Longine (ロンジン) に投稿しました

6月 26th, 2013 | Posted by admin in お知らせ - (Longine (ロンジン) に投稿しました はコメントを受け付けていません)

アナリスト時代にとてもお世話になり、かつ、尊敬してやまない原田さん、泉田さんのお二人が立ち上げた個人投資家向け投資プラットフォーム Longine(ロンジン)が今日からスタートしました。

長橋は、情報通信分野で海外ハイテク企業動向、技術動向などを投稿させていただく予定です。第1回は、”「次のスマホ」と「スマホの次」:恩恵を受けるのは誰か? パート1 ”ということで、スマホが普及することで恩恵を受ける企業についてシリーズでレポートします。

https://www.longine.jp/

人を雇う 独立ノウハウ

6月 24th, 2013 | Posted by admin in 独立 | 経営 - (人を雇う 独立ノウハウ はコメントを受け付けていません)

前の、合同会社と株式会社に続いて、人を雇うという話。

独立には、二つの方法があって、一つは個人事業のように一人ですべてこなす”個人事業型”、もう一つは、人を雇って事業を拡大する”雇用事業型”。

 当然ながら、いずれもメリット・デメリットがある。個人事業のメリットは、基本自分の食い扶持を稼げばいいので、それなりの仕事があれば、食べていくのはそれほど難しくない。一方、雇用事業型の場合は、人を雇うので、給料を支払わなければいけないし、”今月は収入がないから給料なし”、ではすまされない。だから、ある程度の売上が必要になる。

 では、個人事業と雇用事業どちらがいいか?ケースバイケースなので、何とも言えないけど、一つ言えるのは、どちらもパートナーの存在なしには事業はありえないこと。個人事業主は、一人でやっているようにみえるけど、そうでもない。たとえば、本・媒体に文章を書く仕事は、典型的な”一人でやる仕事”、のように見えるけど、意外とそうでもない。当然ながら、本であれば出版社があって、出版社の編集者と綿密にコミュニケーションを取りながら、書いて直して、買いて直して、という作業を繰り返して、出版にこぎつける。出版したら、書店や媒体宣伝のための営業活動、さらには、次の出版社へのアプローチなど、時間的には一人で書いている時間は長いかもしれないけど、パートナーとの協業なしではありえない。もしかしたら、電子書籍であれば、セルフサービスで全部一人でできちゃうかもしれないけど、それはそれで味気ない気がする。

 そう、人を雇うと雇わないと関係なく、一人でビジネスをやるということはありえない。そして、最近思うのは、ネットによってこうしたパートナー探しのチャンスが増えてきていると思う。スタートアップベンチャーの様子を描いた「Yコンビネーター」(ランダル・ストルス著、日経BP)では、スタートアップベンチャーで人を探す手段として、クレイグリスト(地元の不動産、求人などを掲載したコミュニティサイト)を挙げている。日本でも、クラウドソーシングみたいな形でネットを通じてイラスト、ロゴの発注をしたりと、ネットを通じたパートナー探しが結構増えている。とくに、日本の大企業の場合、何から何まですべて自社で完結する完全内製型で外部との仕事はお断りというのはまだそれなりにあるけど、海外に目を向けると外部パートナーとの協業は当たり前、みんなで知恵を集めてよりよいものを作るという会社が多いように思う。

 そういう意味で、雇用事業型の雇用とは、自社内にパートナーを増やすということかもしれない。これはこれで重要だと思う。いくら外部のパートナーに頼んだところで、一人で回せないこともある、だから、内部にパートナーを雇って、事業を大きくする。結局のところ、個人事業型と雇用拡大型の違い、それは、外にパートナーを求めるのか、あるいは、内でパートナーを求めるのか、どちらかなのだと思うのです。

合同会社と株式会社 独立ノウハウ

6月 21st, 2013 | Posted by admin in 独立 - (合同会社と株式会社 独立ノウハウ はコメントを受け付けていません)

最近、何か所で独立するにあたって、株式会社か合同会社どっちかを作ろうと思う、という話を聞くようになった。

一昔前は、会社と言えば、株式会社だったけど、最近は、合同会社という選択肢も増えて、これはよいことだと思う。

で、株式会社と合同会社どちらが適しているのか?

自分の理解では、一人でビジネスをする場合、合同会社が適していると思う。

その理由はやはりコストが安い(定款認証がいらない、設立登記の際に必要な「登録免許税」の費用が6万円と安い)、くわえて、株式会社のようなめんどくさい制度設計が不用なこともある。

株式会社の場合、経営と所有が分離されていて、かつ、所有(株式保持)に力点が置かれている(たとえば、取締役は株主総会で選ばないといけない)いて、その所有の権利を守るために、必然的に、制度設計が複雑にならざるをえない。

一方、合同会社の場合は、経営と出資が同じなので、株式会社のようなめんどくさい制度設計はいらない、だから、一人でビジネスをする場合は合同会社の方が楽。

ただ、合同会社の場合、あたりまえだけど、”株”にまつわるアクションが取れない。

株にまつわるアクションは、たとえば、ストックオプション。ストックオプションは、上場するときに行使するイメージはあるけど、行使期間中に行使金額を払い込めば、株主になれる。新規株式公開も、あたりまえだけど、合同会社にはできない。

結局どっちがいいのか、これって、やはり、会社をどうしたいのか、なんだと思う。一人でこつこつとビジネスをやるのであれば合同会社が適しているし、たくさん社員を雇ってゆくゆくは公開というのであれば株式会社しかない。もちろん、最初は合同会社で、規模が大きくなったら株式会社というのもありだろう。でも、思うのは、会社はトップが思いがすべてだと思う。”売上1億円いけばいいや”というのであれば、1億円の壁は越えられるかもしれないけど、何もしないで10億円まで到達したという例はあまり聞かない。だから、株式会社、合同会社、いずれも器にすぎない、むしろ、”思い”の方が重要だと思うのでした。

オープン化のチカラ

6月 13th, 2013 | Posted by admin in イノベーション - (オープン化のチカラ はコメントを受け付けていません)

オープンであることはいいことだ。これは当たり前と言えば当たり前だけど、その恩恵は何?と言われるとなかなか難しい。

そんななかで、これはオープンにしたからこそ、なし得たことと思うのが、モンゴルの少年のMIT入学の記事。

朝日新聞の良質な教育は国境を超える ネット無料講座で広がる世界によれば、モンゴル ウランバートルに住む高校生バトゥーシグさんは、

 教育機関エデックスで昨春、MITの2年生向け講座「電子回路」を受けた。受講生15万人のうち満点は340人。当時15歳で満点を取った彼は、教授を「天才」と驚かせた。周囲に勧められてMITを受験し、合格。「エデックスがなければ今の僕はなかった」と喜ぶ。

EDX(エデックス)は、ハーバード大学とMITが設立したオンライン授業プラットフォーム、単にオーディエンスとしてビデオを見るだけもできるけど、授業をビデオで受講して、宿題をこなせば、修了書がもらえる本格的なオンライン学習の仕組みで、今のところ、59のコースが登録されている。

では、なぜ、大学は、”タダ”でこんなオンライン学習の仕組みを提供するか?

 その答えが、バトゥーシグさんだ。モンゴルであれば、そう簡単に、米国留学できるものではない。でも、オンラインであれば、ネットが使えるところであれば、タダで授業を受けることができる。そして、その受講生のなかに、キラリと光る人材がいれば、大学はこれを奨学金を出して迎える。これは、オープンにしたからこそできること。すなわち、授業をタダにしても、素晴らしい人材を採用できるわけだから、事業としてやる価値はあり、まさに、オープン化が生み出すイノベーションの一つだと思う。

 そう思うと、すごい時代になったものだ。バトゥーシグさんの話は、別にモンゴルじゃなくても、ネットがあって、英語ができる環境であれば、世界各国どこでも起こり得る話だ。逆に言えば、ネットと英語があれば、世界中のポテンシャルを持つ人間をスカウトすることができる。逆に、日本語だけだったら、一部の外国の日本語学習者しかリーチできない。そういう意味で、オープン化すればするほど、世界が均一化するということでもあるかもしれない、まさに、トーマス・フリードマンの「フラット化する世界」の話だ。かつて、ケンブリッジに留学していたとき、シンガポールの留学生がいて、彼曰く、自分の親は英語が喋れず中国語のみ、一方で、息子は中国語が喋れず英語のみ、なので、祖父母と孫とは言語コミュニケーションがやりにくいと、言っていてなるほどと思った。

 そういう意味で、オープン化はとても大きなチカラを持っているけど、その負のチカラも大きい。結局のところ、バランスなんだと思う。オープン化によるグローバルな視点を持ちながら、ローカルなことも考えられるバランス感覚をもつ、こういう人間になりたいものです。

 

なぜ、ダイバーシティが重要か?

6月 5th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (なぜ、ダイバーシティが重要か? はコメントを受け付けていません)

これまで、ダイバーシティというと、あまりピンとこなかったけど、最近、これはとても重要だと思うようになった。

なぜ、ダイバーシティ(多様性)が重要か?

ダイバーシティの反対のケースを想定すると、うまく説明できるように思う。

今はだいぶ少なくなったけど、日本で新卒採用するとき、同じ学部の男性の22歳の日本人を100人採用する。彼らのバックグラウンドもそれほど変わらないので、アンチ・ダイバーシティの状況が発生する。

このアンチ・ダイバーシティは、経営にとってはわるくないこともある。たとえば、新人研修で自社の理念を叩き込み、愛社精神を涵養すれば、会社を愛する企業戦士が誕生する。そして、彼らが猪突猛進して、沢山の製品を売ってくれれば、会社としては、売上が増える話なので、悪い話ではない。

ただ、このアンチ・ダイバーシティが決定的によくないときがある、それが会社が下り坂になったとき。アンチ・ダイバーシティは、あたりまえだけど、”みんな同じ”なので、人と違うことをやると、とても浮いてしまう。そして、みんなと同じことをやっていれば良いという雰囲気をぶち壊してしまう。だから、あえて、人と違うことをやらずに、みんなと同じことをやる。

でも、景気の落ち込み、事業環境の変化などで、業績が下り坂になった場合、この”人と違うことをやらない”というのは、決定的によくない。たとえば、ちょっとしたコスト改善案があっても、”人と違う”ことをしなくてはいけないので、周りから白い目で見られるのを恐れて、その改善案も握りつぶしてしまう、そして、”給料もらえるからいいや”ということで、いつもとおなじことをする。こういう状況は、自分も何度か見てきて、これってアンチ・ダイバーシティの弊害だなと。

危機感を感じた経営陣は、外国人を入れる、女性幹部を登用する、年齢に関係なく採用する、と刺激を与えて、”人と違うこと”を是とする環境をつくる、これはとても理にかなっていると思うし、最近、”ダイバーシティ”が流行っているから、ウチも取り入れてみました、というのは、あまり変わらないとも思う。

ただ、外国人を入れる、女性幹部を登用する、年齢に関係なく採用する、というのは結構難しい、とくに、その人にあった適材適所を見つけて、活かすようにするのは、楽ではない。やっぱり、経営者も海外の経験がないとできないし、様々な職場を経験しないとできることじゃない。グローバルエリートという言葉があるとしたら、こうしたダイバーシティをきっちりマネージメントできる人なんだなあと最近思うようになりました。

連載:世界ハイテク企業ウォッチ グーグルのサービス一覧まとめ、プロダクトポートフォリオでその強さを読み解く

6月 3rd, 2013 | Posted by admin in お知らせ - (連載:世界ハイテク企業ウォッチ グーグルのサービス一覧まとめ、プロダクトポートフォリオでその強さを読み解く はコメントを受け付けていません)

四半期に一度書かせていただいている世界ハイテク企業ウオッチです。今回はGoogleをとりあげました。”春の大掃除”のように、ユーザ数が伸びないサービスから潔く撤退する、こうしたマネジメントの機動性にこの会社の強さがあると思います。

http://www.sbbit.jp/article/cont1/26372

新しいビジネスをつくる

6月 2nd, 2013 | Posted by admin in テクノロジー | 経営 - (新しいビジネスをつくる はコメントを受け付けていません)

最近、思うこと、新しいビジネスを作るのは難しい。

たとえば、”世の中を変える誰も作っていない製品をつくる”ということでビジネスをスタートする。

これはこれで素晴らしいし、こうした元気な企業がたくさん出てこないと日本は活性化しない。
だから、もっともっと、こうした企業が出てくるべきだ。

ただし、こうした会社がすべてがすべてうまくいくかというと、そうとは限らない。

特に難しいのが、”世の中誰も作っていない製品”ということ。

誰も作っていない製品というのは、やや穿った見方をすれば、市場性がないから大企業が作っていない製品ともいえなくはない。もちろん、その市場をまったく大企業が見逃しているというケースもある。

だから、意気揚々と新製品を出したとしても、それがすぐにユーザに受け入れられるまでそれなりに時間がかかる。とくに、企業向けソリューションの場合、得てして企業は保守的なので、新しい会社と付き合うリスクを取るよりも、むしろ、これまでの実績のある会社と付き合う場合が多い、だからといって、大企業はリスクを取れと言われても、そうはいかないだろう。これはこれでしょうがない。

そう、研究の世界では、新しいこと、誰もやっていないことが価値だけど、ビジネスの場合は、新しいから売れるとは限らない。で、最初は、絶対売れると思って、かなり大きい数字を入れた事業計画書が絵餅になり、”こんなはずじゃなかった”と責任のなすりつけをする。これもよくあるパターン。

ただ、往々にして、今は新しくても5年後に、みんなが使うようになるというのは結構多い。身近なところでは、スマホ。5年前は、一部のギークしかつかわなかったけど、5年後、誰もが使うものになった。20世紀初頭の電気、1990年代のインターネットも同じ。

というわけで、新しいビジネスをどう作るか、自分の結論は、”信念をもって堪える”です。ビジネスの話をしていて、経営者は自分の立ち上げたにもかかわらず、ダメと否定する場面がたまにある、でも、これはよくない。まわりからどんなに”こんなの流行るわけがない”と否定されようとも、ブレずに信念を貫く、これが一番重要なんだと思いました。

Facebook HOMEをアンインストールした理由

5月 31st, 2013 | Posted by admin in テクノロジー - (Facebook HOMEをアンインストールした理由 はコメントを受け付けていません)

Facebook HOMEというアプリがある。このアプリがリリースされる前は、”Facebook Phone”とも言われていて、フタを開けてみると、”HOME”としてスマホをFacebook化するアプリが2013年4月にリリースされた。

自分もワケあって2カ月近くNexus7にインストールして、使ってみたけど、結論からいえば、イケてない。

なぜ、イケてないか? おそらく、それは自分のデジタルライフの中のFacebookに占める割合が低いからだと思う。

ざっくり言って、自分のデジタルライフ(=PC,スマホ、タブレットでネットを使う時間)は、30%:ウェブ(ブログ、ニュース、まとめサイトなど)、30%:メール・チャット、15%:動画、10%:Facebook、15%:その他、で、だいたいFacebookは1割くらいの比重でしかない。おそらく、これは今後も変わらないか、もしくは、また別のSNSが出てくれば、その割合は下がると思う。

一方、Facebook HOMEのアプローチは、スマホ・タブレットの”Facebook化”で、ホーム画面から何から何まですべてFacebookが中心となる。おそらく、デジタルライフのうち、Facebookの占める割合が50%以上であれば、そこそこ使えると思う。だけど、自分の場合、Facebook Messangerは使うけど、あくまでも、メールはGmailを使っているし、ウェブ閲覧もRSSリーダーとかFacebook以外のモノを使っているので、すべてを”Facebook化”されて、それ以外のアプリへの移動(使ってみるとわかるんだけど、Facebook HOMEでは他のアプリに移動するのが結構手間がかかる)に手間がかかるのでは、やっぱり、使いにくい。

かつて、3つのイノベーションで“復活”するフェイスブック、その収益力は本物か?にも書いたように、自分はFacebookのとくにモバイル領域でマネタイズする姿勢は、広告が多くてうざいと言われようが、正しい方向性だし、他の企業にとっても、このモバイルのマネタイズ化は学ぶところが多いと思う。たしかに、Facebook HOMEはイケてない、だからといって、Facebookは終わったというわけではない。むしろ、失敗を重ねて、さらに良くする(少なくとも他のアプリのとの連携ができれば、少しは使いやすくなると思う)、今後のFacebookの展開が楽しみです。

”アマゾンのショールーム化”問題をどう解決するか

5月 29th, 2013 | Posted by admin in イノベーション | テクノロジー | 経営 - (”アマゾンのショールーム化”問題をどう解決するか はコメントを受け付けていません)

ヤマダ電機、全役員を降格処分 「アマゾンのショールーム化」避けられない?、この記事を読んで、思ったこと。

各地で発生するアマゾンのショールーム化

ヤマダ電機に限らず、最近、この手の”アマゾンのショールーム化”の話をよく聞く。典型例は、書店だ。

まず、本屋にいって、立ち読みして、よさそうだったらアマゾンで注文する。条件を満たせば、送料も無料だし、家まで宅配してくれるし、クレジットカードで決済すれば、クレジットカードのポイントもたまる。なので、あえて、街の本屋で買わずに、アマゾンで買う。

自分の知っている会社でも、この”アマゾンのショールーム化”問題に手をやいているところもあって、この問題を抱えている企業・小売店は結構多いと思う。

ショールーム化をどう解決するか?

で、どうやってこの問題を解決するか?

最もわかりやすいのは、”価格勝負”、アマゾンより安く販売する、価格.comの価格ランキングは、だいたいアマゾンが一番安いけど、たまに、それを上回る価格でアピールする小売店もある。ただ、これはおそらく長続きしない。というのは、アマゾンは大量に仕入れる分だけ、それだけディスカウントが効いているわけだし、闇雲に価格勝負を挑むと、結局、消耗戦になり、勝てない。

もう一つ考えられるのは、”ショールームに徹する”。たとえば、本屋を全部立ち読みOKにして、そして、QRコードなりでタッチすると、アマゾンのアフィリエイト経由で、商品を購入できる仕組み。ただ、アフィリエイトの料率も年々下がっており(今年6月からは書籍一律3%)、店舗の賃料、従業員・パートの賃金、などのコストを回収するのは、よほど売り上げをあげるか、コストを下げるかをしないと難しく、これもそれほど現実的じゃないと思う。

となると、残るのは、店・定員に対する愛着心なんだと思う。たとえば、この店にいけば、カメラのことが詳しい店員がいる、あの店はディスプレイの仕方が工夫されている、あるいは、あの店で買うと壊れたとき修理してくれる、など、店・店員が”スペシャル”であると、アマゾンもすべては顧客のためにという経営理念を標榜しているけど、さすがに、物理的に店をもって、店員を抱えているわけではないので、これは”物理”店に分がある。これはコーヒーと同じで、150円でマックでコーヒーは買えるけど、あえて、倍の300円以上出してスタバに行くのは、店・店員が”スペシャル”だから。

コーヒーと家電量販店とは、仕入れ条件などがあるので、単純には比較できないけど、ただ、スペシャルな店・店員に惹かれて、それにお金を払うのは、世界中どこにでもあるのだと思う。

修羅場とリーダーシップ

5月 25th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (修羅場とリーダーシップ はコメントを受け付けていません)

先日、ある人とお話をしていて、”どうしたらリーダーシップを鍛錬することができるか?”という話をお伺いした。

彼いわく、”リーダーシップを鍛える一番の方法は、”修羅場をぐぐることだ”と。

それから数日後、たまたま、ワコール創業者の塚本幸一氏が松下政経塾の塾生へレクチャーした講和録を読んでいたら、”修羅場”の指摘がとても腑に落ちた。

塚本氏の修羅場

塚本氏は、20歳になった昭和15年に陸軍歩兵として出征し、中支で2年半、それから南方に転身する。

ベトナムのサイゴン、カンボジアのプノンペン、タイのバンコクから、ビルマを横切り、チンドウェイン川をわたってインパール作戦に参加。その後、インパールの敗戦のなかで生き残って、昭和19年10月に雲南集結。それから、またビルマへ反転作戦、敵に追われ追われて、イラウジ会戦。20年6月ビルマからタイの国境の、あの「戦場にかける橋」をわたってタイへ逃げ帰って、しばらくして敗戦なりました。

「松下政経塾講話録」 (松下政経塾編、PHP研究所、p60)

そして、終戦を迎えて、彼の小隊55名のうち、生き残ったのは彼を含めた3名しかいなかった。彼自身も5年間、毎日死と直面していたという。そして、彼は、いよいよ日本に帰れるという復員船のなかで、「はたして、自分で自分の命を守りきったのだろうか」と考えこんでしまう。

どう考えてみても、どの瞬間を取ってみても、自分の意識と、自分の能力と、自分の決意断行でもってできたことではない。あの時のあの一発の弾が、体をこっち向けたから、こう通っていたとか、あの時の食べ物についていた黴菌を自分は食べなかったから、その病気にかからなかったというように、一つ一つの現実が、自分の意志と能力であったかどうか。とんでもないことですね。それは、まったくの偶然といえば偶然ですが、偶然というには、あまりにも長すぎます。

(同p62)

そこで、彼はこう悟る、「いわゆる、親から授かった、今日まで生きてきた生命というものはおわったんだ。なくなった。今、こおkでこうして復員船に載せられて、日本に帰ってくるというこの声明は、いわば、与えられ、生かされた、おあずかりものの人生だ」と。その後の成功については、言うまでもないだろう。

塚本氏のように、戦中に生死の境をさまよって、その後、戦後になって、日本をリードした方は結構おられる。たとえば、東京電力の平岩外四氏、ダイエーの創業者中内功氏もそうだろう。こうした修羅場を乗り越えた方々が日本の戦後の繁栄をもたらしたともいえるかもしれない。

今は修羅場があるか?

ひるがえって、現代。また、別の人からこんなを話をきいた。最近、世界各国ともベンチャー投資が盛んで、とくに、政府が次の成長戦略ということで、ベンチャー企業に積極的に資金面から支援している、という。だけど、政府の支援に満足してしまって、ハングリーさが足りない、世の中を変えるようなプロダクトが生まれない、と彼は嘆く。

 リーダーシップという点では、おずかりものの人生か、国からお金をもらった事業か、どちらがリーダーシップが発揮できるかといえば、言うまでもないだろう。そして、”修羅場からリーダーシップが生まれる”というのは金言だと思う。逆に言えば、”かわいい子には旅をさせろ”方式も必要なのかもしれないと、塚本氏の経験から思ったのでした。