会社のアプローチは、無加圧状態での遠心分離によってもろみから分離することで、香りやふくらみが残る。だから、これが日本酒?と思うほど、味に雑味がない。いうまでもなく、これは売れる。

もちろん、小売りとしても、こういう革新的な製品を出せば売れるのは間違いないけど、えてして、この手の製品は製造側に主導権があるので、小売店での差別化が難しい。だから、小売りの戦略は、”これだ!”と思える将来有望な酒蔵を見つけ出して、恩を売って、流通をサポートする。これは、ベンチャーサポートと同じビジネスモデルと思う。これって、結局、重要なのは、裾野の広さ、日本中に10件しか酒蔵がなかったら、このビジネスモデルはありえない。だから、”うちもつくってみよう”という酒蔵が増えることがとても大事だと思う。

ベンチャースピリッツ

 ベンチャーサポートと日本酒販売、この共通点は、やはり、挑戦することの大事さだと思う。どんな小さいことでも、”やろう!”と志して、挑戦する。もちろん、その挑戦が一本調子でうまくいくことはない。失敗して、失敗して、でも、あきらめずに続ける、その過程でサポーターからのサポートもあり、志をなし遂げる。自分は、最後の一人になってもその経営者の志を応援する立場だけど、もっともっと、志をもつ経営者を応援したいと思いました。