アンディ・グローブを悼む

3月 22nd, 2016 | Posted by admin in 経営 | 長橋のつぶやき - (アンディ・グローブを悼む はコメントを受け付けていません)

 インテル創業者アンディ・グローブが亡くなったというニュースにショックを受けました。自分は直接、彼の謦咳に接したことはないものの、彼と直接触れ合った知り合い、そして、彼の著書から、深く影響を受けました。理系出身のマネジメントとして、はるか先な自分のロールモデルとして心から尊敬していました。心よりご冥福を申し上げます。

 自分の理解しているなかで、彼の卓越したリーダーシップは2点。ひとつは、思い切ったDRAMの撤退。もともと、DRAMメーカーとして成功したインテルが1980年代、日本勢の興隆にシェアを奪われ、忸怩たる思いでDRAM事業から撤退する。でも、その勇敢な撤退のおかげでマイクロプロセッサーに注力し、CPU市場で圧倒的なポジションまで昇華したと。

 もうひとつはインテル、そして、Googleのようなシリコンバレーの会社に広く導入されている人事制度MBO(Management By Objectives)をインテルに導入したこと。社員一人一人が目標(Objectives)を設定して、それを成し遂げることが会社の目標となる考え方。

 自分も経験があるけど、上司と部下がいるとして、上司は部下を管理しなくてはいけないということで、箸の上げ下げ並みにプロセスをいちいち管理しようとする。でも、プロセスじゃなくて、達成した目的に対して評価する、だから、自分の設定した目標を達成すべく努力する。これは素晴らしいアプローチだと思う。そして、こうした彼の残した考え方は後世にまで受け継がなければいけないと思いました。

不安を取り除く

3月 12th, 2016 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (不安を取り除く はコメントを受け付けていません)

2~3日前、グーグルが突き止めた社員の生産性を上げる方法という記事に思うところがありました。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48137?page=3

グーグルが突き止めた社員の生産性を上げる方法、いわく「こんなことを言ったらチームメイトから馬鹿にされないだろうか」、あるいは「リーダーから叱られないだろうか」といった不安を、チームのメンバーから払拭する。心理学の専門用語では「心理的安全(psychological safety)」と呼ばれる安らかな雰囲気をチーム内に育めるかどうかが、成功の鍵という。

これは自分にも幾度となく経験があって、たとえば、怖い上司がいると、その上司に怒られないために仕事をして、結局、お客さんのことを見ない、だから、お客さんにとってトンチンカンな製品・サービスになってしまうというのはよくあること。だからこそ、チームのメンバー同士で不安を取り除いて、お客さんにためにベストな製品・サービスを提供する、それが結果的に生産性向上につながる、ともいえるかもしれない。

 で、この不安を取り除くというのは、以外と難しい。やはり、様々なバックグラウンドの人でチームが構成されている以上、自分は大したことではないと思っていても、別の人はすごく不安に感じるというのはよくあること。そうした人それぞれの不安に真摯に向き合い、解消する、これが、上司・リーダーの役割だと思うのです。

 その不安を解消する良い手立てが、自分が思うに飲み会もあると思う。稲盛さんは、コンパを単なる飲ミュニケーションではなく、酒を飲み、胸襟を開いて、心をさらけ出す、それが強い組織を作るという。心をさらけ出すことで、不安を解消するということもあるのかもしれない。

 まあ、誰も不安のない組織なんて存在しない、でも、そうなるように心を開いて、不安を解消することは大事なんだと思いました。
 

知財戦略のススメ コモディティ化する時代に競争優位を築く

2月 26th, 2016 | Posted by admin in 日々の思い - (知財戦略のススメ コモディティ化する時代に競争優位を築く はコメントを受け付けていません)

「知財戦略のススメ コモディティ化する時代に競争優位を築く」
日経BP田島様から御献本いただきました、ありがとうございました。

この本は、知財戦略であるものの、単に知財という枠を超えて、テクノロジーをどうビジネスに活かすかという視点を提供してくれています。

たとえば、第1章 技術のコモデイティ化と知財・事業戦略 において、シャープは太陽光パネルで5000件もの特許を保有しているものの、
わずか10年の間にシェアは90%から10%まで低下、その要因として、こう指摘する。

シャープが保有する5000件の特許はビジネスに何の貢献もなくなったのか。おそらく、高性能品である
変換効率20%の太陽光パネルを製造するためには、この5000件の特許のうち少なくとも一部を利用しなければならないだろう。
つまり、変換効率20%という高性能品は、今でもシャープだけが製造できるのかもしれない。しかし残念なことに、
そこに強みがああっても、シェアの増大につながらない。(p22)

やはり、どんな重要な特許を持っているからといっても、ニッチ市場(変換効率20%の太陽光パネル)においてはシェアを拡大できない。
だからこそ、「10年後、20年後に到来する社会を見据えて、どのような市場がうまれ、どのような技術が必要となり、どこまで
先行して技術開発投資と知財化をするのか、という研究企画的な発想が重要になる。」(p45)と指摘する。

すなわち、単に知財化するというのではなく、将来の事業を見据えて技術投資そして知財化があるべきというのが
本書の趣旨であり、第2章以降では、オープン&クローズの戦略論、第3章 特許の権利行使と知財ファンド、
第4章 知財の取引と新たな紛争、第5章 事業と知財の一体化、第6章 特許のコストとリターン、
第7章 グローバル特許の取得と訴訟戦略、第8章 グローバル知財管理とタックス戦略、とグーグルなどの
海外企業の特許戦略などを踏まえながら、事業と知財との一体化をとく。

本書は誰が読むべきか、正直、後半のグローバル知財、タックス等の話は、かなり専門的な話が多いので、
知財についてより理解を深めたい専門家、知財部に適していると思う。一方で、前半部分については、
知財という枠をこえて、どう技術をビジネスに活かすか、MOT(Management of Technology)的な視点であり、
MOT的なテキストとしてよいかなあと思いました。

休むも仕事

2月 17th, 2016 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (休むも仕事 はコメントを受け付けていません)

何がきっかけか覚えていないのですが、たぶん、終戦の詔書を一部加筆し、平成という元号を考案したあたりかと、昭和の碩学 安岡正篤師の著作を折あるごとに読んでいます。

 彼の記述でよく登場するのが、「閑に耐える」、すなわち、閑に耐え、閑に安んじ、閑を楽しみ、閑を活かすような人が偉い人だとあり、なるほどなあ、と思いました。

 で、今日(2月16日)の毎日新聞のニュースで「<働かない働きアリ>集団存続に必要 働きアリだけは滅びる」というニュースにいたく感じ入りました。アリの世界は、8:2の法則で、働くアリが8割、働かないアリが2割。そして、この働く8割のアリだけをピックアップしても、かならず、働かないアリがでて、これが「謎」だったと。で、北海道大学等の調査によると、最初よく働いていたアリが休むようになると、働かなかったアリが動き始めることを確認したと。ま、言ってみれば、サッカーにしてもどんなスポーツにしても控えが必要ということかもしれない。

 と考えると、働かない=「閑に耐える」というのは、否定すべきことでもなく、むしろ、閑を活かす人が偉いのかもしれない。ま、株式相場でも、「休むも相場」なんてよくいいます。そう、90分フル出場しなくてもいいかもしれない。

 というわけで、結論、Take it easy、気楽にいきましょう、休むも仕事。あわてないあわてない。一休み一休み。

<働かない働きアリ>集団存続に必要 働きアリだけは滅びる

気持ちを切り替える方法

2月 7th, 2016 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (気持ちを切り替える方法 はコメントを受け付けていません)

 自慢する気は全くありませんが、自分は比較的気持ち・タスクの切り替えが早いと思います。ま、いろいろイヤな気分になるときもあるし、全く関係のない仕事が降ってくるときもあるけど、その場その場で気持ちを切り替えて、スイッチしているような気がします。

 で、自分はあまり意識してなかったけど、ある人との飲み会でそのことを話したら面白い、と指摘されたので、シェアします。

 そもそも、自分は静岡の中学・高校で育ったのですが、その学校が本を読むことを奨励していて、本を読むのが日課になりました(そうした、習慣を植え付けてくれた学校・先生にいまでも感謝です)。で、今から7~8年くらい前だと思うのですが、朝、風呂に入るとき、何冊かの本をもって、入るようになりました。とりあえず、朝起きて、ちょっと仕事して、ごはん食べて、新聞読んで、朝ドラ見て、風呂というのが自分の黄金ルールです、ちなみに真夏のときは水風呂です。

 それらの本は全くランダムでたとえば、漫画、江戸時代の儒学みたいなわりと難しい本、小説、気ままにAmazon、bk1、リアル書店、Bookoffの100円セールで買った本などです。最初のころは、どこまで読んだかなあと全く前後の文脈が把握できなかったのですが、もう7-8年も繰り返すと、わりと、ああそうだった、と切り替えられるようになりました。これが気持ち・タスクの切り替えにつながっているかなあと。

 で、この習慣の問題点は、出張にいくとき。自分はそんなに出張は多くはないのですが、いざ出張にいくときほとんど本になってしまい、肝心なものが入らなかったケースが何度かありましたwというわけで、最近、kindleもいいかなとも思っています。
 
book

【連載】世界 ハイテクウオッチ Apple Musicで「瀕死」のパンドラ、巨人に囲まれても活路を見出す「奇跡の一手」とは

2月 5th, 2016 | Posted by admin in 日々の思い | 長橋のつぶやき - (【連載】世界 ハイテクウオッチ Apple Musicで「瀕死」のパンドラ、巨人に囲まれても活路を見出す「奇跡の一手」とは はコメントを受け付けていません)

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連載中の世界ハイテクウオッチにパンドラの記事を寄稿させていただきました。

【連載】世界ハイテク企業ウォッチ
Apple Musicで「瀕死」のパンドラ、巨人に囲まれても活路を見出す「奇跡の一手」とは
http://www.sbbit.jp/article/cont1/30719

隙間を探す

1月 28th, 2016 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (隙間を探す はコメントを受け付けていません)

 割と自分は本を読むのが好きで、Amazonだったり、Book Offであったり、書店であったり、いろいろなところで買うけど、もう何年も数か月おきに買うのが、honto.jp(もとbk1.jp)です。

 ネットで本といえば、Amazonなんだろうけど、Amazonの問題点は、いい意味でも悪い意味でもフィルタリングすること。たしかに、似た本を探すのはいいけど、同じようなジャンルになってしまって、意外と使いずらい。

 で、honto.jpを使う理由は、一つしかなくて、新刊の情報が充実していること。そして、まったくフィルタリングされていないので、Amazonよりも広い世界に入った気がするのです。最近は、本屋も減ってますが、古き良き本屋かもしれない。

 と考えると、ネットで本といえばAmazonだけど、Amazonが一人で全部もっていくわけでもない気がする。少なくとも、自分はAmazonも使うけど、honto.jpも使うと思う。

 たぶん、これはEC全般にいえる話で、どこか強いECがあるとしても、何かしらのニッチな隙間はあると思う。そして、その隙間に入って、そこで強くなる。当たり前だけど、大事だなあと、honto.jpから思いました。

ロバを売りに行く親子

1月 20th, 2016 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (ロバを売りに行く親子 はコメントを受け付けていません)

先日、たまたまブックオフの100円セールで売っていたソニー出井さんの「非連続の時代」を読みました。この本が出たのは2002年です。

 そこから10年以上経過した今からみても、彼が「非連続の時代」というべきデジタル時代(音楽がデジタルになるなど)をきちんと見据えて、戦略的思考なら負けないと本書で自負しているだけ先を読むことにかけては、すばらしいと思いました。

 何かのインビューで読んだのだけど、彼は事業部長のときから会社の将来をレポートにまとめて毎年マネジメントに提出したという。もちろん、周囲の嫉妬・反発もあったけど、そのたびにロバを売りに行く親子の話をしたという。
 
 ロバを売りに行く親子は、イソップ童話で、ロバを売るため親子が市場まで歩いているところ、周りから、ロバを歩かせているのはもったいないといわれ、父親は息子をロバに乗せる。そしたら、ある人から、親を差し置いて息子がロバに乗るのはどういうことだ、ということで、二人でロバにのる。で、2人でロバに乗ったらロバがかわいそうってことで、親子でロバを担いで歩いたら、ロバが橋から落ちて結局何も得られなかったと。

 ま、何か新しいこと、人がやっていないことをやろうとすると、周りからいろいろという。だからといって、それを100%鵜呑みにすると、結局、何も得られることがない。だから、これだけだと思うことに信念を貫くしかない。彼が伝えたいことはそういうことなんだと思う。自分もぶれることがよくあり、ロバに売りに行く親子は身に沁みます。
 
 

たまたまという幸運

12月 30th, 2015 | Posted by admin in 日々の思い - (たまたまという幸運 はコメントを受け付けていません)

 今年は今日で仕事納めです。

 たしか、昨日の日経新聞の私の履歴書で、大丸の会長がたまたま新幹線で松坂屋のトップと席が隣で、その縁で経営統合につながったという話があり、なるほどなあ、と思いました。

 自分の経験上、こうした「たまたま」は、意外と多いです。たまたま、飛行機が一緒だったり、たまたま、飲み屋で一緒だったり、たまたま、フィットネスジムが一緒だったり、などなど。枚挙にいとまがありません。で、こうした「たまたま」のきっかけで、世の中が変わっていくのかもしれません。

 かつて松下幸之助は、自身が面接をする際、学生に「運が良いか?」を聞いたと言います。そして、運が悪いと答えた学生はどんな高学歴でも不採用にし、運が良いという学生を残したという。たぶん、この「運が良い」と「たまたま」は似ていると思う。やはり、どんな些細なきっかけであっても、「たまたま」の機会を重視して、それをチャンスにつなげる、それが結果的に運が良いにつながる、ということかと。

 2015年、自分にも「たまたま」を含めたくさんの出会いがありました。そして、もしかしたら、そのたまたまをチャンスにつなげていなかったケースもあったかしれないです。ま、それはそれで仕方ないとして、2016年も些細な出会い、これまでの付き合いを大切にしたいと思います。また、来年もよろしくお願いいたします。

2015年12月30日 長橋 賢吾

【連載】世界ハイテク企業ウォッチ フィットビットはなぜアップルを上回れたのか? ウェアラブルの隠れた王者の戦略とは

12月 18th, 2015 | Posted by admin in 長橋のつぶやき - (【連載】世界ハイテク企業ウォッチ フィットビットはなぜアップルを上回れたのか? ウェアラブルの隠れた王者の戦略とは はコメントを受け付けていません)

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連載中の世界ハイテクウオッチにフィットビットの記事を寄稿させていただきました。

【連載】世界ハイテク企業ウォッチ
フィットビットはなぜアップルを上回れたのか? ウェアラブルの隠れた王者の戦略とは
http://www.sbbit.jp/article/cont1/30543