「決算書を読む技術」

3月 12th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (「決算書を読む技術」 はコメントを受け付けていません。)

著者仲間の川口宏之さんよりいただきました。ありがとうございます。

 自分が初めて決算書を読むようになったのは、ドクター終わって、証券会社に入った2006年3月なので、もう7年近くたちます。
アナリストのころは、PL(損益計算書)が中心でBSはほとんど理解してなかったけど、経営管理をやるようになって、BSの重要性に気づいたり、たった7年の決算書の付き合いでも、いろいろな発見があります。それは、まさに筆者が指摘している

どのような役職に就いても、どのような業界に転職しても「決算書を読む技術」がムダになることは絶対にありません(p11)

という指摘は本当にそうだと思います。そして、どうやってその決算書を読むか。そのアプローチが、”数字の羅列にしか見えない決算書を、いったん図に置き換える”こと(p37)。そして、以下のように、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の財務3表について、レベルに合わせた”図解”を提示するアプローチです。これによって、財務3表の関係(損益計算書の当期純利益が、貸借対照表の利益余剰金とリンクしているなど)が把握できるようになっています。

  • 安全性が高い会社を見分ける(貸借対照表図解レベル1)
  • 将来のリスクを嗅ぎ分ける(貸借対照表図解レベル2)
  • 会社の実態をさらに詳しく把握する(貸借対照表図解レベル3
  • 稼ぐ力のある会社を見抜く(損益計算書図解レベル1)
  • 経営戦略を図で浮き彫りにする(損益計算書図解レベル2)
  • 会社の将来の姿を見逃さない(損益計算書図解レベル3)
  • 3つのC/Fの意味を知る(キャッシュフロー計算書図解レベル1)
  • 3つのC/Fで会社のタイプがわかる(キャッシュフロー計算書図解レベル2)
  • フリーC/Fで健全性をはかる(キャッシュフロー計算書図解レベル3)

ただし、財務3表は、あくまでも企業の経営状態を示したものだけであり、誰(銀行、お客さん、仕入れ先など)がどれだけ支払うかといった情報は記載されていない(ちなみに、上場企業が提出する有価証券報告書には、主な相手先別販売実績という開示事項があって、売上のうち10%を超える取引相手を開示しています、アナリストのときはこの情報がとても重要でした)。そこで、取引フロー図によって、A.顧客、B.仕入先等、C.投資先等、D.銀行・株主の自社を取り巻くステークホルダーのお金の動き、モノの動きを図示することで、「損益」と「収支」(会計上の利益とキャッシュフロー)の違いがわかります。

以上がだいたいのあらまして、ベーシックなところから始まっているけど、負債項目にある前受金の扱い(p63、流動負債は1年以内にお金を支払うものだけど、前受金は例外で先に代金を受け取る)など、会計をそれなりに知っている人でも、なるほど、と思わせるところが多い。そういう意味で、はじめて決算書を読む人にも、ある程度、決算書を読める人にも、それぞれ得るものがあるおススメの一冊です。

 

ビジネス基礎体力が身につく 決算書を読む技術
ビジネス基礎体力が身につく 決算書を読む技術 川口宏之

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便利屋ビジネスと顧客満足度

3月 11th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー | 経営 - (便利屋ビジネスと顧客満足度 はコメントを受け付けていません。)

先日、写真の便利屋のチラシが入っていて、いろいろとビジネスを考えるきっかけになりました。

かのピーター・ドラッガーは、企業活動の目的について、”顧客の創造”と定義しました。それは当たり前の話で、お客さんがいなくては、ビジネスにならない。

そして、この便利屋のビジネスも、”ゲームの相手がいない”、”犬の散歩の時間がない”、”洗車の時間がない”といった”時間をお金で買う”顧客にハマるモデルだと思う。

ただ、これでビジネスとしてマネタイズできているのか。これは、どこまでお客さんのわがままを聞くか、だと思う。

”お客様は神様です”よろしく、お客さんのわがままをすべて聞く、もちろん、これは顧客満足度を高める最大の方法だけど、ビジネスとして成り立つとは限らない。

たとえば、自分のなじみのあるIT業界では、システムをつくる際、顧客のシステム設計をする際に、”お客様は神様です”とばかりに、、”ECと連動したい”、”ボタン一発で経営状態が見えるようにしたい”など、お客さんの言い分をすべて聞いて、システムを作ろうとすると、ほとんどの場合、予算、制限時間オーバー、もしくは、ひどいとシステム会社の持ち出しになってしまう。やはり、お客さんのわがままをすべて聞くいわゆる”御用聞き”は必要とされていない。むしろ、腕利きのプロマネは、お客さんのやりたいことを制約条件(予算、時間)のなかでうまく調整する、あるいは、断る能力に長けていると思う。ちなみに、当社では、このシステムと経営とのギャップをセカンドオピニオンサービスという形でギャップ分析を提供しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 便利屋もこのシステム開発の話と同じで、お客さんのやりたいことをすべて聞いていると、たぶん、ビジネスとして成り立たないと思う。だからといって、”これはできません”と断り続けては、便利屋の沽券に関わる問題で、その折り合いの付け方が、便利屋ビジネスモデルの肝・ノウハウなんだと思う。ちなみに、システムの話に戻ると、システムでは、この肝・ノウハウは、パッケージに相当します。極端な話だけど、Windowsには、製造業向け専用Windowsもなければ、医療向け専用Windowsもない、どの業種でも同じ。パッケージを買って、インストールするだけで終わり、ものすごくレバレッジの効くビジネスだと思う。Windowsまでいかないにせよ、多くのパッケージは、”お客さんのやりたいこと”がだいたい凝縮されていて、それをインストール&カスタマイズである程度のことができる。そして、”だいたい”という最大公約数をどこに設定するのかが、企業の腕の見せ所、ニーズの捉えどころなんだと思う。

 こう考えると、最初の”顧客の創造”とは、単に、お客さんのわがままを叶えておカネをもらうのではなく、お客さんがおカネを払ってでも、その成果に満足する仕組み(イノベーションとも言えるかもしれない)を作ることなんだろうと思いました。改めてドラッガーの教えての深さが身に沁みます。

上杉鷹山に経営を学ぶ

3月 8th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (上杉鷹山に経営を学ぶ はコメントを受け付けていません。)

上杉鷹山に経営を学ぶ

高校時代のころから歴史が好きで、今でも機会を見ては歴史の本を読んでいます。
そのなかで、今回紹介するのは、童門冬二の「上杉鷹山の経営学」。

上杉鷹山と言えば、かのJ・F・ケネディが尊敬する日本人と言わしめた人物だけど、いままで何がすごいのかあまり知らなかった。
でも、自分が経営に身を置くようになって、その素晴らしさがわかりました。

彼が藩主を務めた米沢藩は、初代上杉謙信の時代は、越後で200万石を越える収入があり、2代景勝の時代は会津に移されて120万石。さらに、江戸時代になって、米沢に移され30万石に減封、くわえて、4代目から5代目の継承に不備があり、15万石に減らされた。収入が減る一方で、家臣の数を減らすわけでもなく、藩の収入のうち、90%が人件費だったという。企業でいえば、売上が激減しているにも関わらず、コスト(固定費)は変わらない状態。給料のベースダウンを実施するも、一向に財政状況が改善することなく、先代の上杉重定は一時は版籍を幕府に返すことも検討したという、その中で、上杉鷹山が17歳で藩主となる。

こうした絶望的な状況のなかで、彼はどう藩を変えたか。その改革の一つが、米作一本足打法をやめて、収益を多角化すること。具体的には、和紙を作るために楮100万本、漆100万本、絹を作るために桑100万本植える計画を立て、これを実行した。この収益の多角化は、天明年間に会津藩の家老田中玄宰(会津の酒蔵末廣では、彼へのオマージュとして「玄宰」という大吟醸を作ってます)が、会津で漆、酒などの生産を強化するなど、上杉鷹山の専売特許ではない、でも、それを”ダントツ”にやり遂げるところ、ここに経営者としての上杉鷹山のすごさがあると思う。

そして、これは現在にもとてもよくあてはまる。江戸時代の米作のような”一本足打法”はビジネスとしては当たり前。たとえば、かつて、吉野家のメニューは牛丼のみで、牛丼一筋に絞るからこそ、原材料を安く調達できたり、一度に大量に生産できたり、オペレーションをマニュアル化したり、メリットが多い。自分の馴染みのあるIT業界でも同じで、システム開発だけの”一本足打法”はメリットが多い。システム開発、お客さんからシステム開発案件を受注して、自社で賄えない分は、協力会社(外注)をつかってシステムを開発をする。そして、協力会社を使える分だけレバレッジが効くので、うまく協力会社を使えれば、もたらすリターンも大きい、まさにシステム開発”一本足打法”だ。

ただ、一本足打法は米作しかり、吉野家の牛丼しかり、システム開発しかり、リターンも大きいけど、一度、不の循環、米作では不作(とくに東北は不作の不作の年が多い)、吉野家の牛丼は米国牛の輸入停止、システム開発はリーマンショックのようなシステム開発全面ストップ、に陥ると、致命的な痛手を受ける。その痛手を受けて、構造的に立ち行かなくなったとき、どうするか、それは、これまでのしがらみを捨てて、収益の多角化を”すぐにやるしかない”。それをやるのが経営者の役割なんだと思う。

 上杉鷹山が生きた時代からまだ200年くらいしか経っていない、その間、人間が劇的に進化したわけでもなく、まだまだ、歴史から学ぶことはたくさんありそうです。

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PLアプローチとBSアプローチ

3月 5th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (PLアプローチとBSアプローチ はコメントを受け付けていません。)

PLアプローチとBSアプローチ

財務諸表を見る(アナリスト)・作る(経営管理)仕事をトータルで7年近くやってきて、世の中には2つのアプローチがあると思う。

まず、一つはPLアプローチ。一番わかやすいのは、確定申告。確定申告は、その年の給与、不動産、雑収入から、医療費、保険等の控除を引いて、最終的な納税すべき、もしくは、還付する金額を確定する。言ってみれば、個人の1年のPL(Profit & Loss)をまとめたモノともいえる。セクターによって、異なるけど、アナリストの分析も、どちらかといえば、PLアプローチが多い。株価は、EPS(一株あたり純利益)×PER(株価収益率)で表すことができて、EPSとPERを当てることができれば、株価は予測できる(が、実際、これはとても難しい、とくに、PERは人間の期待値なので、合理的に見積もるのは困難)。要するに、1年にどれだけの損得をしたか、これがPLアプローチ。

一方、BSアプローチはちょっと違う。身近の例では、銀行口座の預金残高(バランス)。預金残高は1年で完結する話ではなくて、何年、何十年と続く話。そして、預金残高がマイナスになったら、企業は立ち行かなくなる。だから、売上を増やす、経費を削減する、もしくは、売掛金(入金)と買掛金(出金)のサイクルを調整する(できるだけ早く入金して、できるだけ遅く出金する)、どれだけ預金残高を増やして、ひいては、会社の規模を大きくすることができるか、これは企業戦略によるところが多い。で、この預金に限らず企業の財産の残高(バランス)を記録しているのが、BS(バランスシート)であり、BSアプローチは、積み重ね(ストック)ともいえるかもしれない。

PLアプローチとBSアプローチ、どちらが良いというわけでもないけど、自分はBSアプローチが好きだ。PLアプローチは、企業の長い歴史のなかでの、ほんの一つのスナップショットにしか過ぎない。一方、BSアプローチの場合は、”創業以来継ぎ足してきたツユ”のように、会社の歴史が色濃くBSに反映されている。ある方に、”企業の経営はBSをみればわかる”と教えられたけど、まったくその通りだと思う、やっぱり、BSは大事です。

スグに年収1000万をもたらす30の技術スキル

3月 2nd, 2013 | Posted by admin in テクノロジー - (スグに年収1000万をもたらす30の技術スキル はコメントを受け付けていません。)

年収1000万をもたらす30の技術スキル

http://www.businessinsider.com/10-tech-skills-that-will-instantly-net-you-100000-salary-2013-2#に、年収1000万円($100,000+)をもたらすスキルとして、30の技術が紹介されています。それによると、30の技術スキルは以下。

  1. SaaS
  2. Data Warehouse
  3. Change Mamagement
  4. Azure(MSのクラウド)
  5. Nginx (オープンソースのwebサーバ)
  6. Business Intelligence
  7. HP-UX
  8. Weblogic
  9. UML
  10. kanban (いわゆる、カンバン方式でソフトウェア開発管理する方式、くわしくは、
  11. SOX
  12. People Code(People Softの開発言語、同社はオラクルに買収されたものの、使っている企業があるので、需要があると)
  13. ウォーターフォール開発方式
  14. Scrum (アジャイル方式での開発手法)
  15. FCoE (Fiber Channel )
  16. Lean (リーン式開発方式)
  17. Korn Shell (いわゆる、UNIXのシェルだけど、UNIXサーバ管理という意味で)
  18. Fortran
  19. JDBC
  20. CMMI (ソフトウェアの品質管理手法)
  21. ETL
  22. Objective C
  23. Jetty(Java web server)
  24. Mondo DB
  25. SOA
  26. Omnigraffle
  27. PMBok
  28. NoSQL
  29. Big Data
  30. Hadoop

正直、これあり?というのもあり、かつ、これ入ってないの?(例:Runy on Rails)もあるけど、だいたい納得できる。自分もITコンサルとして、IT企業、ユーザ企業の方とお話をしていて、だいたい、需要があるのが、1.プロジェクト管理(このリストでは、PMBok,CMMI,Scrum,ウォーターフォール、UML、SOA,Kanban)、2.レガシーのインテグレーション(Fortran, JDBC, HP-UX, FCoE)、3.データ管理・分析(Data Warehouse,Business Intelligence,ETL, Big Data, NoSQL, Big Data, Hadoop)あたり。いずれも本を読んで勉強してもすぐ身に付くものではない、だから、 “A $100,000+ Salary”をもたらすのだと思う。

ちなみに、Datawahous、Business Intelligence, ETL(E(Extract),T(Transform),L(Load)、データのカタマリをETLを経ることで、分析可能なモノにする)について、2012年3月に発売した拙著「ビックデータ戦略」で紙面を割いて書いてます、こちらもぜひご一読を。

ビッグデータ戦略―大規模データ分析の技術とビジネスへの活用
ビッグデータ戦略―大規模データ分析の技術とビジネスへの活用 長橋 賢吾

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連載 世界ハイテク企業ウォッチ:Facebook

2月 28th, 2013 | Posted by admin in お知らせ | テクノロジー - (連載 世界ハイテク企業ウォッチ:Facebook はコメントを受け付けていません。)

【連載】世界ハイテク企業ウォッチ 3つのイノベーションで“復活”するフェイスブック、その収益力は本物か?

四半期に一度書かせて頂いている世界ハイテク企業ウォッチが公開されました。

今回取り上げる企業は、Facebookです。去年、上場したばかりのときは、スマホでまったくマネタイズできていなかったのですが、去年の下期からぐんぐんマネタイズが進んでいます。そういう意味で、”景色が変わった”企業です。その背景には、CEOのマーク・ザッカーハーグのビジョンにくわえて、COOのシェリル・サンドバーグのオペレーションが加わって、ビジョン+オペレーションの強い会社になりつつあるというのがカンファレンスコールを聞いての印象です。次回も、四半期に一度アップしますので、お楽しみに。

【連載】世界ハイテク企業ウォッチ 3つのイノベーションで“復活”するフェイスブック、その収益力は本物か?

群雄割拠に突入するスマートフォン

2月 27th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー - (群雄割拠に突入するスマートフォン はコメントを受け付けていません。)

群雄割拠に突入するスマートフォン

「図解スマートフォンビジネスモデル」という本を2012年10月に上梓いたしました。

この本の主役は、スマートフォンのOSをがっちり押さえているiOS(iPhone,iPad)とAndroidの2つのプラットフォーム。

それから、およそ、半年、この2強体制から、事業が変わってきた。

まず、アップル、スティーブ・ジョブズというカリスマを失って、精彩を欠きつつある、詳しくは、を参照のこと。

精彩を欠くiPhoneからユーザはAndroidに移行するかといえば、そうでもない。Androidは一言でいえば、サムソンの一人勝ち。そして、の指摘のように、サムソンのハイスペックなAndroidスマートフォンは、たとえ、OSが無料といえども、誰もが買えるわけではない、だから、新興国にFirefoxという発想がでてくる。さらには、日本のNTTドコモのようなキャリアもAndroidだけではなく、新しい活路をもとめて、Tizenに力を入れる。

そうした意味で、スマートフォンは2強時代から再び戦国時代になるのだと思う。それで、誰が勝つか?自分が思うに、”スマートフォンの殻”を超えるものを生み出す企業・組織だと思う。たとえば、iPhoneがでる前、スマートフォンといえば、タッチパッドではなく、QWERTYキーボードがついていて、携帯でもパソコンっぽいことができるものだったけど、いうまでもなく、iPhoneがスマートフォンを再発明した。だから、iPhoneがスマートフォンの覇者になったと。だからこそ、次のスマートフォンの覇者は、おそらく、iPhoneとは別なスマートフォンを再発明する会社だと思う。まだまだ、スマートフォンのテクノロジーも進化しそうです。

図解スマートフォンビジネスモデル
図解スマートフォンビジネスモデル 長橋 賢吾

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オペレーションと研究

2月 24th, 2013 | Posted by admin in 経営 - (オペレーションと研究 はコメントを受け付けていません。)

オペレーションと研究

最近、思うこと、オペレーションは重要であること。

その昔、大学にいたとき、右手にオペレーション(ネットワーク運用)、左手に研究(テーマをきめて論文を書く)が理想と教えられた。

これは言うのは簡単なんだけど、実行するのは難しい。”べつに、ネットワークなんて、ルータ・スイッチ入れれば、動くでしょ?”というのは現場を知らないコメントで、ベンダーが違うルータ・スイッチ間でトラブルがおきたり、DoSアタックがあったり、想定外のトラブルが結構発生する。で、そうした想定外のトラブルが発生した際に、うまく対処して、安定したネットワーク接続環境を提供する、そのためには、ある程度張り付いていなくてはいけない。ネットはつながって当たり前の中、まさに”縁の下の力持ち”的な役割だけど、このオペレーションなくして語ることはできない。

一方、研究はちょっと違う。研究者の場合、仕事のアウトプットは、業績、どれだけの論文を書いたかが、全部じゃないけど、ある程度の評価指標となる(こんなすごいシステムをつくりましたより、年に10本論文を書きました、の方がわかりやすい)。でも、”こんなことがおきました”だけど論文にしにくいので、何かしらの仕組み(新しいシステムを考えて、それを実装して、評価する)が必要になる。もちろん、ネットワークの現場でおきたトラブル等に対して、何かしらの仕組みを考えて、実装・評価する、これが理想だけど、簡単なことではない。

一般的にアカデミックの場合、後者(研究)の方が評価される傾向にあると思う、それは当然でネットワーク運用しました、より、1年に10本論文書きましたの方がわかりやすい。でも、ビジネスの場合、もちろん、研究も重要だけど、全社のオペレーションの方が重要だと思う。つまり、どんなに素晴らしいシステムを作ったとしても、オペレーションができていなければ、何も付加価値が生まれない。そして、オペレーションを極める(たとえば、どんな本でも翌日に配送するなど)と、それが会社の競争優位性となり、他社との差別化の重要な要素となる、いわゆる、オペレーションエクセレンスだ。

もちろん、オペレーションだけでも駄目だし、研究だけでも駄目。でも、企業という観点から、オペレーションの方が重要なのかもと思うのでした。

 

 

 

システム化の功罪

2月 19th, 2013 | Posted by admin in テクノロジー - (システム化の功罪 はコメントを受け付けていません。)

システム化の功罪
言うまでもなく、システムは便利だ。

たとえば、夜中にふと思い立って、amazon.comでクリックすると、昼にはモノが届いたりする、これはシステム化の”功”に他ならない。

企業も同じで、システムのない企業体はいまでは珍しい。たとえば、企業の血であるお金の管理は、昔、紙の帳簿に記入して総勘定元帳をつくっていたけど、今時、紙の帳簿で総勘定元帳を作る会社は少ないと思う。大きな企業であれば、生産・販売システムと連動したERP、小さな企業でも弥生のような会計ソフトを導入しているケースがほとんどだろう。いうまでもなく、会計ソフトの導入の理由は、便利だから。紙の帳簿では、月次の試算、期末決算など集計すると、とんでもない時間がかかる、一方、システムはデジタルなので、こうした集計はお手のものだ。あっという間に、ルールに則って、月次・期末の試算もやってくれる。これによって、企業の決算集計が速くなる、これもシステム化の”功”と言える。

 でも、このシステム化の”功”は、”罪”の裏返しともいえる。極端な話、紙の帳簿を続ける場合は、やはり、その作業に携わる人が必要になる。そして、そうした人は、長い間、その作業に従事していて、ある日、”紙の帳簿はなくなり、明日からシステムになります”となると、その人の仕事がなくなってしまう。オフィスをシステムでオートメーション(自動化)すればするほど、人の仕事がなくっていく。合理的に考えれば、OA化は”是”だけど、とくに地方の場合は、安定した雇用を提供することが企業にとって重要だったりすることなので、無碍に仕事がなくなったからといって、解雇というわけにはいかない。

 では、どうすべきか?やっぱり、システムで合理化できる部分は合理化するしかない。システム合理化によって余剰となった人材をどうするか、このリソース配分がマネジメントなんだと思う。何が正解というのはない、だけど、持っているノウハウを別の部署に展開する、あるいは、新しい部署を立ち上げるなど。これはしんどい。でも、しんどいことをやらないと、生きる糧が見つからない。ITは便利だけど、コンピュータが自分で意思決定してくれるわけではない、だからこそ、人間のリソース配分・意思決定がますます重要になってくる、と思うわけです。

福沢諭吉とフロンティア

2月 16th, 2013 | Posted by admin in 独立 | 経営 - (福沢諭吉とフロンティア はコメントを受け付けていません。)

福沢諭吉とフロンティア

昔から本を読むのが大好きで、今でも、時間をやりくりして、毎日本を読むようにしています。ただ、最近は新刊が若干食傷気味で、もっぱら、青空文庫やブックオフの100円セールが自分の読書ライフの中心です。

そのなかで、とても印象に残ったのが、小泉信吉著「福沢諭吉」。著者自身も、慶應義塾塾長を長らく務め、かの旧海軍元帥山本五十六を”慶應びいき”にさせたのも、彼の影響が少なくないという。尤も、山本の慶應びいきは、このエントリの主役福沢諭吉による著書”学問のすすめ”の一節”天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず”に深く共感していたようだ。

もちろん、福沢自身の「福翁自伝」も一級の著書として素晴らしいものだ、だけど、この本は、客観的に福沢がどのように生きて、何を考えたのかがわかるおススメの一冊です。

福沢諭吉の人生の転機があるとすれば、それは、幕末時の西洋修行だと思う。長崎でオランダ語を学んだ彼は、江戸に住み、当時、開港したばかりの横浜でオランダ語を使おうとするが、そこは完全に英語で、まったく、オランダ語が通用せず、失望する。そして、当時、英語を教えてくれる場所もほとんどない。でも、オランダ語と英語は良く似ていて、彼は独学で英語を学ぶ、それによって、「福沢の眼界は、頓に広く開かれた」(p18)。そして、咸臨丸での渡米、欧州視察を経て、彼は、西洋の第一人者となったと。明治以後の彼の活躍は言うまでもないけど、その活躍は、彼の西洋修行なしでは語れない。

幕末ならいざ知らず、グローバル化が進んだ現在では、西洋は未開でも何でもない。でも、彼が生きた150年後の今でも、未開な場所(フロンティア)はたくさんある。たとえば、かつてブログに書いた富士通の日本初のコンピュータ。IBMの独断場であったコンピュータを天才技術者池田敏雄を中心とした富士通のチームが日本初のコンピュータを開発し、それが世界を席巻した。現在いうには、ちょっと古いけど、これもフロンティア開拓の一つだろう。

 福沢は、「素より智よりも徳も共に大切であることを承知してい居るけれども、特に強く説いたのは智の進歩であった」(p100)。自分はこの智の進歩を”未開を開拓する”と理解しました、そして、これからも新たな”未開を開拓”する、これが福沢のスピリットであり、これを受け継がなくてはいけないと思うわけでした。

福沢諭吉 (岩波新書 青版 590)
福沢諭吉 (岩波新書 青版 590) 小泉 信三

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