独立と会社内独立

5月 3rd, 2013 | Posted by admin in 独立 | 経営 - (独立と会社内独立 はコメントを受け付けていません)

2009年から、自分は独立という形態で、自社(フューチャーブリッジ社)を設立して、今に至っています。そして、独立して4年もたつと、”今、会社員だけど、将来独立したい”という御相談を光栄なことに幾つか頂きます。

独立自尊

福沢諭吉とフロンティアで指摘したように、福沢諭吉の信念は、明治の開国にあたって、自分のプライド(矜持)を堅持しながらも、国の独立、ひいては、自分の独立を論じた。こうした点において、自分で独立して、事業を営むことは、”是”に他ならない。そして、これはとてもいいことだ。裾野の広さと500 startupsでも指摘したように、日本国民が自分のプライドを堅持し、自分で独立して事業を営めば、すべてが成功することはないものの、確実に裾野が広がる。これは日本にとってとても良いことであり、福沢先生の思いは、現在にもまったく色あせていないと思う。

1.会社員は独立すべき?

すべての日本国民は独立して事業をおこすべきか?、一言に結論づけることは難しい。
今の会社法上、資本金が1円であっても、株式会社を設立することはできる。つまり、株式会社、もしくは、個人事業として”独立”してビジネスをすることはとても簡単。
なので、誰でも、その気になれば、株式会社をつくり、”独立”することはできる。

ただ、難しいのは、会社作ること=”独立”ではないこと。

たとえば、自分の知っている例では、ソフトウェア開発の場合、発注側から”ネット通販のシステムを作ってほしい”と言われて、その案件を受注した場合、自社で完結できるわけではない。当然、リソースが足りないので、開発を専門に請け負う会社にソフトウェア開発を依頼する(外注)。そして、そのソフトウェア開発を請け負った会社は、”独立自尊”かといわれれば、”親頼み”の面が強い。すなわち、株式会社を設立=独立とは限らない。(ただ、受託会社にとっても、親会社からの受注によって、売上を計上し、従業員への給料、あるいは、さらに外注費を支払う、ので、外注=悪、だから、もう不必要という話ではない)。

2.会社内で独立する

 
 という意味で、自分で会社を作る≠独立というのが、最近の自分の見解。会社を作ったからと言って、いつでも、”独立自尊”とはいえない。逆に、ある大企業に所属していても、自分のプライドを堅持しつつ、自分の独立を論じて、自分のやりたいことをやる会社員もいる。たとえば、自分が大学にいたころは、企業に所属しながらも、自分の好きな研究に没頭されている方が多数おられた。もちろん、それは彼が他の社員とくらべて特殊なスキル・ノウハウを持っておられて、そのスキル・ノウハウが今後の会社の成長の糧になるだろうと見越して、会社がそうした社員の”独立自尊”を是とし、自由にやらせた。ただ、最近、日本企業ではこうした社員が好き勝手やるケースが減っていると聞いて、その事態にちょっと憂慮していますが。

独立とは信念を貫くこと

 会社をやめて独立する、社内で独立する、どちらがいいか?自分の結論は、”どちらも結構、ぜひ、自分の信念を貫いて、それをビジネスにしてほしい”、だ。そして、一番、避けてなくてはいけないのは、社内・社外問わず、”自分はこういうことを考えているんだけど、同僚・上司からは余計なこと言わないで、周りの言われたことやればいいという雰囲気なので、あえて人と違う提案はやめとこう”というカルチャー。そういうカルチャーであれば、確実に2・会社内独立は難しい、と思う。結局のところ、信念を貫くという点では、社員としてやろうが、自分で独立してやろうが、本質的な問題ではない、というのが自分の結論です。そう、だからこそ、社内だろうが社外だろうが、”絶対に揺るがない信念をもつ”人が必要であり、それを一人でも生み出そうというのが、自分の信念でもあります。

良い売上減少と悪い売上減少

4月 29th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (良い売上減少と悪い売上減少 はコメントを受け付けていません)

企業にとって、売り上げが減ることは、よい場合と悪い場合、2つあると思う。

良い売上減少

一般的に売上減少は悪いと思われるけど、売上減少がかえって良い場合もある。

一番、わかりやすい例は、営業キャッシュフローがプラスになること。たとえば、一つのモノを作るのに10万円のモノを8万でうっていたら、単純計算で2万円損する。
これは、ライバルに勝つために戦略的な値引きとして、ライバルのシェアを奪い、自社のシェアを獲得する手段としてよくある話。
そして、この手の戦いでは、結局のところ、資本力(≒利益剰余金、内部留保がある会社、戦略的な値引きでキャッシュフローが悪化しても、内部留保で補う)の戦いになる。
今でいえば、牛丼チェーン店の値下げが、これに相当するだろう。
そして、こうした消耗戦で売上を拡大すればするほど、営業キャッシュフローがマイナスになる。という点で、値引き合戦から手を引いて、売上を減らして、適正利益を確保する、これは良い売上の減り方だと思う。

悪い売上減少

 一方で、悪い売上減少もある、それはいうまでもなく、”モノが売れない”ことだ。いままで自分が見てきた会社でもこのパターンが結構多い。
その、”モノが売れない”パターンに共通しているのは、組織の硬直化だと思う。当たり前だけど、世の中は常に動いている。そして、動いている世の中にあわせてモノ・サービスを提供することで、売上を上げることができる。そして、その世の中のニーズをくみ取れば取るほど、それだけ売上を最大化できるというわけだ。

一方で、硬直化した組織、一言でいえば、変化を否とする組織。たとえば、誰かが新しいことを企画・提案しても、”いままでウチでやったことがないからダメ”と無碍に否定する、とか、”アイツはみんなと違うことをやろうとして、ウチのビジネスをぶち壊す”とかがこれに該当する。新しい企画・提案があっても、社内でお蔵入りになってしまい、キャッシュカウだった主力製品もどんどん競争力を失う。人間で言ってみれば、動脈硬化のように、血のめぐりが悪くなってしまい、挙句の果てには、その血のめぐりの悪さが、それが致命傷になることもある。

組織の硬直化をどう防ぐか

では、どうやって、組織の硬直化を防ぐか。結局のところ、マネジメント(経営)だと思う。基本的に何もしないと組織は硬直化する、これは仕方ないことだ、とくに日本人だけの同質のコミュニティではこの傾向は著しいと思う。だけど、組織を硬直化させないように、たとえば、ハングリーな外人を入れる、あるいは、部署移動をする、たとえば、システムが全くわからない経理部の人間をシステムの責任者にする。ちなみに、これは自分の知っている会社で実際にやっていることで、下手にシステムがわかる人間だと技術に固執する傾向にあるので、あえて、技術がわからない人間をシステム部に投入することで、ゼロベースで本当に必要なモノを再構築できる。やはり、この手の采配は、現場から出てくるというよりマネジメントの決断によるところが大きい。

 吉田松陰は、「立志尚特異 (立志は特異をとうとぶ) 」、志を立てるためには人と異なることを恐れてはいけない、と指摘しました。そして、周りと違うことを提案する社員の志を育てるのがマネジメントの役割の一つなのだと、最近、事あるごとに思うのです。

すべては思いつきから

4月 24th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (すべては思いつきから はコメントを受け付けていません)

ちょっと意地悪かもしれないけど、いろいろな人と新しいビジネスについて話すとき、自分は自分もしくは他人にまず3回そのビジネスの問題点をあらさがしをして揺さ振ります。これは、大学のリサーチをやっていたときと同じだなあ、とふと思いました。

すべては思いつきから始まる

”こういう製品をつくりたい”、とか、”ここと組んでこのサービスを提供したい”、というビジネスアイデアは、基本、すべて思いつきから始まる。リサーチも同じで、”こんどはこの方法で実験してみよう”のようなアイデアも、ふとした思いつきから始まる。ほんの小さな思いつきがすべてだ。

思いつきをカタチに

そして、その思いつきは、思っているだけでは、妄想に終わってしまう。だから、ビジネスであれば具体的な企画書作成・営業、リサーチであれば実験・論文、本を書く場合だったら、タイトル、狙い、目次案と具体的にアクションをする必要がある。そして、思いつきからアクションに変えて、次がある。

ゆるぎないアクションをつくる

 そして、そのアクションを世に問う(製品を売る、サービスを発表する、論文を発表する)と、すぐにそのアクションが大反響を起こすということはまずない。むしろ、”こんなのつまらない”、”必要ない”、”流行るはずがない”、と否定されるのが落ちだ。そして、冒頭のように、自分も自分もしくは他人からビジネスプラン等を話す場合、まず、3回そのビジネスを展開する上で課題となる点(アラ)を探して、指摘するようにしている。そして、3回アラを指摘して、”やっぱ、無理っぽいね”と思ったら、それでおしまい。そして、たった3回でアラでノックアウトするんだったらやるべきではない。でも、3回アラを指摘しても、”絶対、大丈夫”というゆるぎないアクションであれば、自分はサポーターになります。

ゆるぎないアクション=志

 最近思うのは、こうしたゆるぎないアクションというのは、志ということ。まさに、このブログで何度か登場する長州藩の”志”の人吉田松陰の”志を立ててもって万事の源となす”なんだと思うのです。

ベンチャーサポートと日本酒販売

4月 21st, 2013 | Posted by admin in イノベーション | 経営 - (ベンチャーサポートと日本酒販売 はコメントを受け付けていません)

たまたま、違う分野の2人と話をしていて、その内容がとても共通点があったので、一人で、なるほど、と思ったことです。

ベンチャーサポートのビジネスモデル

まず、一人は、ベンチャーサポートの方。裾野の広さと500 startupsで指摘したように、自分を含めて、ベンチャー企業をサポートすることは、日本企業の裾野を広げる大切なことだと思う。そして、あるベンチャーサポートの方いわく、”われわれのビジネスは、恩を売って、売って、売りまくることだ”という。

そう、”これだ!”と思える有望なベンチャー企業に出会ったら、短期的な費用対効果を考えずに、自分の取引先を紹介する、企業の問題点をサポートする、などあらゆる観点からサポートし、そして、将来の上場などの機会で回収する。これはこれで、裾野を広げる意味で日本企業にとって、必要不可欠なビジネスだ。

日本酒販売というビジネスモデル

そして、もう一つが日本酒小売の方。古を辿れば、日本酒は明治まで、酒と言えば日本酒であり、その優位性は揺るぎのないものであり、作れば売れるビジネスだった。だけど、明治以降ビールなどの種類が増えてきて、日本酒ビジネスも作れば売れるとうわけにはいかない。

だから、売るためには工夫がいる。たとえば、作り手の戦略は、”昔ながらの製法を維持”もあるけど、新しいイノベーションに挑戦する企業もある。その一例が、獺祭を販売する旭酒造。この酒造メーカーのラインアップの一つが、遠心分離製法。普通の酒つくりはもろみを絞って日本酒にするものの、この会社のアプローチは、無加圧状態での遠心分離によってもろみから分離することで、香りやふくらみが残る。だから、これが日本酒?と思うほど、味に雑味がない。いうまでもなく、これは売れる。

もちろん、小売りとしても、こういう革新的な製品を出せば売れるのは間違いないけど、えてして、この手の製品は製造側に主導権があるので、小売店での差別化が難しい。だから、小売りの戦略は、”これだ!”と思える将来有望な酒蔵を見つけ出して、恩を売って、流通をサポートする。これは、ベンチャーサポートと同じビジネスモデルと思う。これって、結局、重要なのは、裾野の広さ、日本中に10件しか酒蔵がなかったら、このビジネスモデルはありえない。だから、”うちもつくってみよう”という酒蔵が増えることがとても大事だと思う。

ベンチャースピリッツ

 ベンチャーサポートと日本酒販売、この共通点は、やはり、挑戦することの大事さだと思う。どんな小さいことでも、”やろう!”と志して、挑戦する。もちろん、その挑戦が一本調子でうまくいくことはない。失敗して、失敗して、でも、あきらめずに続ける、その過程でサポーターからのサポートもあり、志をなし遂げる。自分は、最後の一人になってもその経営者の志を応援する立場だけど、もっともっと、志をもつ経営者を応援したいと思いました。

アンバンドリングというフレームワーク

4月 21st, 2013 | Posted by admin in イノベーション | 経営 - (アンバンドリングというフレームワーク はコメントを受け付けていません)

いつもモノを考えるとき、フレームワークという考え方を使って考えることが多いです。
フレームワークの意味は”枠組み”、ある物事を枠に当てはめてみると、その物事がよりよく理解できるという話。
もちろん、枠に当てはまらないモノもあるけど、だからといって、フレームワークが使えないという話でもない。
そして、自分がいつも使っているフレームワークが、”アンバンダリング”という考え方です。

アンバンダリングとは

 アンバンダリングとは、マッキンゼーのコンサルタントジョン・ヘーゲル三世の提唱した概念で、世の中のすべてのビジネスは1.製品イノベーション、2.カスタマーリレーション(顧客管理)、3.インフラ管理、の3つに分別することができ、それぞれをごっちゃまぜにすると結局誰をターゲットにした製品・サービスかわからなくなるので、”アンバンダリング”(分離)すべしという言説。

簡単に言うと、”お客様は神様です”という2.カスタマーリレーションのビジネスモデルを標榜しながらも、”これからエッジのある製品を出したい”という1.製品イノベーションのビジネスモデルは確実に同居しない。”お客様は神様です”のビジネスモデルは、お客様のよろこぶサービスを、お客様に併せて提供することであり、それと”エッジのある製品”とはよほどのことがないかぎり重なることはない。それで、3つのビジネスモデルの特徴は以下。

1.製品イノベーション

魅力的な新製品や新サービスを提案して、それをマーケットに送りだすこと。たとえば、アプリ開発は、“こんなアイデア面白い”というアイデア勝負のところがあって、このアイデアは、顧客管理業務から生み出されるというよりも、むしろ、個々の開発者のひらめき、センスに負うところが大きい。成功要因は、スピード、できるだけ早くマーケットに出すこと。

2.顧客管理

顧客を見つけ出して、この顧客とリレーションシップ(関係)を築き上げること。たとえば、ウェブサイトで何かしらの製品資料をダウンロードする場合、たいていの場合、連絡先を要求される。これは入力された連絡先に定期的にコンタクトすることによって、顧客とのリレーションシップを築こうとする目的があるから。成功要因は、スコープ、顧客に気に入った製品を提供するためには、顧客の興味を絞る(スコープ)必要がある。

3.インフラ管理

すでに製品があり、顧客もついているビジネスにおいて、そのビジネスを安定的に運用すべく、製品の流通、在庫管理などのロジスティクスなどの設備を構築し、管理すること。成功要因は、スケール、すなわち、規模を拡大し、1単位当たりのコストを抑えること。

アンバンダリングと中小企業

このアンバンダリング、大企業だけの問題かといえば、自分の経験でいえば、小さい企業もかなり同じことが当てはまると思う。たとえば、これまでお客様は神様ですとばかりに2.顧客管理を提供していたものの、これからはグローバルにプラットフォームを展開するということで3.インフラ管理に転換しようとすると、とんでもないコストがかって事業として成り立たないというのはよくある話。(ただ、それで事業として成立するかしないかは、マネジメントの胆力だと思う、ただ、両方を満足することはできないので、取捨選択は必要)

スマートフォンビジネスモデル

 というわけで、自分はこのアンバンダリングというフレームワークでビジネスをまず考えます、そして、スマートフォン業界において、このアンバンダリングという視点から整理したのが、去年上梓させていただいた「スマートフォンビジネスモデル」です。よろしかったら、ご笑覧ください。

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IR担当者のためのわかりやすい財務諸表の読み方

4月 12th, 2013 | Posted by admin in お知らせ - (IR担当者のためのわかりやすい財務諸表の読み方 はコメントを受け付けていません)

「IR担当者のためのわかりやすい財務諸表の読み方」というタイトルで、前回ご紹介した「決算書を読む技術」の金子さんとご一緒にセミナーを4月25日(木)13:00~15:00に開催させていただきます。

詳細は下記をご参照ください。

https://p-support.pronexus.co.jp/SeminarDetail.aspx?sid=1705&lid=1&count=0&lec=0

Googleファイバーという戦略

4月 10th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー | 経営 - (Googleファイバーという戦略 はコメントを受け付けていません)

Googleが、米国のカンザスシティに続いて、テキサス州オースティンにも自社のブロードバンドサービス「Google Fiber」(グーグルファイバー)を提供するという。はたして、このGoogleファイバー、今後ビジネスとして大きなトレンドになるか?

Googleファイバーとは?

 Googleファイバーとは、言わずと知れたGoogleが提供するFTTH(Fiber To The Service)サービス。家庭に光回線を提供することで、高速インターネットアクセスを実現するサービス。日本でいえば、NTT東西のフレッツ光に相当する。1Gbpsをフルに使うことはほぼないだろけど、たとえば、5Gバイト(映画1本くらい)であれば、5秒で転送が完了するくらいの、すごく速い速度。(理論的は5秒であるものの、実際のところは、セッションの確立など、もう少し時間はかかります。)

Googleファイバーのビジネスモデル

いうまでもなく、1GBpsの高速回線をすべての家庭にタダで提供していてはビジネスとして成立しない。というわけで、Googleファイバーのビジネスモデル(収益を上げる仕組み)は、月額での料金徴収であり、料金プランは(1)フリーインターネット(300ドルの初期費用で、帯域はダウンロード5Mbps/アップロード1MBpsなものの月額無料)、(2)ギガビット(初期費用300ドル、月額費用70ドルで、帯域はダウロード・アップロード1Gbps)、そして、(3)ギガビット+TV(ギガビットに加えてのGoogleTVサービスなどの追加で月額120ドル、初期費用300ドル)の3種類。

Googleファイバーはビジネスとして成立するか?

 一般的にテレコムビジネスは、大規模な資本投下が必要なビジネスと言える。それはやはり、サーバを借りて新しいネットサービスを始める、あるいは、フリーランスのプログラマを集めてソフトウェア会社を作る、とはいかずに、ある地域(Googleファイバーでいえば、カンザスシティ、オースティン)の一定区域をリーチするために光ファイバーを敷設もしくはすでに敷設してあるファイバーを借りる、くわえて、そのファイバーからネットに接続するまでのコスト(トランジット)を負担する必要がある。そして、その接続にかかる費用は顧客の多寡を問わず発生するコスト(固定費)であり、その固定費を上回る売上(ファイバー加入者数)が必要になる。

 というわけで、結局のところ、テレコムビジネスとしては、同じ設備を全国展開して、お客さんを増やす戦略であり、現状の2か所だけでは、ペイするのは難しいと思う。もし、Googleではないスタートアップ企業がGoogleファイバーのようなサービスを展開したら、収益性のあるビジネスに育てるのはとても難しいと思う。

なぜ、 Googleはファイバービジネスを展開するか?

 なぜ、Googleはファイバービジネスを展開するか?やや一般的な言い方だけど、それはGoogleとネットとが“補完材”の関係にあるからだと思う。補完材は経済学の考え方で、ある財を保管する材、その代表例は、車とガソリン。当たり前だけど、車はガソリンなくして走ることはできない、だから、ガソリンは車を走らせるために必要で、車を補完するモノ、だから、補完材。これはネットとGoogleの関係も同じで、ネットでの利用が増えれば増えるほど、Googleで検索する回数は増える。すなわち、ネットが大きくなればなるほど、Googleの収益機会が増える。2か所にファイバーを提供するからといって、すぐにはネットユーザが増えるというわけではないけど、やっぱり、“補完材”の一助にはなると思う。ただ、全米一斉もしくは世界一斉にGoogleファイバーを展開したら、いくら財務に余力があるグーグルといえどもたまったものではない。だから、厳しいセレクションプロセスで慎重にファイバー展開地域を選び、展開している、言ってみればGoogleらしくないやり方を貫いているとも言える。

おわりに

 10年前ならいざ知らず、最近では、スマートフォン・タブレットのパケット放題で、家にいなくても常時ブロードバンド環境が進みつつある。そのなかで、本当に家庭に1Gbpsの回線が必要かと言えば、必要な家庭はそれほど多くないと思う。自分が思うに、Googleの幹部もこの問題に悩んでいると思う(すくなくとも自分がマネジメントだったら、一番悩む)。それで、どうするか?結局のところ、家庭に1Gbpsが必要なモノを作り出すしかない(例:TV)と思う。それができるかできないか、これこそがGoogleファイバーが普及するかしないかの分岐点だと思う。

追記(20130410)

フレッツ光の記述に誤記があったので訂正しました。

プログラミング科目を必須にすべき3つの理由

4月 7th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー | プログラミングを考える | 経営 - (プログラミング科目を必須にすべき3つの理由 はコメントを受け付けていません)

プログラミングを高校・大学の必須科目にすべきという話があるけど、自分はこれにもろ手を挙げて賛成です。

もちろん、高校・大学でちょっとプログラミングを勉強したところで、すぐに企業に入って役に立つというわけでもないけど、次の3つの理由からとても大事と思います。

必須にすべき理由その1:目に見えないシステムを理解する

 システムを作る作業は基本的には建築現場の土木工事に似ている。まず、どんな建物ができるかきちんと設計し、予算を割り当てて、リソース(自社ですべてできる場合は少ないので、場合によっては外注)を確保して、スケジュール通りに仕上げる。ただし、土木工事と違う点は、土木工事は目の前の建物が建っているのはわかるのに対して、システムの場合は、目に見えないこと。そして、目に見えないから、”こんなシステムすぐできるだろう”のように無茶をいう経営者もそれなりにいる。もちろん、あえてシステムを知らないことで自由な発想を生み出すことができるのも事実だけど、目に見えないシステムをプログラミングを通じて理解するのはとても重要だと思う。

必須にすべき理由その2:プログラミングの裾野を広げる

 高校・大学でプログラミングをやったからといって、全員がシステム会社に就職するわけでない。たとえば、自分は大学時代、慶応湘南藤沢キャンパスで6年間過ごして、最初の1年は情報処理のクラスでプログラミング(C言語)が全員必須だった。そして、SFC生全員がシステム会社に入ったかというと、もちろん、そんなことなく、銀行にいったり、公務員になったり、商社にいったり、プログラミングと全く縁遠い業界に入った卒業生も無数にいる。でも、かつて、裾野の広さと500 startupsというエントリで書いたように、ニュージーランドのラグビーのようにプログラミングの裾野を広げることは、次の新しいベンチャー、産業を生みだす点で大切。

必須にすべき理由その3:問題切り分け力をつける

 当たり前だけど、コンピュータは人間が指示したことしか実行しない。そして、プログラミングは、やや抽象的な言い方だけど、”コンピュータに指示する手続き”ともいえる。そして、コンピュータにプログラミングによって”指示”しても、自分の思い通りに行かないことが多々ある、いわゆる、”バグ”だ。それで、どうやって、バグを見つけて、正しい動作にするか、それが”問題切り分け力”だと思う。不具合の原因をあらゆる可能性から検討して、問題解決のあたりをつけて、そして、修正する。自分も最近コンサル案件でプログラミングの手伝いをすることがあるけど、結局、プログラミングとは、問題切り分け作業の連続だと思う。そして、言うまでもなく、この問題切り分け力は、プログラミングだけではなくて、営業、製造、管理、経営などあらゆる場面に応用が効く力で、こうした力はプログラミングによって涵養される要素が大きいと思う。

最後に

 これまでシステムエンジニアの採用を経験したことがあって、そこからわかったこと。それはシステムエンジニアには2つのタイプがある。一つは、あるプログラミング言語に特化して、それを極めるタイプ、今だと、Javaのフレームワークなどそれなりに需要があるので、特化タイプもマーケットはある。一方で、プログラミング言は、言語体系は違えど、考え方(制御構造、データの持ち方、アルゴリズムなど)は同じなので、あるプログラミング言語をマスターして、それを別のプログラミング言語に応用できるタイプ。企業とくに小さい企業では、後者の方が柔軟性があるので、こっちの方がニーズがある。そして、プログラミング科目必須になって、後者のような柔軟に応用ができるタイプがたくさん育てば、これほど日本全体にとってプラスなことはないと思う。

ソーシャルメディアストラテジストはいらない?

4月 6th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | テクノロジー | 経営 - (ソーシャルメディアストラテジストはいらない? はコメントを受け付けていません)

ソーシャルメディアで売り上げを伸ばす?

自分の職分は、ある企業の企業価値を高めるために、その企業の売上を伸ばす、もしくは、コストを削減して、利益を増やすことをお手伝いすることです。そのなかで、どうやって売り上げを増やすか、ということで、やはり、最近、よく話題にでるのが、ソーシャルメディア。ソーシャルメディアを活用すれば、売上が増えるのでは?という話。これは、半分正しいけど、一方で、Facebook,Twitterを使うだけで、売り上げがあがるほど、世の中甘くないのは事実。

ソーシャルメディアストラテジストとは?

ソーシャルメディアをやれば売り上げがあがる”ソーシャルメディア神話”を真っ向から否定するのが、uber.laのこの記事

タイトルから刺激的で、”Death of the Social Media Strategist”(ソーシャルメディアストラテジストはいらない) 。自分の理解では、ソーシャルメディアストラテジストの職分は、Facebook,Twitterなどのソーシャルメディアにおいて、対象となる企業・個人の価値・プレゼンスをあげる(Facebookでは、いいね!の数を増やす、Twitterではフォロワーを増やすなど)こと。すなわち、いいね!、フォロワーが多ければ多いほど、そのフォロワーからのリーチが増える→企業であれば売上が上がるという、算段ともいえる。

顧客の購入の導線

 ただ、フォロワーが増えることが、売り上げにつながるかというのは、なかなか難しいし、個人的にも、やや疑問を感じている。それを示しているのが、上の図左の”Average Share of Marketing Budget”(平均的なマーケティング予算のシェア)、これは米国のものであり、すぐさま日本に当て嵌まるわけではないけど、企業のマーケティングの予算の多くは、メール、イベント/展示会、ダイレクトメール、一対一の面会、ダイレクトメールなどに費やされていて、ソーシャルメディアの占める割合は第6位の8%。その背景は、右図の、”online services most likely to influence a purchase”(実際の購入に影響を与えたオンラインサービス)として、1番は、企業のECサイト、あるいは、amazon.com、もしくは、日本ではkakaku.comのようなRetail Sites(小売サイト)と指摘する。やっぱり、実際に売っているサイトのレビューなどを見て、購入すると。

枝を見ずして、森をみる

 ここから言えること、やはり、”Death of the Social Media Strategist”はやや言い過ぎかもしれないけど、でも、ソーシャルメディアだけでは、売上は増えない。むしろ、本丸(Retail Sites)にアクセス・購入するためにFacebook・Twitterといったソーシャルメディアが”従”としてあり、ソーシャルメディアという”枝”ではなく、企業全体の戦略”森”を見て判断することが売上につながる、と強く思いました。

  

カレッジに学ぶwin-winの関係

4月 4th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (カレッジに学ぶwin-winの関係 はコメントを受け付けていません)

最近強く思うこと、長く続くビジネスはwin-winであること。
win-winは、言うまでもなく、自分と相手、両方がハッピーになる仕組み。
たとえば、ある製品80円で製造して、それを100円で店舗に卸すと製造側は20円儲けがでる。一方、店舗は100円で仕入れて、それを150円で消費者に販売する。そして、消費者がその価格がリーズナブルで購入する、これだと、全員がハッピーになるので、製造者、店舗、消費者がwin-win-winの関係になる。

逆に言えば、製造が1つの製品に150円かかるのに100円で卸す、店舗が150円で仕入れて100円で売る、というのであれば、ビジネスとして成り立たないので、長く続かない。だから、長く続くビジネスとは、必然的にwin-winになるのだと思う。

そんなwin-winの関係で、なるほど、と思ったのが、2005年にイギリスのケンブリッジに留学していたときのこと。

ケンブリッジのカレッジはだいたい5月の終わりから6月に期末試験が終わって、夜通しパーティ May Ball(メイ・ボール)が執り行われて、そのあとは、学部生は一斉に夏休みに入る(そのときは自分はポスドクだったので、もちろん、夏休みはなく、他の大学院生も夏休みでも原則研究所に来ていた)。カレッジの学部生は、すべからくカレッジの寮生活なので、学部生がいなくなると、学部生が多いカレッジはもぬけの殻になる。

そして、そこに登場するのが、日本(中国も結構あったと思う)の大学生夏休み短期留学。学部生が夏休みでいなくなったところを短期留学で埋める。これはwin-win以外の何物でもない。すなわち、カレッジは、ほぼ独立採算制で、夏休みを”もぬけの殻”にしては、機会ロスが生じる。夏休みの機会ロスを埋めたいカレッジと短期留学で英語を学びたい日本・中国の大学生が英語を学ぶ場(そして、一部は大学の単位にもなるはず)とが、まさにお互いハッピーになれるwin-winの関係が成立している、だからこそ、このスキームは長く続くんだと思う。

win-winにこそビジネスの長続きの秘訣がある、カレッジからそんなことを学びました。